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GAUBERT/Orchestral Works
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Marc Soustrot/
Orchestre Philharmonique du Luxembourg
TIMPANI/1C1135



フランスのマイナーな作曲家の作品を丹念に紹介してくれているTIMPANIが、今度はフィリップ・ゴーベールのアルバムを出してくれました。ただ、ゴーベールのことを「マイナー」などと言ったら失礼かもしれませんね。フルート曲の分野では、彼ほど多くの作品がCDで出ている近代フランスの「メジャー」な作曲家もいませんから。もちろん、3曲の「ソナタ」を含むそれらの愛らしい作品は、フルーティストにとってはなくてはならないレパートリーとして、常に彼らのリサイタルのプログラムを飾っています。しかし、フルート作品以外では、やっぱりゴーベールは「マイナー」でした。なにしろ、今回録音されたオーケストラ作品3曲のうちの2曲までが、これが世界初録音となっているのですからね。
1879年に生まれて1941年に亡くなったゴーベールは、教育者としては、あのマルセル・モイーズを育てたことで知られていますが、自身もフルーティストとして大活躍していました。さらに、彼は指揮者としても有名で、1919年からはアンドレ・メサジュの後任として、パリ音楽院管弦楽団の指揮者に就任します。そのポストは1938年まで務め、シャルル・ミュンシュにその職を託すことになるのです(その交代は、みゅんしゅ的に行われました・・・なんちゃって)。今回録音された「交響曲」、「海の歌」、「コンセール」の3曲は、すべてこのオーケストラによって、彼自身の指揮で初演されています。
お馴染みのフルート曲の中で見られるゴーベールの作風は、ドビュッシーやラヴェルの流れを確実にくんではいるものの、もっとサラッとした、メロディアスな印象を与えられるものです。それはこのオーケストラ作品でも同じように味わえるもので、手慣れたオーケストレーションによる洗練された響きは、なかなかの充実感を持っています。彼の楽器であるフルートが、重要なところで活躍しているのも見逃せません。
この中では唯一初録音ではない、3つの楽章から成る「海の歌」は、当然のことながらドビュッシーの「海」との比較にさらされることは免れません。しかし、期待通りの「印象派」風のフレーズが見え隠れはするものの、これはドビュッシーとは明らかに異なる世界であることも、聴いているうちに分かってきます。ドビュッシーのものを「油絵」だとすれば、これはいわば「水彩画」のようなテイストを持っているものでした。その爽やかさは、ディーリアスあたりのイギリスの作曲家にも通じるようなセンスなのかもしれません。真ん中の楽章は「崖の上のロンド」というタイトルの踊りの曲、これなどは、ラヴェルのエスプリをさらに昇華させたような趣です。
「コンセール」も、ラヴェルと同じ趣味、クープランのような昔の宮廷での音楽の雅を現代に蘇らせたものです。舞曲風の音楽も見え隠れする中、最後の急速な楽想では、やはりフルートが大活躍してくれます。
そして、彼の作品の中ではおそらく最大規模の4楽章形式の「交響曲」は、しかし、そんな肩肘を張ったしかめっ面の形相ではなく、優しい旋律に覆われた暖かい雰囲気の曲でした。第1楽章の最後でしつこく繰り返される終止のアコードも、ある種の厳格さを求めたもののように聞こえていても、その実ちょっと悪戯っぽいユーモアと感じられるかもしれません。第3楽章のスケルツォの感じが、まるでベートーヴェンの「第9」のスケルツォのパロディのように聞こえるのも、そんなゴーベール一流の余裕がもたらした結果なのでしょう。しかし、なんと言っても聴きどころは第2楽章の美しいメロディではないでしょうか。これこそはゴーベール節の極地、それは、もちろんフルートで歌われます。
クセナキスの録音でお馴染みの超ハイテク集団ルクセンブルク・フィルは、弦楽器がやや無機質に感じられるものの、とても精緻なアンサンブルで色彩的な響きを醸し出しています。
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by jurassic_oyaji | 2008-10-31 23:37 | オーケストラ | Comments(0)