おやぢの部屋2
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STRAUSS/Der Rosenkavalier
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Claire Watson, Lucia Popp(Sop)
Brigitte Fassbaender(MS)
Karl Ridderbusch(Bar)
Carlos Kleiber/
Bayerisches Staatsorchester
ORFEO/C581 083D(hybrid SACD)



録音に対して極めてストイックな態度を貫き通したカルロス・クライバー、しかしなぜか「ばらの騎士」に関しては今までに2種類もの公式ソースが世に出ているという大盤振る舞い状態でした。それは、1979年のバイエルン・シュターツオーパーと、1994年のウィーン・シュターツオーパーの、いずれも映像ソフトです。それぞれキャストが異なっていて、どちらもクライバーの魅力を存分に伝えているものでしたね。しかも、それぞれのプロダクションは来日していて、実際に日本でも「生」のステージにも接することが出来た、というものでした。
そのうちの、バイエルンの方のプロダクションが初来日したのは1974年のことでした。歌手やオーケストラだけではなく、ステージのセットや衣装までも含めた「引っ越し公演」などまだ珍しかった頃ですから、これは非常に画期的な出来事でした。「フィガロ」、「ドン・ジョヴァンニ」、「ワルキューレ」、そして「ばらの騎士」という演目が用意され、メインの指揮者は音楽監督のサヴァリッシュ、「フィガロ」と「ワルキューレ」はライトナーとのダブルキャスト、「ばらの騎士」はクライバーだけ、というローテーションでした。その頃のクライバーは今のように大騒ぎをされることもない、はっきり言って無名の存在でしたからチケットも余裕で入手出来ました。そもそも、チケット自体が今みたいな法外な値段ではありませんでしたし。
ですから、その時のお目当ては指揮者よりもオクタヴィアン役のファスベンダーだったような気がします。実際、彼女は声といい、姿といい、まさに全盛期の輝きを備えていたもので、圧倒的な存在感を誇っていました。
それとほぼ同時期、1973年のバイエルン・シュターツオーパーでの公演の放送音源は、以前から海賊盤として出ていたそうなのですが、今回、晴れて公式のものとしてリリースされました。最近のこのレーベルのクライバーもののポリシーなのでしょうか、SACDによってリリースされているのも歓迎すべきことです。
バイエルン放送による元の録音は、かなりクオリティの高かったものなのでしょう。オーケストラの弦楽器のふくよかな音や、木管の輝きなどが満足のいく状態で収録されています。ただ、「銀のばらのテーマ」でのハープやチェレスタ、そしてフルート、ピッコロとソロ・ヴァイオリンが醸し出す響きは、残念ながら東京文化会館での想い出からはほど遠いものではありますが。
まだ拍手が鳴り止まないうちに前奏曲のホルンが鳴り出す、という、いつもながらのクライバーのやり方で、曲は始まります。そして、圧倒的なドライヴ感でぐいぐい引っ張られるところがあるかと思うと、ウィンナ・ワルツの模倣の部分ではまさにうっとりとした別の世界を体験させてくれるという、クライバーのマジックは存分に堪能出来ました。そして、もちろんファスベンダーはここでもとても輝いていました。
しかし、マルシャリンを演じているのが映像や来日公演のギネス・ジョーンズではなく、クレア・ワトソンになっているのには、ちょっと違和感をおぼえてしまいます。なにか薄っぺらな歌い方で、威厳のようなものがまるでないのです。第3幕の最後の三重唱では、ゾフィーのルチア・ポップよりも「軽く」聞こえてしまうほど。確かに、マリー・テレーズの実年齢は30代前半ですから、そんな表現はあってもいいのかもしれませんが、このオットー・シェンクのゴージャスな演出の中では、それは間違いなく浮いてしまっています。
クライバーの生前には正規盤として出ることがなかったのは、そんな欠点があったせいなのでしょうか。この録音は、こんな公なものではなく、それこそ、秘密の酒場(暗いバー)あたりでこっそり聴くべきものだったのかもしれません。
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(11/14追記)
ちなみに、これが1974年のバイエルン・シュターツオーパー(「ミュンヘン・オペラ」と言っていました)の豪華プログラムです。
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by jurassic_oyaji | 2008-11-12 20:17 | オペラ | Comments(3)
Commented by ROYCE at 2008-11-13 02:51 x
私はサバリッシュ指揮のワルキューレを聞きました。東京文化会館でジークリンデを歌ったギネス・ジョーンズの圧倒的な歌唱は、いまだに忘れ難い思い出になっています。ファスベンダーはフリッカを歌ってました。確かに当時はクライバーは有名ではなく、薔薇の騎士を聞かなかったのが惜しまれます。チケットは25000円ぐらいでいい席が買えた時代でしたね。
Commented by jurassic_oyaji at 2008-11-13 08:10
ROYCEさん、いつもありがとうございます。

私は、他にはやはり「ワルキューレ」と、「フィガロの結婚」、それとオーケストラコンサートを聴きました。
「フィガロ」では、指揮がライトナーだったので、途中で眠くなってしまったように記憶しています。フリッカのファスベンダーは、やはり素晴らしいものでした。最近カラヤンの「ラインの黄金」の映像をテレビで見たのですが、その時のフリッカを見て、このSACDとオーバーラップさせていました。
Commented by ROYCE at 2008-11-13 21:53 x
金色に輝くハードカバーのプログラムが立派でしたね。大切な記念の品です。