おやぢの部屋2
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縁の糸
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竹内まりや
ワーナーミュージック・ジャパン
/WPCL-10633(single CD)


このところ、日曜日を除く毎日、竹内まりやの歌声や語りが聴けるという幸せな出来事が起こっています。つまり、NHKの朝の連続ドラマの主題歌を彼女が歌っているだけではなく、ナレーションまで務めているというのですよ。ドラマの舞台が京都と松江ということで、同じ島根県の出雲出身の彼女の起用となったのでしょうが、テレビには極端に露出の少ない彼女のこんなあり得ないヘビーローテは、ファンにとってはまたとない贈り物です。このドラマの常として、最後にはナレーター本人が出演するはずですから、楽しみです。
もっとも、無茶な設定だらけのこのドラマそのものには、全く何の価値もありません。なにしろ、主人公の2人はプロの歌手としてデビューさせたいと思わせるほどの音楽性を持っているというのが大前提になっているにもかかわらず、それを納得させられるだけのものが全然見当たらないのですから、大変です。見ているものは、そんな現実と、ドラマとしての「お約束」とのあまりの隔たりの大きさに、呆然とするばかり、そのギャップを埋めるための心の葛藤は、いかばかりのものでしょう。
そんな不条理な設定を納得させるものとして、あるいはこの主題歌が存在しているのかもしれません。確かに物事を全て「縁(えにし)」で片づけてしまえば、なんだって(エニシング)簡単に解決してしまいます。あくまでハッピーな6/8のビートに乗ったまりやの歌声は、細かいことは忘れて人のつながりの不思議さに身を委ねる気にさせられることでしょう。
シングルとして完成した曲は、主題歌とは別の存在であることは、ドラマにはなかったイントロのエレピのフレーズで分かります。そして、3コーラス目になんとトロンボーンのソロなどという珍しいものが登場して、さらにそれは際立ちます。まりあの曲でトロンボーンがフィーチャーされたものなんて、他にあったでしょうか。
実は、わざわざシングル盤を買おうと思ったのは、カップリングとして「アップル・パップル・プリンセス」が入っていたからなのです。

この曲は、1981年にNHKの「みんなの歌」で歌われていたもの、若井丈児のシュールなアニメが、やはりシュールな歌詞にマッチして、子供心にも強烈なインパクトを与えられたものでした。同じ時期のまりやのシングル「NATALIE」のB面としてアナログ盤ではリリースされていましたが、今までCDになってはいなかった、という貴重なアイテムです。この前の「コンプリート・ベスト」同様、これはRVC時代の音源ですから、なかなかリマスターのチャンスもなかったものが、こんな形で27年ぶりに日の目を見ることになりました。もちろん、この時代のまりやは「アイドル」でしたから、今のようにすべての曲を自分で作っていたわけではなく、他の人が作った曲を歌っていました。この曲の場合は「ワイルド・ワンズ」の加瀬邦彦が書いたもの。それを、当時の名ギタリスト大村憲司がシンセの打ち込みを主体とした、まさにアイドル然としたアレンジに仕上げています。コーラスに大貫妙子とepoが加わっていたというのも、なにかほほえましいものがあります。
何十年かぶりに改めて聴いてみると、まだ20代だったまりやの声は、確かにあどけなさは残るものの、すでにその中には現在につながる大人びた憂いが秘められていることが分かります。27年後の新作とカップリングされてもなんの違和感も与えないほどの世界観が、すでにこのときの彼女の中にはあったのでしょう。
実は、本来のカップリングは、やはりNHKの番組とのタイアップ「最後のタンゴ」なのですが、これはタイトルからして出来の悪い韻が踏まれた駄作です。その責の大部分は、作詞の伊集院静が負うべきものでしょう。
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by jurassic_oyaji | 2008-12-02 23:36 | ポップス | Comments(0)