おやぢの部屋2
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MAHLER/Symphony No.2
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Elena Mosuc(Sop)
Zlata Bulycheva(MS)
Valery Gergiev/
London Symphony Chorus & Orchestra
LSO LIVE/LSO0666(hybrid SACD)



ゲルギエフとロンドン交響楽団のマーラー・ツィクルスも、順調にリリースが進んでいるようですね。ところで、この一連のSACDのジャケットを彩る雷のような画像は、なかなか印象的なものではないでしょうか。コンピューターで作ったのか、あるいは実際の放電を撮影したのかは分かりませんが、このコンビの刺激的な演奏を、まさに象徴するようなインパクトを与えてくれるものです。最初、この「雷」はアイテムごとに別なものを使っているのだと思っていました。それぞれの「数字」との絡まり具合が微妙に異なっていて、独特の個性を出していますからね。しかし、結構たまってきたこれらのジャケットを眺めていると、その「雷」はすべて同じものであることが分かってしまいましたよ。向きを変えたり、あるいは裏焼きにしたりと、変化は付けてはいますが、元になった画像は全く一緒なのですね。だからどうだと言われそうですが、「発見」したことはみんなに教えたくなるという性分なものですから。
そんな、今までに聴いてきた彼らの録音は、なにか引っかかるものがあって、全面的にその演奏にのめり込むことが出来なかったような気がします。しかし、今回の「2番」では、かなり素直に彼らの音楽を受け入れることが出来ました。それは、演奏する側と聴く側双方が、次第にゲルギエフのやり方に「慣れて」来たからなのでしょうか。聴き終わったときの充実感は、今までのものではあまり感じられないものでした。
第1楽章では、提示部の第2主題、ヴァイオリンで上昇する夢見るようなテーマが、それまでの「熱い」流れとは一線を画して、極めて寒々しい面持ちとなっていたことに、ちょっとしたショックを与えられたものです。ブーレーズを気取って、クールに決めたのかな、と。しかし、その同じテーマが展開部で現れたときには、どうでしょう、もちろん調も変わっていますが、そのたっぷりした歌い方は最初に出会ったときにつれなかった分、とびきりの喜びを与えてくれるものでした。マーラーがこのあたりには執拗にグリッサンドを指示したことが頷けるような、心憎い演出です。
第2楽章は、やはりグリッサンドが粋に感じられる、たっぷりとした「ダンス」が楽しめます。ソロ奏者たちにも伸び伸びと演奏させているのも、良く分かります。中でもフルート・ソロはとても素晴らしい音色と、まさに「粋」なフレージングが、とても魅力的です。
第3楽章では、一転して引き締まったテンポで緊張感あふれる音楽になります。一見のどかなテーマが、実はかなりのアイロニーを含んだ恐ろしいものであることも、そんなテンポの中では容易に感じ取ることが出来るはずです。
メゾ・ソプラノのソロが入った第4楽章では、ゲルギエフの手兵、マリンスキー劇場のブルィチェワが、スケールの大きな歌を聴かせてくれています。ゲルギエフは、その歌を暖かく包み込むような優しさを見せてはいないでしょうか。
そして、さまざまなシーンが交錯する第5楽章こそは、ゲルギエフの本領発揮の場です。まるで映画監督のように、それぞれの場面を手際よく届けてくれる姿は、見ていて(聴いていて)胸がすくような思いです。オーケストラもそれに応えて、見事に的確な演奏を披露してくれています。ただ、ソプラノのモシュクに今ひとつの精度が欠けているのが、惜しまれます。それと、決して悪くはないのですが、合唱にこのようなシーンにふさわしい緊張感のようなものがもう少し備わって入れば、さらに素晴らしいものになったことでしょう。
2枚組のSACDで、余白に10番のアダージョが収録されているのが、お買い得。木を切ってますね(それは「与作」)。あまり粘らないあっさり感が素敵です。しかし、この演奏から「トリスタン」の第3幕が連想されてしまったのは、なぜなのでしょうか。

CD Artwork © LSO Live (UK)
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by jurassic_oyaji | 2009-01-17 19:09 | オーケストラ | Comments(0)