おやぢの部屋2
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Serenade to the Dawn
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Andrea Lieberknecht(Fl)
Frank Bungarten(Guit)
MDG/905 1540-6(hybrid SACD)



1965年生まれ、「愛の奴隷」という素敵な意味のラストネームを持つドイツの美人フルーティスト、アンドレア・リーバークネヒトは、学生時代に早くもミュンヘン放送交響楽団の首席奏者に就任、さらに1991年にはケルン放送交響楽団の首席奏者となります。1993年から1996年の間は、バイロイトのピットにも入っていました。コンクールの入賞歴も輝かしいもので、1993年の第3回神戸国際フルートコンクールでは、1位なしの2位となります。その時の3位が、あのエミリー・バイノンなのですから、すごいですね(ちなみに、その4年前の第2回では、パユがアランコと1位を分け合っていました)。現在は、ハノーファー音楽大学の教授を務めていますが、このポストはかつてオーレル・ニコレが務めていたもの、先ほどのパユやアランコなど、数多くのフルーティストを輩出した名門スクールなのですね。
彼女がこのアルバムで共演しているのは、1958年生まれのギタリスト、フランク・ブンガルテンです。彼が1987年に最初にこのレーベルに登場したときに共演したのが、彼女の師、パウル・マイゼンだったというのも、なにかの縁なのでしょう。いや、この二人は、偶然出会ったときからお互いの音楽性の中に同質のものを認めていたということですから、運命的な赤い糸で結ばれていたのかもしれませんね。のぞみとめぐみみたいに(意味不明)。
そんな二人のこだわりによって作られたこのアルバムには、20世紀に作られたフルートとギターのための「あまり有名ではない」作品が収められています。ラインナップはウィリー・ブルクハルトの「セレナーデ」、ハンス・ホイクの「カプリッチョ」、マリオ・カステルヌオーヴォ・テデスコの「ソナチネ」、ウージェーヌ・ボザの「ポリディアフォニー」、ホアキン・ロドリーゴのアルバムタイトル曲、そしてエイトール・ヴィラ・ロボスの「花の分布」の6曲です。確かに、この中で広く知られているものは、カステルヌオーヴォ・テデスコの曲ぐらいのものでしょうか。
その中でも、二人が「新しい発見」と言っているのが、ボザの作品です。管楽器のための作品など多くのものが知られているボザですが、ギターのための曲というのは非常に珍しいのだそうです。しかも、この曲はちょっと難解なタイトルの通り、かなりアヴァン・ギャルドなテイストを持ったものでした。気取っている、とか(それは「キザ」)。2つの楽器がそれぞれ独立して主張し合っている、という趣、かなり高度なアンサンブルの能力が要求されそうな曲です。フルートではフラッタータンギングやグリッサンドなどの特殊な奏法も多用されていますし、音楽自体も調性からは離れた冒険がメインとなっています。おそらく、この二人はこういうものが性に合っているのでしょう(その分、C・テデスコやロドリーゴは、ちょっと物足りません)。
そして、その流れからなのでしょう、「花の分布」では、楽譜に指定されている通常のフルートではなく、1オクターブ下の音が出せる「バスフルート」が用いられています。普通の楽器で演奏してもなかなか神秘的な曲なのですが、それがバスフルートのなんともハスキーな低音で演奏されると、それはただごとではない神秘さに変わります。
最後に「Bonus」という作曲家の作品が3曲、のように見えたのですが、実はこれは「ボーナス・トラック」、そのうちの2曲は、ギターとバスフルートによる即興演奏だったのです。そして、最後の1曲は「Surround Walk」というタイトルが付いていますが、なんのことはない、先ほどの「花の分布」を、フルーティストが部屋の中を歩き回りながら演奏しているのですね。それは、言ってみればこのレーベルが採用している極めて特殊なサラウンド・システムのデモンストレーションなのでしょうか。もちろん、これは先ほどのものとは別テイク、装飾音のアーティキュレーションが微妙に異なっています。

CD Artwork © Musikproduktion Dabringhaus und Grimm (Germany)
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by jurassic_oyaji | 2009-01-29 19:44 | フルート | Comments(0)