おやぢの部屋2
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BACH/Brandenburg Concertos 1-6
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Giuliano Carmignola(Vn)
Claudio Abbado/
Orchestra Mozart
MEDICI ARTS/20 56738(DVD), 20 56734(BD)



クラウディオ・アバドによって集められた、イタリアのごく若い音楽家集団「オーケストラ・モーツァルト」が、2007年に行ったバッハの「ブランデンブルク協奏曲」の全曲演奏会の模様が、DVD(そしてブルーレイ)によってリリースされました。
このオーケストラの正規メンバーは若い人たちばかりですが、この「ブランデンブルク」の演奏に際しては、多くのベテランのゲストが参加しています。ソロ・ヴァイオリンとしてはジュリアーノ・カルミニューラ、そしてチェロにはマリオ・ブルネロが加わるという豪華版です。もともとはモダン・オーケストラの団体なのですが、アバドがこの2人を入れたのには、やはりオリジナル楽器のサウンドの追求という意味があったのでしょう。メンバーが弾いている楽器自体はモダンのようですが、弓と、おそらく弦はバロック時代のものを使っているようですし、聞こえてくる音も確かに柔らかなものとなっていました。
それに対して、管楽器は全てモダン楽器となっているのが、面白いところです。ですから、最初の「第1番」では、そんな弦楽器と管楽器の、時代様式を超えた対話を楽しむことになります。そう、ここでアバドが目指したものは、「ピリオド・アプローチ」でもなければ「ロマンティック」でもない、言ってみれば「アバド風」のごちゃ混ぜ様式だったのです。しかし、ホルンやオーボエの超絶テクニックと、弦楽器奏者のしなやかな音楽性によって、そこからは実に生命感あふれる音楽が発散されているのは、驚くべきことでした。これはひとえに、様式を超えたところで自発的な合奏を行っている、才能あふれるメンバーの功績と言えるでしょう。アバドといえば、ほんのキューを出す程度の「指揮」に徹しているのですからね。いや、もしかしたら、彼は単に合奏に合わせて体を動かしているに過ぎなかったのかもしれません。
そんな合奏の楽しげな様子は、「第3番」でよりはっきり見ることが出来ます。メンバーは、お互いににこやかに笑顔を交わしながら的確なアンサンブルを作り上げていきます。チェロ・パートが難しいパッセージを演奏しているときなどは、手を休めて実に暖かな眼差しで見守っていますしね。そして、おそらく彼らは指揮者のことなどは全く眼中にはないのでしょう。
そして、ヴィオラ、ヴィオラ・ダ・ガンバ、低音という不思議な編成の「第6番」では、ついに指揮者がいなくなってしまいます。合奏を仕切るのはとてもキュートなヴィオラの女性二人、彼女らが造り出す絶妙のグルーヴは、もしかしたら指揮者がいたためにそれまでは前に出てくることがなかったのでは、と思えるほどの、素晴らしいものでした。
「第5番」では、フルートにジャック・ゾーンが登場します。彼の楽器は木管、一見トラヴェルソのようですが、もちろんモダンのベーム管です(彼はトラヴェルソを吹くこともありますが、お世辞にも上手だとは言えません)。ここでは、カルミニョーナとともに、それまで後ろの方で低音を弾いていたチェンバロのオッターヴィオ・ダントーネの流麗なソロが堪能出来ます。イタリアも、今年の冬は暖かいのでしょうか(暖冬ね)。
「4番」と「2番」には、リコーダーのミカラ・ペトリの姿がありました。彼女の楽器も、低音用のキーがついた、まさに「モダン」な楽器ですね。そして、最後に演奏された「2番」では、トランペットの名手ラインホルト・フリードリヒの熱演が光ります。アンコールでこの曲の終楽章が演奏されたときには、本番の時とはうってかわってのハイスピード、しかもペトリはソプラニーノ・リコーダーに持ち替えて1オクターブ上を演奏しているものですから、全く別の曲のように聞こえてしまいます。そんな盛り上がりの主人公はあくまで若い演奏家たち、最初から最後まで指揮者の存在感が恐ろしく薄かったのが妙に印象的なコンサートでした。

DVD Artwork © Medici Arts
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by jurassic_oyaji | 2009-01-31 22:47 | オーケストラ | Comments(2)
Commented by Zauberfloete at 2009-02-16 23:32 x
はじめまして。この記事を読ませていただいて私もこのDVDを購入しました。素晴らしかったです。ありがとうございました。
Commented by jurassic_oyaji at 2009-02-17 08:01
Zauberfloeteさん、コメントありがとうございました。
今後もよろしくお願いいたします。