おやぢの部屋2
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Resonanser/Swedish Choral Music - New Perspectives
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Anders Widmark(Pf)
Cecili Rydinger Alin/
Allmänna Sången
BIS/CD-1714



北欧の合唱のレベルが高いことはよく知られており、多くの合唱団がコンサートに、録音にとその魅力を競っています。この間もスウェーデンのとても素晴らしい男声合唱団「スヴァンホルム・シンガーズ」のCDを聴いたばかりですが、今回は混声合唱団、なんと1830年に創設されたという、ウプサラ大学の合唱団、通称「アルメンナ・ソンゲン」です。尊厳のある名前ですね。同じくスウェーデンが誇る男声合唱団「オルフェイ・ドレンガー」も、やはりウプサラ大学が起源なのですが、こちらは1853年の創設、さらに古い歴史を誇る合唱団ということになります(このアルバムで指揮をしているアーリンが、スンドのあとを次いで「OD」の次期指揮者になるという情報があります)。設立当初はやはり男声合唱団だったのですが、後に混声になったという経緯をたどっているそうです。その歴史あるウプサラ大学の建物の前で撮った集合写真がジャケットにありますが、確かにみんな学生のような若々しいメンバーの顔が並んでいます。
このアルバムは、スウェーデンの作曲家の作品を集めたものですが、そこにちょっと変わったコンセプトが込められています。ここで集められているのは、いずれも本来なら無伴奏で歌われる曲なのですが、そこに幅広いジャンル、中でもジャズを中心に活躍しているピアニスト、アンデシュ・ヴィドマルクが加わって即興的なコラボレーションを繰り広げているのです。それも、「共演」というよりは、まるで「異種格闘技」のような趣、例えば、ステンハンマルの「3つの合唱曲」では、いかにも素朴な民謡のアレンジのような合唱が歌われたあとに、全くテイストの異なるモダン・ジャズっぽいピアノソロが「乱入」してきたり、別の曲では合唱とピアノが同時に全く関係のないことをやって「競い合う」といった場面も登場したりする、といった具合です。
もっとも、こういうアイディアは、別にこのCDで初めて聴いたものではなく、実はさる日本の合唱団が、以前から試みていたものをすでに何度も聴いたことがありました。それは、やはり大学が起源の合唱団であるChor青葉」という団体なのですが、彼らが毎年行っているコンサートの目玉の一つが、そんな、ジャンルの異なるピアニストとの共演なのですよ。特に、最初にその小原孝さんというピアニストが加わった年のステージでは、男声合唱の定番、清水脩の「最上川舟歌」での、まさに「バトル」と言ってもいいようなすさまじいピアノのインプロヴィゼーションには、大きな衝撃を与えられたものでした。
ただ、同じようなことをやっていても、同じ空気を共有してはいないせいでしょうか、ここではそれほどの衝撃は得られませんでした。このような試みは、生の聴衆との交流が命、それが録音で一方的に送られてくる形になってしまうと、おそらくその場では熱かったものが、なんとも醒めて感じられてしまうものなのでしょう。
そんな思いが募るのは、この合唱団の演奏が、なにか突っ込みの足らない、表面的なものに終わっているからなのかもしれません。特に女声には、確かにクリスタルのような透明感はあるものの、そこからはなんの主張も感じられない薄っぺらな響きしか伝わってこないのです。それは「若さ」ゆえの拙さなのでしょうか。確かに、写真の中でカラフルなドレスに身を包んだ彼女たちは、実にあどけない表情を見せています。
ですから、そんな小細工を弄しない、いかにも作品そのもので勝負しているようなもの(そういうのを「前衛的」と言うのでしょう)の方が、よりクールな魅力を感じられることになりました。なかでも、有名な「歌う猿」という男声合唱曲を作っていたサンドストレムの、ちょっとミニマルっぽい「山風の歌」や、いかにもリゲティの亜流といった感じのヒルボルイの「夏至の夜の夢」(まさに「ルクス・エテルナ」のテイスト)あたりがとても聞き応えのあるものに仕上がっています。

CD Artwork © BIS Records AB
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by jurassic_oyaji | 2009-02-04 20:02 | 合唱 | Comments(0)