おやぢの部屋2
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合唱団エピス
 愚妻が入った合唱団の定期演奏会に行ってきました。公開ゲネプロや小規模なジョイント・コンサートは聴いたことがありますが、フルサイズのコンサートは、これが初めてのことになります。今まで聴いてきたときに感じていたイメージの全体像が、まさにここに明らかになったという感じ、いやあ、身内がこんな素晴らしい合唱団に入っているなんて、とても誇らしく思えるコンサートでした。
 きのうあたりから、公式HPや、指揮者の早川さんのブログなどで「前売りが完売したため、当日券はありません」という告知があったものですから、これはもしかしたら定員をオーバーするぐらいのお客さんが来てしまうのでは、という懸念がありました。ですから、私もかなり早めにいっておこうと思い、着いたのは開演の1時間以上も前でした。その頃でもロビーにはお客さんらしい人がいましたが、さすがにまだ列を作るところまで入ってはいませんでした。自然発生的に列が出来たのは、ちょうど開演1時間前、そのタイミングで、関係者が出てきてきちんと列を蛇行させたりして整理を始めます。なかなか手慣れたものです。中に入ってみると、実際には、ほぼ満席になったという、ちょうどよい集客でしたね。
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 1ベルが入って陰アナがいつもの携帯電話の注意などを話し始めたとき、まだ開演前だというのに女声のメンバーがステージに整列しました。なにが始まるのかと思ったら、「♪携帯~」という、ユーモラスな曲が始まりましたよ。横に座っていた男性が「もしもし」とか言いながら、最後は「携帯を切らないと、おしおきよ!」という仕掛けです。そういえば、さいしょのウェストミンスター・チャイムといい、途中の「鬼太郎」のテーマといい、愚妻がこっそり練習していましたね。「鬼太郎だね」と聞いたら「松下耕の作品!」と言っただけで、あわてて楽譜を隠していましたから、本番まで知られたくなかったのでしょう。そう、これは人気作曲家松下耕が作ったれっきとした女声合唱曲、「携帯切らなきゃ お仕置きよ! 2007」という作品なのだそうです。結構前からあったもので、これは歌詞を新しくしたバージョンなのだとか。
 一旦退場したメンバーは、本番の開演とともに改めて女声と男声が入場してきます。普通の合唱団や、われわれのようなオケのメンバーもそうですが、入場するときには黙々と歩いてくる、というのが決まった形なのですが、彼(彼女)らは、なんとお客さんに向かって手を振りながら入ってきましたよ。「携帯~」といい、この入り方といい、なにかとても楽しいことが始まりそうな予感です。
 最初のステージは無伴奏の合唱で、夏のコンクールの時の曲+αです。最後の信長貴富の「廃墟から」は、もう何度も聴いているのですが、コンクールの時のある種せっぱ詰まったようなアプローチがちょっと変わってきたような印象がありました。テキストといい作曲技法といい、かなりハードなものには違いないのですが、そこを乗り越えて、確実に「音楽としての楽しさ」が現れてきていたのです。暗い曲想はそのままに、しかし、音楽であるからには必ず感じられるはずの「心地よさ」が、そこにはあったのです。
 後半のステージは、モーツァルトの「レクイエム」です。オーケストラは、在仙のプロの演奏家を集めた臨時編成の団体、ニューフィルにトラで来ていた人なども見かけられます。合唱団の人数は、いつの間にかかなり増えていたので、このオーケストラに隠れてしまうということは全くありません。それどころか、これこそまさに合唱団の定期演奏会という面目躍如、これほど合唱が雄弁な「レクイエム」は、初めて聴いたような気がするほどでした。早川さん(このステージでは燕尾服を着ていましたね)の指揮は、オーケストラはもう全てリハーサルでやり尽くしたという感じでほとんどプレーヤーにお任せ、その代わり、合唱にはいつもの通りの細かい表情を要求する、というものだったのではないでしょうか。正直、合唱のあまりの迫力に、オケがタジタジになっているという場面もありました。
 早川さんが作り上げた「レクイエム」は、陰鬱なところが全くない、とても見晴らしの良いものでした。そこで大切にされていたのは、やはり「心地よさ」ではなかったでしょうか。それぞれのパートの、それぞれのフレーズが、全て同じ方向を向いた主張を持っていた、という恐るべき音楽が、ここでは実現されていました。そして、その方向というのは、単に死者を悼み悲しむための音楽ではなく、その「死」を乗り越えたところにあって欲しい「生」への憧れ、のようなものではなかったでしょうか。例えば、「Lacrimosa」がこんなに明るく聞こえてきたことなど、私にとっては初めての体験でした。
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 アンコールでモーツァルト版の「ハレルヤ・コーラス」が演奏され、全てのプログラムが終了したとき、早川さんがさも名残惜しそうに大きく手を振りながら退場していった姿が忘れられません。それは、オケにも伝染したのでしょうか、チェロのTさんなども手を振りながら退場、もちろん、合唱団のメンバーも、みんな笑顔で手を振っていました。
 ロビーに出てみると、メンバーがステージ衣装のまま「大地讃頌」を歌っていました。どこまで盛り上げてくれるのでしょう。
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 素晴らしい演奏を作り上げるだけではなく、演奏会全体をごく自然に明るく盛り上げるという姿勢、もうすっかり、この合唱団のファンになってしまいましたよ。
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by jurassic_oyaji | 2009-02-15 19:20 | 禁断 | Comments(0)