おやぢの部屋2
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MOZART/Requiem
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Ute Selbig(Sop), Bernada Fink(Alt)
Steve Davislim(Ten), Alastair Miles(Bas)
Colin Davis/
Chor und Orchester der
Sächsische Staatsoper Dresden
DREAMLIFE/DLVC 8106(DVD)



BSでも放送され、だいぶ前にDVDで発売された2004年のドレスデン州立歌劇場での映像が、なにげに安く再発されました。CDより安いDVDですから、当然「買い」でしょう。あるいは、すでにDVDは見限られて、ブルーレイの時代に入ったのかも。もはやブルマーの時代は戻っては来ませんが。
この演奏会は、1945年2月13日のドレスデン大空襲を悼むための催しだということです。その時には、このゼンパー歌劇場も含めて都市全体が破壊されてしまったわけですが、再興なったその歌劇場での「祈念」コンサートは、その日の前後、2月11日から15日にかけて行われました。画面には、闇の中に明るく浮かび上がる歌劇場の全景に続いて、客席とステージが映し出されます。通常はオーケストラ・ピットになっている部分の床がステージと同じ高さまで上げられて、そこにオーケストラが並んでいます。ステージの部分にはプロセニアムの柱と同じデザインの反響版が設置され、その前に100人ほどの大人数の合唱が並んでいます。そこにソリストと指揮者が入場してきても、満員の客席からは拍手が起こることはありません。このコンサートがどのような意味を持っているのか、それぞれの聴衆が心の中に期するものがあるのでしょう。
そんな、異様な緊張感の中で、この「レクイエム」が始まります。オーケストラの前奏で最初に出てくるカットは木管セクションのバセットホルンのアップです。クラリネットとは全く異なる哀愁を帯びた音色、それは、この楽器の特異に折れ曲がった外観というインパクトのある映像によって、視覚的にも伝わってきます。いくらモダンオーケストラといっても、このパートだけはこの楽器でなければ「レクイエム」の味は出てきません。
指揮者の真っ正面に置かれた無人カメラは、デイヴィスの全身像を執拗に追いかけます。彼の指揮は確信に満ちた明確なもの、時折「タメ」を作るようなときには、下半身までも使って大きな身振りで指示をする彼の指揮ぶりが、このアングルからは良く分かります。そして、その動きが求めているものは常にかなりの「重み」を持つものであることも良く伝わってきます。合唱はそれに応え、まさに「慟哭」と言ってもいいような悲痛な歌を一丸となって聴かせてくれています。実は、以前ご紹介した2007年のロンドン交響楽団との録音では、ジュスマイヤー版の楽譜にデイヴィス独自の手が加えられていましたが、ここでもそれと同じものを聴くことが出来ます。この時点で、すでに「デイヴィス版」は完成していたのですね。ですから、「Dies irae」のトランペットとティンパニの合いの手が、他のどの版にもないような躍動感あふれるリズムになっているのです。ロンドン交響楽団の場合は、それがまさに一つの盛り上がりとなっていたわけですが、ここでは同じリズムでもなにか突き刺さるような別の意味として感じられたのは、そんな合唱の「深さ」のせいでしょうか。普段はオペラを歌っているこの合唱団、確かに「ドラマ」を演じることにかけては年季が入っています。
ソリストたちも、そのルックスからしてドラマティックな人がいることが分かるというのが、映像の利点です。中でも、ソプラノのゼルビックの神秘的なマスクは、そのクールな歌い方と相まって静かな魅力をたたえています。しかし、テノールのデイヴィスリムの顔は、インパクトがあり過ぎ。まるでマンガのキャラクターのような豊かな表情は、なにか別の種類の訴えかけにあふれていて、ちょっと馴染めません。声は良いのですが。それと対照的な風貌のバスのマイルズにも、笑えます。このあたりだけにでも拍手があってもいいのに、と思っても、もちろん終演後に拍手が起こることはありませんでした。

DVD Artwork © Nihonmonitor Co.,Ltd
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by jurassic_oyaji | 2009-03-16 19:32 | 合唱 | Comments(1)
Commented by kawazukiyoshi at 2009-03-16 20:55
すばらしいDVDを見つけましたね。
それも安いというのは面白い。
ちょっと見てみたい気がします。
今日もスマイル