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BRUCKNER/Sinfonie IV(Original Version from 1874)
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Marcus Bosch/
Sinfonieorchester Aachen
COVIELLO/COV 30814(hybrid SACD)



ブルックナーの交響曲に於ける「第1稿」の、最近の隆盛ぶりは、いったいどうしたことでしょう。「4番」に関しては、このSACDはついこの間ご紹介したケント盤よりも実は前にリリースされていたのですが、現時点での最新の録音、2008年6月にアーヘンの聖ニコラウス教会で行われたライブです。こちらによれば、2007年4月以降に録音された4つのアイテムは今のところすべて「第1稿」、こうなってくると、ただの偶然では済まされない事態です。ついに第1稿の時代がやってきたのでしょうか。少なくとも、今までのように本当にマニアックな指揮者しか取り上げないマイナーなバージョン、というイメージからは脱却して、「4番」の選択肢としてごく自然に取り上げられるようになった、という段階には確実に達しているのだ、とは言えるのではないでしょうか。
ここで指揮をしているのは1969年生まれの若手、マルクス・ボッシュです。彼は、すでに自分が音楽総監督を務めているこのアーヘン交響楽団とともに、6年前からブルックナーのツィクルスを手がけており、これがすでに6枚目となるのですが、2006年に録音した「3番」でも第1稿で演奏していましたね。やはり、マニアック?
オーケストラは、ドイツ最古のオーケストラの一つ、コンサート時は「アーヘン交響楽団」と呼ばれますが、同時に、「アーヘン歌劇場」のピットにも入っています。そこで思い起こされるのは、あのカラヤンがキャリアのスタート地点で手にしたポストではないでしょうか。そう、歴史はあるけれど、そんなスター指揮者の下積み時代を支えたオケ、ぐらいの認識しか、現在のこのオーケストラに対してはあーへん。ボッシュの治世になって果たして「今」の時代での知名度は上がるのでしょうか。
このブルックナー・ツィクルスは、全て教会での録音だということです。その写真がライナーにありますが、それを見ると弦楽器はかなり少ないように見えます。それでも、演奏している祭壇はぎゅうぎゅう詰めの感じ。実は、ライナーにはメンバー表も載っています。それによるとファースト・ヴァイオリンが12人で、コントラバスが6人ですから、確かにこれは最近のブルックナーの演奏としてはかなり少なめな人数です。
それでも、録音のせいでしょうか、トゥッティでは弦楽器が少なくて物足りないという感じはあまりありません。ただ、残響があまりコントロール出来ていないのか、冒頭のホルン・ソロなどは恐ろしく遠くの方から聞こえてくるような感じがありました。それと、後ろで演奏しているコントラバスのピチカートなどは、残響のせいでなにか存在感が希薄になってしまっています。当然、ゲネラル・パウゼでの残響はものすごいもの、完全に減衰する前に次の小節を始めないと、いくらなんでも間延びしてしまうほどです。
そんなアコースティックスの中で、ボッシュは努めて軽快で明るい音楽を目指していたのではないでしょうか。第1楽章のさっきのホルンに続いての木管のテーマ、そしてそのあとにすぐ金管が入ってくるというこのバージョン独特の形では、そんな「明るさ」が全開になっています。ですから、テンポも軽快、第2楽章などはあまりにもさっぱりしすぎて物足りない面もあるかもしれませんね。
しかし、この軽快さは第3楽章では大いに効果的。金管のエネルギッシュなたたみかけは圧倒的な力となって迫ってきます。ただ、トリオになると、弦楽器の少なさがもろに現れてしまって、ちょっと物足りません。さっきのコントラバスのピチカートのサウンドの弱いのが、この部分、しっかり聞こえてきて欲しいのに、残響に邪魔されてしまっています。
リズム的には曖昧なところが全くないため、第4楽章はまるでギーレン盤のような精密さが実現出来ています。エンディングでの「モアレ効果」を、こんなにはっきり味わえたのも久しぶり。

SACD Artwork © Coviello Classics
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by jurassic_oyaji | 2009-04-15 20:17 | オーケストラ | Comments(0)