おやぢの部屋2
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MAHLER/Symphony No.2
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Simona Saturová(Sop)
Yvonne Naef(MS)
Christoph Eschenbach/
The Philadelphia Singers Chorale
The Philadelphia Orchestra
ONDINE/ODE 1134-2D



最近イギリスの音楽雑誌に掲載された世界のオーケストラのランキングによると、このアメリカの名門オーケストラはもはや「ベスト20」にも入っていないのだそうですね。ストコフスキーやオーマンディによって磨き上げられた華麗なサウンドが数多くのレコードによって聴くことが出来たのはもはや昔の話、今ではどこにでもあるようなごく普通のオーケストラになってしまったのでしょうか。確かに、オーマンディの後を受けたムーティや、さらにサヴァリッシュの時代には、メジャー・レーベルからは録音の契約を打ち切られてしまうという屈辱的な事態も起こっていましたね。そして、さらにミスマッチと思われたエッシェンバッハが音楽監督に就任するにいたっては、アメリカのオーケストラでありながら、こんなフィンランドのマイナー・レーベルからしかCDがリリースされないというヘンなことにもなっていましたし。
そのエッシェンバッハも、昨年のシーズンで職を辞し、後任がシャルル・デュトワになったのだそうですね。しかし、彼にも長期政権は望めないようで、すでに後任の人事が水面下で進行しているのだとか、このオーケストラが過去の栄光を取り戻すことはあるのでしょうか。
それでも、エッシェンバッハとこのオーケストラが創り出した音楽には、独特の何か引き込まれるものがありました。ショスタコーヴィチなどには、身の毛もよだつような凄さがありましたし。そして、このマーラーの2番「復活」でも、一筋縄ではいかない確かな主張を聴き取ることが出来ます。特に印象的なのが、第1楽章の練習番号「7」の部分です。それまでハ短調で深刻に展開されていたものがハ長調に変わり、全く別の明るい音楽が見えてくるはずの箇所で、その明るさを担うであろうヴァイオリンが、とても「暗く」現れるのです。エッシェンバッハによって、あの「フィラデルフィア・サウンド」はここまで変わってしまったのか、という感慨とともに、こんな恐ろしいほどの「暗さ」まで表現できるようになったこのコンビのある意味「成長」を感じたものです。
「原光」に登場するのは、先日のヴェルディでも聴くことの出来たイヴォンヌ・ネフです。なんと言っても、ここのアルト・ソロではマゼール盤でのジェシー・ノーマンの圧倒的な演奏が強烈に印象に残っているので、なかなか満足のいくものには巡り会えないのですが、ネフではそれにかなり近い「深さ」を味わうことが出来ます。ただ、そのテンションが次のフィナーレまでは継続しないで、「普通のアルト」になってしまっているのは残念です。
そのフィナーレ、合唱が入ってくる直前のフルートとピッコロの神秘的な掛け合いは、聴きものですよ。ピッコロの時任さんのとても美しい音色が光っています。そして、一瞬の静寂の中から立ち上がる合唱の素晴らしいこと。この「フィラデルフィア・シンガーズ・コラール」という1991年に創設されたばかりの合唱団は、デイヴィッド・ヘイズの指揮の下、ピアニシモでも繊細さと、フォルテシモでの力強さを併せ持つというレベルの高い演奏を聴かせてくれています。
さらに圧巻は、最後の最後に登場する、彼らの本拠地ヴェリゾン・ホールのオルガンです。そのEsのペダル音が聞こえてきたときには、あまりの音圧に思わずのけぞってしまったほどです。このオルガンの音によって、今まで抑制されていたものがいっぺんに弾けきったのでしょうか、そこからのエンディングの高揚感にはすごいものがあります。最後にはしっかりライブ録音の拍手もカットされずに入っていますので、それはまさに実体の伴ったものであったことも、確認できるのです。
こんなに素敵なオーケストラが、ランキング圏外なんて間違ってます。食べ放題で憂さを晴らしましょう(それは「バイキング」)。

CD Artwork © Ondine Inc., Helsinki
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by jurassic_oyaji | 2009-04-30 20:00 | オーケストラ | Comments(2)
Commented by ぐすたふ at 2009-05-03 16:55 x
いつも拝読して聴いてみたい、という興味をそそられています。
今回はいつもアルトのソロにいまいち感を拭いきれないでいたので、拝読したあとマゼール盤をアマゾンで注文しました。
そうかぁ、ノーマンがいましたかぁ。
楽しみです。
ありがとうございました。
本題の方じゃないのですが(;^_^
Commented by jurassic_oyaji at 2009-05-03 21:55
ぐすたふさん。いつもありがとうございます。
ノーマンには、それまでのこの曲のイメージを完全に覆されるものを感じたことをおぼえています。だいぶ前のことですが。
その記憶を大切にしたくて、最近では聴いていません。今聴くと、また違った感想になるのかもしれませんね。