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The Priests
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The Priests
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「ローマ・カトリック教会の現役神父3人によるコーラス・グループ」という謳い文句で、センセーショナルなデビューを果たした、その名も「ザ・プリースツ」のアルバムです。日本語だとそのまんま「聖職者たち」となるのでしょうが、あえて欧文表記。かつて、ただの「3人のテノール」という名前だったユニットを「3大テノール」という、あたかも最高のテノールが3人集まったかの様に聞こえる強引な価値の押しつけに「翻訳」して売りまくった日本の音楽業界だったら、せめて「3大神父」ぐらいのサブタイトルをつけるはずなのに、とは思いませんか?あるいは「3人の下着男」とか(それは「ザ・ブリーフス」)。
歌っている人の職業や、このジャケットから、アルバムの内容は大体想像がついたような気がしていました。おそらくここでは、彼らが実際にミサなどで歌っているであろうグレゴリアン・チャントなどを、しっとりと無伴奏で歌っているのではないか、と。
しかし、実際に聴いてみると、そんな先入観は全く見当はずれであったことに気が付きます。そもそも「コーラス・グループ」という言い方が、正しいものではありませんでした。一応2人のテノールと1人のバリトンという編成ですが、この3人は殆ど「コーラス」はやっておらず、もっぱらそれぞれが交代でソロを取る、という形で演奏は進んでいくのです。時折2人で「ハモる」ことがあったとしても、それは「コーラス」というよりは、カラオケの「デュエット・ソング」みたいな、お互いがそれぞれ自己を主張し合うだけで決して声が溶け合うことがない状態にとどまっているものでした。そんなソロたちのバックには、本物の合唱団が控えていて、「コーラス」はもっぱらその人たちの担当となっているのです。そして、さらにそこには分厚いオーケストラの伴奏が付いていたのです。「無伴奏」なんて、とんでもない。
こうなってくると、レパートリーだって「聖職者」っぽいストイックな曲であるわけはありません。そう、これは、歌っている人がたまたま「聖職者」だったというだけの話、実際はそこら辺でいくらでも手に入る「ライトユーザー」向けのヴォーカル・アルバムと何ら変わらないものだったのですよ。まあ、いくらか「宗教的」な匂いがするかな、というぐらいの「差別化」でしょうか。
ジャケットの裏側には、曲のタイトルしか書いてなく、作曲家などは分かりません。その中に「Pie Jesu」という曲がありました。「慈悲深いイエス」という意味を持つこのタイトルの曲は、フォーレやデュリュフレ、あるいはジョン・ラッターの「レクイエム」の中にある、お馴染みのしっとりとした曲です。確かにこれだけ独立して演奏されることも多くなっている、それぞれに魅力的なものばかりですから、いったい何が聴けるのだろうと思っていると、聞こえてきたのはなんとアンドリュー・ロイド・ウェッバーの作品だったではありませんか。確かに、こういうアルバムだったら、それはまさに最初に思いつくべき曲でした。ご存じ、多くのミュージカルを作ったロイド・ウェッバーが、亡くなった父親のために1984年に作った「レクイエム」の中の1曲ですね。ソプラノ、ボーイ・ソプラノ、そして合唱が、まさに「オペラ座の怪人」のテイスト満載のキャッチーなメロディを歌い上げるというもの、おそらくシャルロット・チャーチあたりが最初にカバーしたのを皮切りに、いまでは多くのアーティストが演奏していますね。いや、なんたって初演の時にはサラ・ブライトマンが歌っていたのですからね。
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この「レクイエム」は、その他の曲もとても魅力的なのに、未だに初演の時のマゼール盤しかないというのはなぜなのでしょう。日本ではアマチュアのオーケストラでも演奏しているというのに。

CD Artwork © Sony Music Entertainment
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by jurassic_oyaji | 2009-05-02 19:06 | 合唱 | Comments(0)