おやぢの部屋2
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Mahler/Das Lied von der Erde
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Klaus Florian Vogt(Ten)
Christian Gerhaher(Bar)
Kent Nagano/
Orchestre Symphonique de Montréal
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先日はバイエルン州立歌劇場のオーケストラとの共演盤をリリースしていたケント・ナガノですが、彼はもう一つ、カナダのモントリオール交響楽団の音楽監督というポストも持っとりおーる。今回は、そちらのパートナーとの仕事による、「大地の歌」の新録音です。
モントリオール響といえば、なんと言ってもシャルル・デュトワがDECCAに行った夥しい録音の印象が強烈ですから、おそらく今回の音を聴いて同じオケとはとても思えないような感想を抱く人はたくさんいることでしょう。録音場所も、デュトワ時代によく使われていたサン・テツィエンヌ教会ではありませんし。その録音場所に関するクレジットが、今回はなかなか細かく記載されています。それによると、2009年の1月に彼らの本拠地、モントリオールのサル・ウィルフレッド・ペレティエで2日間にわたって行われた演奏会を「ライブ」録音した後、プラス・デ・ザールという場所で1日「スタジオ」録音を行っています。さらに、2月に今度はミュンヘンのスタジオで「クラウス・フローリアン・フォークトとのオーバーダビング」のためにセッションが設けられているのです。これだけきちんと書いてあるデータも珍しいものですが、おそらく本番でのテノールの調子がイマイチだったので(2日とも)、録り直しをしたのでしょうね。ただ、彼は演奏会の次の日にはもう帰ってしまったため、オケだけを録音して、それを聴きながら後日ミュンヘンでその「カラオケ」を聴きながら一人でソロのパートを録音した、ということなのでしょう。
そういう場合、録り直した部分だけが全く別の音になってしまうというのは良くあることです。しかし、そのあたりはかなり上手に修正して、そんなに簡単にはバレないようにはなっているようです。そういう技術は、今ではおそらく想像以上に発達しているのでしょうね。ただ、よく聴いてみると、5曲目の「春に酔える者」が、同じテノールソロの1曲目と3曲目とは微妙にオケとソロとのバランスが異なっているような気がするのですが、どうでしょうか。フォークトの声にも、少し艶があるようにも聞こえませんか?
そんな風に、後の「修正」を意識したのかどうかは分かりませんが、これは全体に何か冒険を避けたおとなしめの録音のような印象があります。そのせいでもないのでしょうが、ここでのケントの作りだしたマーラーの世界は、とっても渋いもののように感じられます。言ってみれば水墨画の世界、でしょうか。例えば、デュトワ時代に数々の華麗なソロを聴かせてくれたフルートのハッチンス(ブックレットのメンバー表に、まだ名前がありました)の音色の渋さといったら。
もちろん、ソリストもそのような音楽の作り方にふさわしい人選になっているのでしょうね。しかし、先ほどのフォークトは今回初めて聴きましたが、ワーグナーのそれこそヘルデン・テノールのレパートリーでのキャリアを積み重ねてきた人にしては、なんとも情けない声なのには正直がっかりしてしまいます。ワーグナーとマーラーで全く異なる発声に挑戦しているのだとしたら、それはそれですごいことなのですが、それにしてもこのあまりの草食系の歌い方には馴染めません。
もう一人のソリストは、普通は「女声」のアルトが歌うことが多いのでしょうが、ここではバリトンのゲルハーエルと、「男声」になっています。実際、ピアノ版のスコアでは特に女声という指定はないのだそうですね。有名な1966年のバーンスタインとウィーン・フィルの、カルショーによるDECCA録音でも、フィッシャー・ディースカウが歌っていますし。
しかし、このゲルハーエルもここでの歌い方はまさに草食系、最後の「告別」などは、もっと深さがあってもいいのになあ、と、つい思ってしまいませんか?
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ところで、これは最近のCDに付いている「新生」ソニー・ミュージックのトレード・マーク。これは一体なにをあらわしているのか、ご存じの方はいらっしゃいますか?

CD Artwork © Sony Music Entertainment
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by jurassic_oyaji | 2009-05-22 19:45 | オーケストラ | Comments(0)