おやぢの部屋2
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DURUFLÉ/Complete Sacred Choral Works
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Dawid Kimberg(Bar)
Christopher Gray(Org)
Robert Sharpe/
Truro Cathedral Choir
LAMMAS/LAMM 174D



録音されたのは2004年7月ですし、リリースもかなり前のものなのですが、カタログを検索していてデュリュフレの「レクイエム」が見つかってしまったのでは手に入れないわけにはいきません。店頭や国内の通販サイトでは見当たらないので、直に注文、かなり時間がかかってしまいました(4ヶ月以上)。そのぐらいの執念がないことには、到底「デュリュフレ全種目制覇」の野望は達成することは出来ません。
手に入れただけで満足出来たようなものなのですが、演奏がとても素晴らしいものだったので思いがけず幸福な思いに浸っているところです。デュリュフレつながりで、こんな、全く聞いたことのない合唱団と出会えたりするのですから、世の中捨てたものではありません。
演奏しているのは、イングランド島の南西部に突き出ているコーンウォール半島にある州都、トルローの大聖堂の聖歌隊です。余談ですが、コーンウォールといえば、ワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」に登場する地名ですね。マルケ王の后にと、アイルランドの王女イゾルデを乗せた船が向かう先が、このコーンウォールでした。地図で見ると、この半島からは、アイルランドはすぐそばなんですね。
そんな由緒のあるケルト民族の地の大聖堂は、まさにあたりを睥睨する立派な建物です。そこの付属の聖歌隊は、トレブル・パートが少年、その他のパートは全て成人男性ですから、アルト・パートはカウンター・テナーが歌っています。
録音も、この高い天井を持つ広い石造りの空間の中で行われました。まず聞こえてくるのは、かなりの残響が伴うちょっとぼやけたオルガンの音像ですが、それは決してこのデュリュフレの世界を裏切るものではありません。なまじリアルな録音よりも、こんなアバウトさの方がこれらの曲にはマッチすることが再確認されます。合唱も、かなりの距離感をもって聞こえてきます。実際はオルガンとはかなりズレているのですが、この大聖堂全体が作り出す壮大な響きの中では、それすらも全く気にならなくなってくるのですから、不思議なものです。
その合唱の響きは、とてもふくよか、写真で見ると、トレブルの男の子はまだ年端もいかない感じなのですが、歌い出してみるとそんな幼さなどはまるでありません。それどころか、適切なフレージングと表情は、とても自然に暖かい音楽を醸しだしています。ただ、カウンター・テナーのアルト・パートだけがちょっと異質な音色で、そこだけ異様に飛び出してしまうのが難点といえば難点でしょうか。「レクイエム」の「Pie Jesu」は、ソロではなくトレブル・パート全員で歌っています。これが絶品。歌い出しの繊細さとともに、盛り上がりの力強さには圧倒されてしまいますよ。ですから、最後の「Chorus Angelorum」でも、決してただ心地よいだけのものではない、もっとアグレッシブな音楽が伝わってきます。終始、このトレブルの子供たちに、他の大人のパートがリードされている、というほほえましい情景がつきまといます。
「全曲集」ですから、「Messe cum jubilo」も入っています。男声のユニゾン(+バリトン・ソロ)に華麗なオルガンの伴奏が付いた、まさに現代に蘇ったグレゴリアン・チャントとも言うべき作品ですが、そんな魅力的なトレブルが抜けてしまった残りの男声パートは、いかにも危なげな歌い方になってしまっていることは否めません。しかし、なぜか、良くあるていねいに揃えられたユニゾンからは決して聴くことはできない、もっと絶妙の雰囲気が出ていると感じられるのは、なぜなのでしょう。超高速で歌われるそのメリスマには、確かに作曲者が求めた原初のチャントの「味」がちゃんと込められています。もしかしたら、この作品は普通の「合唱曲」と受け止めてはいけないものなのかもしれませんね。

CD Artwork © Lammas Records
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by jurassic_oyaji | 2009-05-26 23:57 | 合唱 | Comments(0)