おやぢの部屋2
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HASSE/Cleofide
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E. Kirkby, A. Mellon, R. K. Wong(Sop)
D. L. Ragin, D. Visse, D. Cordier(CT)
William Christie/
Cappella Coloniensis
PHOENIX/178



かつてのCAPRICCIOレーベルのライセンスを獲得したPHOENIXから、カペラ・コロニエンシスのCDがまとめて何枚かリリースされました。アウグスト・ヴェンツィンガーを指揮者に迎えて、1954年にケルンのWDR(当時は「NWDR」)によって結成された、この世界初のオリジナル楽器によるオーケストラは、もちろんその時代ですから、今言うところの「オリジナル」とはずいぶん様子が違っていたのでしょうね。その少し後にフライブルクで結成された「コレギウム・アウレウム」と同じように、当初はかなりいい加減なことをやっていたようです。楽器も演奏様式も、まだまだ研究途上でしたから、仕方がないといえば仕方がないのでしょうが、そんなものが永続するわけはなく、「アウレウム」はいつの間にか消滅していましたね。それは歴史の必然、哀れうむことはありません。
しかし、「コロニエンシス」の方は、その活動課程でしっかりした「オリジナル」のカテゴリーとして認められるだけの資質を持った団体に変わっていって、現在に至るまでの長い歴史を誇っています。1997年からはブルーノ・ヴァイルが指揮者となり、例えばウェーバーの「魔弾の射手」や、ワーグナーの「さまよえるオランダ人」の初稿による世界初録音(↓)などの注目盤をリリースしています(DHM/82876 640710 2)。
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1986年に、ウィリアム・クリスティを指揮者に招き、当時の「オリジナル」界のスター歌手を集めて録音されたのが、このハッセの「クレオフィーデ」です。CAPRICCIO時代には4枚組の全曲盤だったものが、今回は1枚だけのハイライト盤としてのリリースです。タイトル・ロールを歌っているカークビーのアリアが最も多く収録されて、まるで彼女のソロ・アルバムのような体裁になっています。
1699年に生まれて1783年に亡くなった、ドイツ人でありながら生涯に74曲ものオペラを作った「イタリア・オペラの作曲家」ヨーハン・アードルフ・ハッセが1731年に作ったのが、この作品です。もちろん、この曲を聴くのは初めてのことですが、クリスティの生き生きとした指揮のおかげもあって、当時の人気作曲家であったハッセの実力が、存分に味わえるものに仕上がっています。
溌剌としたオープニングの序曲は、そのあとにゆっくりとした叙情的な部分、メヌエット、そしてアップテンポのフィナーレと、まさに「交響曲」と同じ4楽章形式を持ったものでした。ハイドンがそういう形の「交響曲」を作るずいぶん前に、ハッセはこんなことをやっていたのですね。
実は、カークビーよりも、アニェス・メロン、ドミニク・ヴィスという、当時クリスティのもとで「レ・ザール・フロリサン」のメンバーとして活躍していたカップル(今でもそうなのでしょうか)が聴けるというのが、お目当てでした。メロンの方は、カークビーとのレシタティーヴォを1曲と、アリアが1曲入っています。こうして並べてみると、カークビーとはまた違った、清楚な魅力が強く感じられます。ヴィスは、なんと言っても変幻自在のダイナミックな歌がたまりません。
ヴィスが歌っているこのアレッサンドロのアリアにはホルンとリュートのオブリガートが付いています。なんと、ホルンのカデンツァまで。そんなところもハッセの、ちょっと今までのイタリア・オペラよりはヴァラエティが感じられる斬新な様式のあらわれなのでしょう。
やはり、楽器をコンチェルタンテ風に扱っているのが、第2幕の「Appena amor sen nace」というティマゲーネのアリアです。ここでは2本のリコーダーが華麗な名人芸を披露してくれます。それと同時に、この曲の構成のなんとキャッチーなことでしょう。ちょっとお高くとまった今までのオペラとは確実に変わっている親しみやすさ、しかも、同じメロディを何回も繰り返すという「ヘビーローテ」の手法まで取り入れて、ハッセは確かに聴き手の心をつかむ術を、見事に手中にしていたのですね。

CD Artwork © Phoenix Music Media, BMG Ariola Classics GmbH.
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by jurassic_oyaji | 2009-06-05 20:18 | オペラ | Comments(0)