おやぢの部屋2
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French Connection


Emmanuel Pahud(Fl)
Paul Meyer(Cl)
Eric Le Sage(Pf)
EMI/557948 2
(輸入盤)
東芝
EMI/TOCE-55720(国内盤 4月20日発売予定)


昔こんなタイトルの映画がありましたね。確か、その映画が評判になっていた時に「フレンチ・コレクション」というパロディのタイトルでアルバムを出したアーティスト(某キングス・シンガーズ)がいましたが、今回のアーティスト(だか、プロデューサーだか)には、それほどのセンスは備わっていなかったのでしょう。しかし、そんなベタなセンスを補ってあまりあるほどの、これは聴き応えのあるアルバムです。
「レ・ヴァン・フランセ」としてアンサンブル活動を行っているフルートのエマニュエル・パユとクラリネットのポール・メイヤーが中心になり、オーボエのフランソワ・メイヤーとピアノのエリック・ル・サージュが適宜加わるという、まさに気心の知れた仲間による演奏、これが、楽しくないはずがありません。アルバムを聴き終わったとき、このグループの名前「フランスの風」のような、一陣の爽やかさが吹き込んできたのを、誰しも感じるはずです。「フランスの風邪」はちょっと勘弁してほしいものですが。
そんな爽やかさを引き出したのは、最初と最後に、まるで表紙のように収録されているショスタコーヴィチのかわいらしい「ワルツ」なのかもしれません。アトウミャンという人が、フルート、クラリネットとピアノのために編曲した、ともに2分足らずの小品ですが、彼の「ジャズ組曲」などにみられるようなとことんキャッチーな味わいが、力の抜けた二人の管楽器奏者によって、いっそう穏やかなテイストをもって私たちを包み込んでくれます。特に、最後の方の第4番のワルツでは、パユは本来の指定楽器であるピッコロではなく、フルートによって同じ音域を(高すぎて出ないところは、もちろん下げて)吹いているために、その脱力感は際だっています。
本編の方には、ヴィラ・ロボス、フローラン・シュミット、ミヨー、ジョリヴェ、そして、初めて聞いたモーリス・「エマニュエル」という人の、なかなか聴くことの出来ない珍しい曲が並んでいます。このエマニュエルさんの作品、3楽章から成るフルート、クラリネットとピアノのためのソナチネなのですが、その最初と最後の楽章に「メリーさんの羊」そっくりのテーマが出てきて、なかなか和めます。しかし、おそらく最大の聴きものは、フルートとクラリネットだけで演奏されるジョリヴェのソナチネではないでしょうか。ここで終始聴くことの出来る、パユのレゾン・デートルともいえる「スーパー・ピアニシモ」は、まさに絶品です。世界中を探しても、こんな音を出せるフルーティストはほかにはいないのではないかと思わせられるほどの、独特なソノリテ、パユの奏でる音は、「フルート」という楽器を超えた、別の次元の響きを運んできてくれています。もしかしたら、彼はもはや「フルーティスト」ですらなくなっているのかもしれません。そう、私がこのアルバムの価値を認めながらも、無条件で身をゆだねることが出来なかったのは、彼の「フルーティスト」としての魅力が伝わってこなかったからなのでしょう。
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by jurassic_oyaji | 2005-03-18 19:09 | フルート | Comments(0)