おやぢの部屋2
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HAYDN/Concerto, notturno per lire organizzate
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Matthias Loibner,
Thierry Nouat(Lire organizzate)
Christophe Coin/
Ensemble Baroque de Limoges
Quatuor Mosaïques
LABORIE/LC 03



先日のアルペジオーネに続いて、またまた「現代では消滅した」楽器に関するCDです。その楽器の名は「リラ・オルガニザータ」、なんか、イタリアンのメニューみたいで、おいしそうですね。どんな味がするのでしょう。いやいや、これは、18世紀の半ばに流行した、言ってみれば「ハーディ・ガーディ」と「オルガン」が合体した楽器です。食べられません。もちろん、竹内まりやの曲とも関係はありません(それは「ハーティ・パーティ」)。
「ハーディ・ガーディ」は英語ですが、ドイツ語では「ライアーLeier」、この言葉から、シューベルトの「冬の旅」の最後の曲、「Der Leiermann」を思い出す人もいるのではないでしょうか。「辻音楽士」などとも訳されていますが、いわばストリート・ミュージシャン、ギターではなくハーディ・ガーディをかき鳴らしながら物乞いをしている男のことなのでしょう。その最後の歌詞が「Deine Leier drehn?」、「おまえのハーディ・ガーディを『回して』くれるだろうか?」。楽器を演奏するときには、普通「回す」という言い方はしませんよね。「弾く」とか「吹く」とか「叩く」が一般的。つまり、この楽器ではこの「回す」いう動作がポイントになってくるのです。
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このように、「ハーディ・ガーディ」の外観は、ちょっと太った大きめのヴィオラ、といった感じです。ただ、そのおしりの部分には、ハンドルが付いていて、それでローラーを「回し」、弦を振動させて音を出します。指板には鍵盤のようなものが付いていますが、その先には「タンジェント」という「駒」があって、鍵盤を押さえるとある長さの弦だけが振動して、音程が変えられるという仕組みです(分かりますか?)。日本に「大正琴」という楽器がありますが、まあ、あんな感じ、ただローラーで音を出すので、長い音を出すことが出来るのが、違いでしょうか(大正琴は弦を弾くだけ)。
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さらに、鍵盤で押さえない「ドローン弦」というのがあって、それは常に同じ音を出しています。さっきの「辻音楽史」のピアノ伴奏でも、そんな感じが表現されていますね。
その「ハーディ・ガーディ」を机のようなものの上に乗せて、楽器のまわりとその「机」の中にオルガンのパイプを並べた楽器が、今回の主人公「リラ・オルガニザータ」です(ふう、やっとたどり着いた。前置きの長かったこと)。
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このCDでは、ロンドンの博物館に保存されていた楽器を元に作られたコピーが2台用いられています。この楽器の音が資料ではなく、音楽として実際に聴けるのは、おそらくこれが初めてのことではないでしょうか。機構的にどうなっているのかは良く分かりませんが、「弦楽器」の部分と「オルガン」の部分が、時には別々に、そして時には一緒に演奏出来るようになっているために、その音色にはさまざまなヴァリエーションが与えられることになります。ここでも「協奏曲」ではほとんどオルガンの音しか用いられていないようですが、「ノットゥルノ」になるとなんともけたたましい、まさに「ハーディ・ガーディ」の面目躍如といった特徴的な音が聞こえてきます。
ちなみに、ハイドンの「リラ・オルガニザータ」のための曲は、現在では、普通に演奏するときには、フルートなどの管楽器で代用されることが多くなっており、それ用の楽譜も出版されています。そんな「普通」の例の中で、つい最近出たのがこれです(NAXOS/8.570481)。
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ここでは、リコーダー、フルート、オーボエなど、楽器の組み合わせに一工夫あって、オリジナルの味を出そうとしているように見えます。でも、「本物」を聴いてしまうと、なんかただの曲、みたいになってしまって、あまり面白くなくなってしまうのが、不思議なところです。
もう一つ、指揮者のコワンが弾いている「バリトン」という、共鳴弦がいっぱいくっついた楽器も、その独特の不思議な音を聴くことが出来ます。珍しい楽器ファンにはお薦め。
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CD Artwork © LABORIE Records, Naxos Rights international Ltd.
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by jurassic_oyaji | 2009-06-10 00:10 | オーケストラ | Comments(0)