おやぢの部屋2
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世界のオーケストラ名鑑387
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音楽之友社刊(音友ムック)
ISBN978-4-276-96188-3


クラシック音楽をこよなく愛している人たちには是非とも座右に置いて欲しい最新の「オーケストラ事典」の登場です。なんたって、サブタイトルが「An Encyclopedia of the Orchestra」ですからね。いや、誇張ではなくこれはまさに待望のもの、これの前身である「指揮者とオーケストラ2002」が刊行されたのが文字通り2002年だったのですが、そこに掲載されていたデータの大部分がすでに役に立たなくなっているほど、昨今のオーケストラの指揮者人事のスパンは短くなっているのですからね。
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2002」に比べて大きく進歩したのは、その収録団体の数でしょう。前は150だったものが、387と、なんと倍以上に増えているのですから。知る限りでは、おそらくこれだけの数のオーケストラの最新情報が1冊にまとまったものなど、他にはないはずです。インターネットで個々の情報を集めることはいとも容易になっていますが、残念ながらこのように集約した情報を得ることが意外に難しいのが、webの世界なのではないでしょうか。
こんなに多くの団体が集まったのは、「オーケストラ」という概念がそれだけ広がってきていることに他なりません。ここでは、いわゆる「室内オーケストラ」も紹介されていますし、さらには、今まではなんとも居心地の悪かったオリジナル楽器による団体も、しっかり「オーケストラ」と認知されるようになっています。さらに、注目すべきは、ラテン・アメリカやアジア、さらにはアフリカなど、今まではまずこういったものでは紹介されることのなかった地域のオーケストラも、しっかり集められていることです。韓国には6つのオーケストラ、中国には、台湾を含めると10ものオーケストラ(もちろん、「クラシック音楽」を演奏する団体)があったことを知るだけでなく、それぞれのプロフィールが得られるなんて、これはちょっとした驚きです。
前作から7年、その間に、オーケストラのランキングが微妙に変化していることも、良く分かります。双方の「トップ10」を比較してみると、共通しているのはウィーン・フィル、シカゴ響、パリ管、ベルリン・フィル、コンセルトヘボウ、ロンドン響の6つだけ、クリーヴランド管、ニューヨーク・フィル、ボストン響などのアメリカの名門オケが外れたのが目を惹きます(もう一つはサンクト・ペテルブルク・フィル)。それに代わってランクインしたのが、順当なドレスデン・シュターツカペレとバイエルン放送響に混じって、ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメンと、ミラノ・スカラ座フィルという、今まではおよそこんなランキングにはかすりもしなかったような団体なのですから、ちょっとびっくり。特に、ドイツ・カンマーフィルは選定者の身びいきがかなり強いという印象は避けられませんが、これが若さの勢いというものでしょうか。あるいは力わざ(それは「カンフーフィル」)。
音楽監督の最新情報とともに、オーケストラそのものの変化も、もちろん知ることが出来ます。スクロヴァチェフスキとのコンビで大活躍していたザールブリュッケン放送響は、いつの間にかカイザースラウテルン南西ドイツ放送管と「合併」していたのですね。
もう一つ、「付録」待遇の「消滅したオーケストラ&録音専門のオーケストラ」という珠玉のようなコラムが秀逸です。ここで初めて知ったのが、今まで漠然とロス・アンジェルス・フィルの団員を中心にした臨時編成のオケだと思っていた「(西海岸の)コロムビア交響楽団」や、「ハリウッド・ボウル交響楽団」が、実はロス・フィルとは全く関係のないフリーランスの演奏家の集まりである「グレンデール交響楽団」だった、ということです。
執筆者も、前作からは名前だけの「長老」がだいぶ抜けていて、より客観的なデータが得られるような気がします。
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by jurassic_oyaji | 2009-06-25 20:43 | 書籍 | Comments(0)