おやぢの部屋2
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Männerchöre der Romantik
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Klaus Breuninger/
Die Meistersinger
HÄNSSLER/CD 98.572, 98.590



「マイスタージンガー」という名前の男声合唱団のアルバムです。そういえば、昔日本にも「東京マイスタージンガー」という男声合唱団がありましたね。1960年代に「うたのメリーゴーラウンド」というテレビ番組にレギュラー出演していた合唱団、その後はアニメの主題歌などを歌っていたそうです。余談ですが、こんな風にグループ名に「東京」という文字が入ると、とたんにダサく見えてくるから不思議です。例えば「東京ビートルズ」なんて、情けなくなるほどしょぼい響きがしませんか?
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「マイスタージンガー」、でしたね。ワーグナーのオペラのタイトル「ニュルンベルクのマイスタージンガー」ではありませんが、これは「シュトゥットガルトのマイスタージンガー」とも言うべき、シュトゥットガルトにある名門合唱団「ゲヒンガー・カントライ」の男声メンバーが集まって作られた合唱団です。母体はちょっと品のない(下品ガー)ネーミングですが、もちろん、あの「シュトゥットガルト・バッハ・アカデミー」の総帥、ヘルムート・リリンクの指揮で史上初のバッハのカンタータの全曲録音を成し遂げた合唱団ですね。指揮をしているブロイニンガーも、リリンクのもとで研鑽を積んだ人です。
創立されたのは1998年、その年に録音されたのが「ロマンティック」(上)の方のアルバム、それからきっちり10年後の2008年に「宗教曲」(下)が録音されて、なぜか2アイテムまとめてリリースされました。母体の「ゲヒンガー」と同様、メンバーは適宜入れ替わっているようで、20人ほどのメンバーの中で10年前から在籍していた人は4人しかいませんでした。そんな、メンバーの違いも踏まえつつ、この2枚のアルバムを比べながら聴いてみるのも、一興でしょう。
まず1枚目は、まさに男声合唱のルーツとも言うべき、ドイツ・ロマン派(モーツァルトなども入ってはいますが)の作品たちです。その中でも「ローレライ」でお馴染みのフリードリッヒ・ジルヒャーの曲が、いかにも伸びやかな屈託のなさを聴かせてくれています。シューベルトの「菩提樹」も、ジルヒャー名義で扱われているのも、何かアバウト、と思ったら、確かにこれはシューベルトのオリジナルとはかなり様子が変わっています。シューベルトは3番まであるミューラーの歌詞のそれぞれに、テキストの内容に合わせて短調に変えたり全く異なるメロディ・ラインを持ってきたりと工夫を凝らしているのに、ジルヒャーはすべて全く同じメロディ(もちろんハーモニーも)で3回繰り返すだけなのですからね。シューベルトの「歌曲」と、ジルヒャーの「男声合唱曲」とは全く別物なのでした。
その点、ベートーヴェンの「夜への賛歌」という曲は、やはり「元ネタ」があるものの、ジルヒャーの様な単調さは見られないのはさすが。初めて聴いた曲なのですが、これがピアノソナタ第23番「熱情」の第2楽章のパラフレーズであることに気が付くまでには、ちょっと時間がかかりましたから。
この曲に出てくるソリも含めて、この合唱団はとても若々しい爽やかさを存分に振りまいてくれていました。決して重々しくならないのも、少人数ならではのフットワークの良さなのでしょう。
それから10年経っての録音でも、そのあたりの特質はかなり維持されてはいるのですが、何か切れ味が悪くなっていると感じられるのはなぜなのでしょう。特に、フォルテシモで見境もなく声を張り上げる(叫ぶとも言う)歌い方は、10年前の洗練さからは明らかに後退しているのではないでしょうか。歌っているのが「宗教曲」なだけに、その無神経さはちょっと辛いものがあります。
ベートーヴェンの「自然に於ける神の栄光」の無伴奏男声バージョンでは、それが最も悪い形で現れています。

CD Artwork © hänssler CLASSIC im SCM-Verlag GmbH & Co. KG
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by jurassic_oyaji | 2009-06-27 21:31 | 合唱 | Comments(0)