おやぢの部屋2
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SAINT-SAËNS/Symphony No.3,BARBER/Toccata Festiva,POULENC/Organ Concerto
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Olivier Latry(Org)
Christoph Eschenbach
The Philadelphia Orchestra
ONDINE/ODE 1094-5(hybrid SACD)



以前マーラーの交響曲第2番をこのメンバーで聴いたときに、オルガンの音があまりに素晴らしかったことに感激したことがありました。そこで、少し前の録音ですがそのオルガンの音を満喫できるはずのこんなアルバムも聴いてみようと思ったのです。
ジャケットにも写っているのが、このオーケストラの新しい本拠地となった「ヴェリゾン・ホール」のオルガンです。エッシェンバッハがこのレーベルに録音を始めた時からブックレットに掲載されていたこのホールでの「集合写真」には、しっかりこのオルガンがステージの上にそびえていた姿が確認されていたものですから、ホールが出来たのと同時にオルガンも設置されていたのだと、ずっと思っていました。しかし、今回、このアルバムのライナーを読んでみると、これは「2006年に行われたオルガンのお披露目のコンサート」だと言うではありませんか。このホールが出来たのは2001年、確かにその時にオルガンの「ファサード」、つまり、オルガンの外身だけはくっつけたものの、内側のパイプや、コンソール(演奏台)は、まだ出来てはいなかったのですね。お金が足らなかったので、とりあえず張りぼてみたいなファサードだけをつけておいて、さらに5年間寄付を募ったのでしょうか(間違ってたらごねん)。確かに、同じ集合写真でも、最初の頃のものにはファサードのすぐ下にあるはずのメカニカル・アクションのコンソールが見あたりませんね。
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なんか、最近のこのオーケストラの凋落ぶりを象徴するような、ちょっと情けない現実のように思えますが、本当は、出来たばかりのホールというのはしばらくは建物自体が収縮を続けますから、すぐオルガンを設置するのはまずいのだ、という主張を律儀に守った結果なのかもしれません。そう思いたいものです。
そんな、オルガンに恵まれない状況というのは、昔からこのオーケストラにつきまとっていたようでした。このホールが出来るまでの彼らの本拠地は、19世紀の末に建てられた「アカデミー・オブ・ミュージック」という本来はオペラのための劇場でした。そこにはオルガンはなく、1960年になって、やっと待望のオルガンが、パトロンからの寄付によって設置されたのです。その時のお披露目のためにパトロンがサミュエル・バーバーに委嘱した曲が、今回も演奏され、アルバムの最初に入っている「トッカータ・フェステイヴァ」です。いかにもオルガンの機能を見せつけるような、内容には乏しいものの華やかな見せ場満載の、盛り上がる作品です。
ちなみに、この昔のオルガンは、ホールに恒久的に設置されたものではなく、使うときだけステージ上に組み立てられるという、「可動式」のオルガンでした。その、ちょっと珍しい画像が、このオルガンのメーカーであるエオリアン・スキナーのサイトで、やっと見つかりました。
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しかし、この楽器も1991年には同じフィラデルフィアにあるリネープ・ヴァレー長老教会に売却されてしまい、現在はこの教会の礼拝堂で「第2の人生」を送っています。ファサードの一部に、ホール時代の面影がありますね。
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そんなわけで、このオーケストラの本拠地にオルガンがない状態はまたしばらく続くことになり、2006年のこの日に晴れてホール備え付けのオルガンが手に入ることになったのです。そんなオーケストラや聴衆の喜びが伝わってくるようなこのアルバム、最も聴き応えのあったのは、あいにくお目当てのサン・サーンスではなく(いや、演奏そのものは腰の据わった格調高いものですが、肝心のオルガンの音がイマイチ)、プーランクのオルガン協奏曲でした。ラトリーとの相性もあったのでしょうか、110ものストップを持つこの巨大オルガンの性能を最大限に引き出して、この曲からバッハのような荘厳さから、プーランクならではの洒脱さまでを見事に描き出しています。

SACD Artwork © Ondine Inc., Helsinki
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by jurassic_oyaji | 2009-07-06 23:11 | オーケストラ | Comments(0)