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BACH/Orgelmesse
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Hansjörg Albrecht
Münchner Bach-Chor
OEHMS/OC 639(hybrid SACD)



「リング」「ゴルトベルク」「展覧会の絵」と、ユニークな曲目をオルガンで演奏してきたこのシリーズ、オルガンのパイプをあしらった統一デザインによるジャケットとともに、なんとも挑戦的なインパクトを与えてきています。オルガンのハンスイェルク・アルブレヒトと、プロデューサー/エンジニアのマルティン・フィッシャーのチームによる最新作は、ちょっと色物っぽかったこれまでのものとはちょっと趣を変えた、バッハの「ドイツ・オルガン・ミサ」という、オーソドックスに迫るものであったのには、別の意味で肩すかしを食らったような感じがしたものでした。しかし、そこは彼らのこと、「オルガン・ミサ」のテーマとなったコラールを、オリジナルの4声合唱のバージョンで歌っているものを付け加えて、「他社製品」との差別化を図ることも忘れてはいません。もっとも、このアイディアは別に珍しいものではなく、最近では鈴木雅明によるBIS盤もありました。このあたりが、オルガニストであり、合唱指揮者でもある両者の強みなのでしょう。
そんなわけで、到底1枚のSACDには収まらず2枚組となっていますが、コラールが入らなくてもまず1枚に収録するのは難しい、この「ドイツ・オルガン・ミサ」は、バッハが生前に出版した「クラヴィーア練習曲集」の「第3巻」にあたるものです。「第1巻」の「6つのパルティータ」、「第2巻」の「イタリア協奏曲とフランス組曲」、そして「第4巻」の「ゴルトベルク変奏曲」は2つの手鍵盤、つまりチェンバロのために書かれていますが、この「第3巻」は足鍵盤(ペダル)も入ったオルガンのために作られました。曲集の最初と最後に「前奏曲」と「フーガ」が置かれていて、まるで「表紙」のように全体の荘厳なイメージをキャラクタライズしています。その中に、「ミサ曲」の典礼にしたがって、それぞれのパート(「キリエ」とか「グローリア」)にちなんだコラールを元にしたオルガン・コラールが全部で21曲、そして、最後に4曲のかわいらしい「デュエット」と呼ばれる2声の曲が演奏されます(もちろん、その後にさっきの「フーガ」ですね)。
聴きどころは、さまざまなテクニックを駆使して飾られたそのコラールたちの、多様な味わいでしょう。言ってみれば、これはバッハが生涯作り続けてきたオルガン・コラールの集大成のようなもの、まさに、それまでのノウハウの積み重ねを誇示するような「テク」の冴えを、じっくり味わおうではありませんか。
そんな「テク」を、オルガニストがさらに際だたせるものが、オルガンのストップの選択です。ここでアルブレヒトが演奏している楽器は、オーストリアの山間の街ホプフガルテン・イン・ブリクゼンタールの聖ヤコブ・レオンハルト教会にあるオルガンです。写真で見ると、バルコニーにリュック・ポジティフが配置されているというバロック・オルガンのスタイル、ファサードの装飾や、ストップの文字なども、そんなヒストリカル楽器のような重厚さをたたえているものでした。しかし、データを見ると、これは1998年にスイスのビルダーによって作られた、極めて新しい楽器だということです。現代でも、こんな装飾的な楽器を作ることが出来るのですね。確かに、音を聴いてみるとヒストリカル特有のノイズは皆無で、かなりクリアなサウンドを持っていることが分かります。そんな楽器の特性を最大限に発揮した、曲によってはかなり「現代的」な、ストップを用いて、バッハの発想をさらに過激に聴かせるような意図が、アルブレヒトの演奏からは感じられないでしょうか。
ただ、元のコラールを歌っているミュンヘン・バッハ合唱団が、いかにもやっつけ仕事に終始しているのが残念です。こればっはりは、合唱団の資質の問題なのでしょうから、どうにもなりません。

SACD Artwork © Oehms Classics Musikproduktion GmbH
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by jurassic_oyaji | 2009-08-02 23:09 | オルガン | Comments(0)