おやぢの部屋2
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BACH/Trio Sonatas
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Rafaele Trevisani(Fl)
Piet Koornhof(Vn)
Paola Girardi(Pf)
DELOS/DE 3391



全くの偶然ですが、先日のグリミネッリに続いて又してもゴールウェイの生徒であるラファエレ・トレヴィザーニのアルバムです。ただ、「生徒」といっても、ゴールウェイの場合、どこかの音大の先生とかをやっているわけではないので、毎年夏に行っているマスタークラスが、そんな「教育」の場となっています。そこには、オフィシャルのピアニストとして、ゴールウェイとは長年のパートナーであるフィリップ・モルが参加していますが、彼とともにピアニストを務めていたのが、ここでピアノを弾いているパオラ・ジラルディなのです。実は彼女はトレヴィザーニの奥さん、夫婦揃って「ゴールウェイ・スクール」に縁があるのですね。
今までDELOSレーベルに協奏曲やピアノとのデュオ(もちろん、ピアノはジラルディ)を数多く録音してきたトレヴィザーニですが、今回はヴァイオリンのピエト・コーンホフを迎えてバッハのトリオ・ソナタを演奏しています。彼の場合、これまでに録音してきた曲目は、基本的に師ゴールウェイのレパートリーを踏襲したものになっているように見えます。中にはモーツァルトのヴァイオリン・ソナタを自らフルート用に編曲して演奏しているようなものもありますが、これも、ゴールウェイが他の楽器の作品を積極的にフルートで吹いてきたことを継承しているに過ぎないわけでして。
もちろん、バッハのトリオ・ソナタも、ゴールウェイは2度ほどパートナーを変えて録音しています。1回目はチョン・キョンファと1979年に、そして、1995年にはなんとバロック・ヴァイオリンのモニカ・ハジェットと共演しています。このハジェットとのセッションでは、チェンバロ(もちろんヒストリカルのコピー)にヴィオラ・ダ・ガンバ、そしてバロック・ヴァイオリンという、およそバランス的には不釣り合いなアンサンブルの中で、見事にモダン・フルートでバッハの典雅な世界を表現していました。他の楽器と見事に溶け合っている点が素敵です。
しかしここでのトレヴィザーニは、敢えてチェンバロは使わず、ピアノとモダン・ヴァイオリンで勝負に出ています。ゴールウェイによく似た音色とビブラートを持つ彼のフルートは、ですから、モダン・ヴァイオリンとの共演であった1979年盤をお手本にしていたのでしょう。めいっぱいフルートの表現力を駆使した、色彩感豊かなバッハの世界が広がります。ただ、そのお手本では、師匠はピアニストのフィリップ・モルにはピアノではなくチェンバロを弾かせていました。低音にチェロを加えていることでバランスをとり、バッハではやはりチェンバロならではのテクスチャーを大切にしたかったのでしょうね。
ですから、ここでジラルディが弾いているピアノは、何か違和感がつきまとってしょうがありません。別に、今の時代にピアノでバッハを演奏することの是非に関して議論をするつもりは毛頭ありませんが、ソロではなくこのようなアンサンブルの場合は、たとえ相手がモダン楽器であっても、チェンバロとは発音原理の全く異なるピアノが入っていると、やはり「違うな」と感じてしまいます。ヴァイオリンもフルートも、音の出し方に関してはバッハの時代と何ら変わるところはないのですからね。トレヴィザーニが師と同じだけの高みに到達したいと願っているのであれば、パートナーにもきちんとチェンバロも弾けるように「夫」として命じることが必要なのではないでしょうか。それに従わないような妻なら、即刻分かれなさい・・・といっても、こんな可愛い奥さんではそんなことはとても出来そうにありませんが。
ゴールウェイがやらなかった試みとして、本来はオブリガート・チェンバロとフルートのためのイ長調のソナタ(BWV 1032)を、トリオ・ソナタとして演奏しています。ただ、第1楽章の欠損部分は、師と同様、アルフレート・デュールによる修復を使っていますがね。

CD Artwork © Delos Productions, Inc.
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by jurassic_oyaji | 2009-08-10 20:34 | フルート | Comments(0)