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Bach Edition Leipzig
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Various Artists
CAPRICCIO/49 254



まるでゾンビのように、もう死んでしまったのか、まだ生きているのか良く分からないドイツのレーベルCAPRICCIOですが、昔のカタログの在庫一掃なのでしょうか、ケーゲルのベートーヴェンのように、初出の時よりははるかに安く放出されていたので、つい手が出てしまいます。これは、だいぶ前に注文していたのが、やっと届いたもの、ただ、中にはもう「ブツ」が残っていなくて、いくら待っても届く見込みがないものもあるようですね。まあ、言ってみればアウトレット品ですから、それは仕方がありません。有るとゲット出来るけど、ないことには・・・。
そもそも、この「バッハ・エディション」は、マルCこそ1999年となっていて、あたかも2000年のバッハ・イヤー(没後250年)に向けて準備されていたもののように見えますが、実際には1985年の生誕300年の時に出ていたシリーズを、ジャケットはそのままで単に間に合わせのボックスセットにして出したというだけのものなのです。実際に昔出ていたものを、散発的に何タイトルか入手してありましたが、この中には含まれていないものもあるのですよ。ホルム・フォーゲルが演奏していたオルガンのためのトリオ・ソナタなどが、そういうものです。つまり、80年代のシリーズのハイライトのような形でしか、リリースはされなかったのですね。そういえば、「管弦楽組曲」の余白に何の脈絡もなくチェンバロ独奏でそれこそ「カプリッチョ」などが入っているのは、その時点でコンパイルされたからなのかもしれませんね。
全部で10枚のCDに、もう1枚ボーナスCD(インタビューやリハーサルが入っている、まさに「おまけ」)というのがこの貧相な「エディション」の全容ですが、そうは言っても、これが録音された1980年代前半というのは、まだ「ライプツィヒ」が「東ドイツ」だった頃、その近辺のアーティストを起用して行われたこのシリーズからは、そんな当時の社会情勢までもが演奏に反映されているようにも感じられます。それは、「バッハゆかりの地」という利点を最大限に活用して、「西側」には決して負けないようなものを作り上げようとする、国の威信をかけた意気込みのようなものでしょうか。そう言えば、ペーター・ギュルケやペーター・ハウシルトによってベートーヴェンの交響曲の「原典版」を完成させ、それをライプツィヒ・ゲヴァントハウス管が録音、「西側」に先駆けて「新しい」ベートーヴェン像を提示したのも、これから数年後の出来事でしたね。
そんな意気込みのあらわれが、ブランデンブルク協奏曲第5番の「初稿」の録音でしょうか。最近ガッティたちの演奏で初めて聴くことが出来たこの名曲の最初の形が、この時代にすでに録音されていたというのは、ちょっとした驚きです。現行版と並べて、その場で比べて聴けるようにした配慮もなかなかのもの。
もう一つの注目盤は、「オリジナル楽器」による「音楽のささげもの」でしょう。ドイツという国自体が、そのような動きに対しては「後進国」、「東」ともなれば、さらに保守的な体質だったのでは、という憶測を見事に裏切るような、これは「西側」へ向けての精一杯のアピールだったのではないでしょうか。なんせ、冒頭の「3声のリチェルカーレ」からして、チェンバロではなくフォルテピアノが使われているのですからね。ここでは、そのバッハゆかりのジルバーマンによる楽器の他に、フレミッシュとフレンチのヒストリカルチェンバロのコピーも登場、それぞれの流派の音の違いまで味わうことが出来ます。ただ、「組曲第2番」などではモダンフルートを吹いている当時のゲヴァントハウス管の首席奏者カールハインツ・パッシン(N響のオーボエ奏者茂木大輔さんの師匠、ギュンター・パッシンの弟)にトラヴェルソを吹かせているあたりが、やはり「後進国」。楽器だけは揃えても、演奏スタイルはモダンのままというしょぼさをさらけ出しているのが惨めです。

CD Artwork © Delta Music GmbH
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by jurassic_oyaji | 2009-08-16 23:17 | オーケストラ | Comments(0)