おやぢの部屋2
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FAURÉ/Requiem
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Dominic Harvey(BS)
Thomas Allen(Bar)
Martin Neary/
Winchester Cathedral Choir
The English Chamber Orchestra
GENEON/GNBC-4154(DVD)



フォーレの「レクイエム」を、実際に教会の中で演奏している新しいDVDが出ました。最近ではそんな機会にはコンサートホール向けの仕様である「第3稿」ではなく「第2稿」が使われることの方が多くなっているので(いや、コンサートホールでも、確実に「第2稿」が主流になりつつあります)「第2稿」マニアとしては当然食指が動きます。
演奏しているのは、マーティン・ニアリーの指揮によるウィンチェスター大聖堂聖歌隊、もちろんその由緒ある石造りの大聖堂の中で撮影されているのでしょう。ニアリーという名前は、1997年に行われたダイアナ妃の葬儀の時に、その会場であったロンドンのウェストミンスター寺院の聖歌隊の指揮をしていた人、ということで記憶にありました。その後で、任地がウィンチェスターに変わったのでしょうか。
しかし、現物のDVDを手にしてみると、それは全くの勘違いであることに気づかされます。そのパッケージには、本当に小さな字で「© 1980 Southern Television」と書いてあるではありませんか。つまり、これが録画されたのは1980年以前だということになりますよ。「第2稿」に基づく最初の出版譜である「ラッター版」が刊行されたのが1984年ですから、これが録画された頃には「第3稿」しか世の中には存在していなかったはずですね。実際に再生してみると、やはりこれは「第3稿」、映像では、「Pie Jesu」以外には出番のない木管楽器奏者が手持ちぶさたにしているのが分かります。しかも音声トラックはモノーラルの上になんとも歪んだ音で、モラルのかけらもありません。とても80年代の音声ソフトのレベルには達していない、まさに音声には無頓着だったその頃の「テレビ番組」そのものの音でした。とんでもない物を掴まされてしまったものですね。さらに調べてみると、このアイテムは、2002年に、これを販売している会社がまだ「パイオニア」という名前だった頃に一度リリースされていたものでした。「ジェネオン」と名前が変わったからといって、実質リイシューのものを新譜のように売りつけるなんて、なんという商売をしているのでしょう。
いや、でもこれは一概にメーカーを責めるわけにはいきません。こちらを見れば、ニアリーがウィンチェスターにいたのはだいぶ昔だったことは分かるはず、自分で書いておきながら、それをコロッと忘れていたのですからね。年はとりたくないものです。
この「テレビ番組」の最初にはジョン・ギールグッドという、イギリスの名優、というよりは、ごく最近までハリウッドで「執事役」として活躍していた人が出てきて、ひとくさり作曲家のことや曲の成り立ちなどを語ります。それに続いて真っ赤なローブに身をまとった聖歌隊のメンバーが入場、指揮者のニアリーも同じ格好です。もっとも、オーケストラは黒いシャツ姿、しかし、合唱がこのオーケストラと一緒に演奏しているシーンはほとんどありません。先日のゴールウェイ同様、これも先に音を録っておいて、合唱がそれに合わせて「口パク」をしている、というものでした。彼らは曲によって、この大聖堂の色々な場所に立たされて「歌って」います。それはまるでこの建物のガイド役のように見えてしまいます。そう、これもやはり、主役は合唱団や彼らが演奏している音楽ではなく、それが響いている建物だったのです。それに気づくと、この演奏がいかにも雑なものであるのも理解できます。テナーあたりは、パートの中で音をまとめようという気持ちなどまるでなく、ひたすら自分の声を目立たせてこの「番組」の中に残そうとしているのではないか、と思えるほどの自分勝手な歌い方に終始していますし。
それにしても、アレンの若いこと。彼の髪がまだ黒々としていたのを見るためだけに、こんなしょうもないDVDを買ってしまったのだとすれば、これほど悔しいことはありません。

DVD Artwork © Geneon Universal Entertainment
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by jurassic_oyaji | 2009-08-18 22:25 | 合唱 | Comments(0)