おやぢの部屋2
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MacMILLAN/Seven Last Words from the Cross
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Graham Ross/
The Dmitri Ensemble
NAXOS/8.570719



ジェームズ・マクミランの合唱と弦楽合奏のための作品「十字架上7つの言葉」は、以前レイトン指揮の「ポリフォニー」の演奏で聴いたことがありました。これが、マクミランとの初対面、その素晴らしい演奏と相まって、この現在売り出し中の作曲家の曲の魅力にとりつかれることになるのです。それからいくらも経っていないというのに、こんな珍しい曲が別の演奏家によってCDになるなんて、なんて幸せなことでしょう。
ここで演奏しているのは、「ドミトリー・アンサンブル」という、2004年に結成されたばかりの若い団体、なんとこのアルバムがデビュー盤となるのだそうです。特に新しい作品を積極的に紹介するために作られたこのアンサンブル、デビュー・コンサートの最後にショスタコーヴィチの「室内交響曲」(ルドルフ・バルシャイによる弦楽四重奏曲第8番の編曲)を演奏したので、このような名前を付けたということです。「津和野」を演奏したからではありません(それは「モリミドリ」・・・分からないだろうな)。中心を弦楽合奏のメンバーが固めて、曲によって他の楽器、あるいは合唱が参加する、という形態をとっています。
ですから、ここで歌っている合唱は「合唱団」としてのクレジットはありません。それにしてはこの合唱はうますぎ、単なる寄せ集めではなく、ある程度恒常的な活動をしているメンバーが集まったような気がします。実はこのCDをプロデュースしたのがあのジョン・ラッター(彼は、録音から編集までやっています)、自分のレーベルではもちろんプロデュースは担当していましたが、こんな所で名前を見るなんて。おそらくこの素晴らしい合唱の人選にあたっては彼が何か積極的に関与していたのではないか、という気がするのですが、どうなのでしょうか。
その合唱は、おそらくレベル的には「ポリフォニー」と同等のようにすら聞こえます。いや、場合によっては、あちらのようなちょっと張り切りすぎのところがない分、こちらの方がより繊細な表現が実現しているようにも思えます。例えば、曲の前半に頻繁に現れるケルト風の装飾が、とても「こなれて」聞こえてくるのですよね。このあたりは、前の演奏から多くを学べるという、「後出し」のメリットだったのかもしれません。後半ではシュプレッヒ・ゲザンク風の技法が現れるのですが、これもこちらはまるでささやくような歌い方で、よりスリリングな情景を醸し出しています。
合唱としてのキャラクターを決めるソプラノパートも、あちらのようなある種禁欲的なテイストではなく、もっと暖かいものが感じられます。適度なビブラートが、邪魔になる一歩手前の所で、この作品に親近感を持たせる一助となっています。
さらに、こちらでは弦楽合奏の精度も、ワンランク上がっているように思えます。ソロのフレーズも自信を持って弾いている感じ、録音のバランスもあるのでしょうが、オケと合唱がお互いに主張しあって絡んでいる様子が、ゾクゾクするほど伝わってきます。
ハイレベルの演奏が2つも揃ったことで、この作品の持つ「力」がより多角的に感じられるようになってきました。こうした真摯な演奏の実績が時代の篩としての役目を果たし、やがては「古典」と呼ばれるような作品へとなっていくのでしょう。
後半は合唱だけによる無伴奏の曲が3曲、ここでも、合唱団の積極的な歌い方が作品の質を正しく伝えてくれています。「Christus Vincit」でソロを歌っているローラ・オールドフィールドというソプラノの人は、「十字架」でのソリストとは別の人で、もっとクールな歌い方が魅力的です。
最近はNAïVEまで聴けるようになって、さらに充実の度を増してきたこちらでも、もちろんストリーミング再生が出来ますよ。

CD Artwork © Naxos Rights International Ltd.
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by jurassic_oyaji | 2009-09-04 20:20 | 合唱 | Comments(0)