おやぢの部屋2
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MAHLER/Symphonie No.9
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Jonathan Nott/
Bamberger Symphoniker
Bayerische Staatsphilharmonie
TUDOR/7162(hybrid SACD)



バンベルク交響楽団と、その現在の芸術監督ジョナサン・ノットによるマーラー・ツィクルス、「5番」、「1番」、「4番」ときて、今回は「9番」の登場です。
今回、ジャケットを見ると、オーケストラの名前が2つ書いてあることに気づきました。一瞬、編成の大きい曲なのでその「バイエルン州立フィルハーモニー」という、聞いたこともないような名前のオーケストラと合同で演奏しているのかな、と思ってしまいました。実は、「フィルハーモニー」の方はこのオーケストラの別の名前だったのですね。彼らの公式サイトでも、きちんと併記されていますし、CDのロゴマークにも、確かに以前から小さい字で書いてありました。これは、2003年に制定された、バイエルン州やバイエルン放送との結びつきを印象づけるための「称号」のようなものなのだそうです。なんとも紛らわしい。そういえば、このSACDも、バイエルン放送との共同制作になっていますね。
これはもちろん輸入盤なのですが、ケースを開けると日本の代理店が作った「特別日本語解説」なるもの(ただ1枚の紙の表裏に印刷しただけのもの、どのあたりが「特別」なのでしょう)が入っていました。「解説」に名を借りた、青臭い主観的な「評論」は噴飯ものですが、元のブックレットには書いてないことがあったのにちょっと注目です。それは、「セッション録音」ということば。ギャラが出ないんですって(そんな殺生な)。いや、コンサートをそのまま録音するのではない、ちゃんとホールやスタジオを借り切って行う録音のことですよ。それにしては会場のノイズなどが聞こえてくるところもあるので「ほんとかな?」という気になってしまいます。そこで、公式サイトで確認してみると、そのあたりのことがしっかり記載されていました。
このオーケストラの本拠地は1993年に完成した「ヨーゼフ・カイルベルト・ザール」という立派なホールなのですが、そこを2008年にホワイエなどを拡張する改修工事を行った際に、内部の音響についても手を加えたというのです。それを手がけたのが、音楽ホールの音響設計の第一人者、豊田泰久さんです。東京のサントリーホールや札幌の「キタラ」を始め、最近ではLAの「ウォルト・ディズニー・コンサートホール」や、サンクト・ペテルブルクの「マリインスキー・コンサートホール」など、国際的に評価の高い数多くのホールを作ってきた豊田さんの今回の仕事が、こちらで詳しく述べられています。一番のポイントは、山台の迫りを作ったことだそうですね。そして、その「迫り」の効果を確認するための最初の録音が、このマーラーの「9番」のセッションだったのだそうです。そのページの下の方にその時の写真が載っていますね(これを見ると、フルートパートが4人しかいません。本当は5人必要なのに、エキストラを呼ばないで4番奏者がピッコロを持ち替えたのでしょうか)。
確かに、改修前の「1番」などに比べると、特に弦楽器の存在感がよりリアルになっているような感じはします。エンジニアが違うので一概には言えませんが、確かにホールの音響は改善されているのでしょう。ダイナミックレンジの設定が及び腰で、肝心のバスドラムの強打が、まるでリミッターをかけたように歪んでいるのがちょっと気にはなりますが。
ノットは、そんなシャープな音場をめいっぱい使って、キレの良い演奏を繰り広げています。第1楽章のハープの不思議な音程にしても、ホルンのゲシュトップにしても、確かな意味のあるものを届けてくれていますし、さまざまなパートが放つ、まるで針で突き刺すようなアタックは「痛み」すらも感じさせてくれます。それが、最終楽章の平穏な世界へと変わるまでの物語は、とても聴き応えがあります。最後に訪れる、「交響曲」にはあるまじきとてつもないフェイド・アウトの緊張感といったら、この世のものとは思えないほどです。そこでは、ノット自身のうなり声さえ音楽の一部と化しています。

SACD Artwork © Tudor Recordings AG
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by jurassic_oyaji | 2009-09-16 20:51 | オーケストラ | Comments(0)