おやぢの部屋2
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BERNSTEIN/Mass
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Alan Titus(Celebrant)
Leonard Bernstein/
Norman Scribner Choir
The Berkshire Boy Choir
Orchestra
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最新の「レコード芸術」を読んでみたら、「海外盤試聴記」に先日ご紹介したバーンスタインの「ミサ」のレビューが載っていました。国内盤の発売は10月ですから、これを書いた方は輸入盤を入手したのでしょうか。あるいは、メーカーからサンプルとして貸与された物を聴かれたのでしょうか。なんだか、いつの間にか輸入盤のレビューも、国内盤と変わらないようなプロモーションの場となってしまったようで、白けてしまいますね。
それはともかく、そのレビューを読んでみたら、「この曲はミュージカルだ」と書いてあるのにはびっくりしてしまいました。私と同じ着眼点でこの曲をとらえている人は、他にもいたのですね。まさか、私のレビューを読んでから、その原稿を書いたわけではないでしょうがね。
その「おやぢ」を書いたときには、作曲家自身の演奏も聴いてみたかったのですが、とっくに廃盤になっていると思って捜してみもしませんでした。しかし、「レコ芸」でのレビューではそれについても触れています。そうなると、やはりこのアイテムを避けて通ることは出来ません。
と思っていたら、なんと1年ほど前にバーンスタインの自作自演を集めたオリジナル紙ジャケの10枚入りボックスが出たときに、その中にこの曲も入っていたのが分かったので、あわてて入手です。確かにそれは、小さくなってはいましたが、昔それこそ「レコ芸」あたりの広告で見たのと同じジャケットでした。
この自作自演盤を聴いてみたかったのは、そもそもバーンスタインはこの作品でどのようなものを目指していたのか、知りたかったからです。それには、まず演奏者のクレジットが役に立ちます。メインであるはずのオーケストラは、ただ「Orchestra」と表記されているだけで、固有の名前があるわけではありません。つまり、常設の団体ではなく、このイベント、ケネディ・センター(The John F. Kennedy Center for the Performing Arts)のこけら落としのために集められたテンポラリーなオーケストラ、と言うか、ほとんど「バンド」であることが分かります。つまり、エレキギターやドラムセットのような、クラシックのオーケストラにはちょっと違和感のある楽器たちも、至極すんなり溶け込めるユニットの形態がとられているということ、これは、この作品の性格を語る上で、かなり重要なファクターになってくるはずです。
そして、それ以上に作品の性格を左右するはずの「セレブラント」のキャラクターにも注目してみましょう。ブックレットにある、ロン毛でギターを持った姿のタイタスは、当時の最先端のファッション「ヒッピー」そのものではありませんか。これが録音されたときにはまだジュリアードの学生だったアラン・タイタスは、その30年後にはバイロイトでオランダ人やヴォータンを歌うことになることなど想像できないような、まさにクラシックとは無縁のパフォーマンスに終始していました。これこそが、作曲家が望んだセレブランとのあるべき姿だったのではないでしょうか。
それに対して、「ロック」や「ゴスペル」を歌うストリート・シンガーたちには、何かと中途半端な雰囲気が漂います。それが人選によるものか、演奏の習熟度によるものかは知るよしもありませんが、なにかと「迷い」のようなものが感じられてしまいます。
このような布陣で世の中に問いかけた「ミサ」、しかし、長いブランクの後にこの作品を取り上げたナガノやヤルヴィは、バーンスタインの発した思いを正確に受け止めることには必ずしも成功してはいませんでした。オールソップのNAXOS盤によって初めて、作曲家の想いが理想的な形で開花したとは言えないでしょうか。いずれリリースされる国内盤でも、「ミサ曲」などという堅苦しいタイトルではなく、単なる「ミサ」という、まるでミュージカルのような邦題が採用されているはずですよ(それは「ミサ・サイゴン」)。

CD Artwork © Sony BMG Music Entertainment
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by jurassic_oyaji | 2009-09-22 20:51 | 合唱 | Comments(0)