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The Swingle Singers
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The Swingle Singers
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「スウィングル・シンガーズ」というのがどういう歴史を持つ団体なのかは、こちらにコンパクトにまとめてありますので参照してみて下さい。創立以来40年以上も第一線で活躍している8人編成のコーラスグループです。
もちろん、そんな長い期間ずっとメンバーだった人などは、いるわけがありません。名前の由来となった、創設者ウォード・スウィングルも、いまでは完全に引退していますし、今まで何度もすべてのメンバーを入れ替えるということを行っているのですからね。現在のグループは10年ほど前にやはりすべて入れ替わった人たちで構成されています。その際に、それまで所属していたVIRGINレーベルを離れ、最近ではSIGNUMあたりからアルバムを出しているようですね。
今回発売された4枚組のアンソロジーは、彼らがVIRGIN時代に残したオリジナルアルバムから4枚を、そのままの形で集めたものです。レジ袋は要りません(それは「エコロジー」)。1991年にリリースされた「A Cappella Amadeus」と「Around the World」、1994年の「Bach Hits Back」、そして1995年の「1812」です。
センセーショナルなデビュー当時、そして一度解散してイギリスで再スタートを切った、まだスウィングルがメンバーの一員として活躍していた頃にこそ注目してはいたものの、この時期の「普通の」グループになってしまった彼らには、正直、全く関心がありませんでした。CDが出ても聴くことはありませんでしたし、すぐ近くまでやって来てコンサートを開いても、逆にこんな田舎までやって来るなんて、なんと落ちぶれたものだ、と思ってしまい、知らんぷりです。
それでも、CDが4枚も入って1700円ほどで買えるとなれば、聴いてみたいと思うじゃないですか。ダメもと、というやつですね。しかし、期待していなかったものが結構良かったりするのは世の常、これもなかなか楽しめるアルバムでした。
Amadeus」は、もちろんモーツァルトの作品のカバーです。交響曲第40番を、大幅なカットを入れつつも4楽章全部を8人の声だけで、確かな緊張感を維持したままで演奏していたのには、かなり驚かされました。彼らのテクニックは、昔とは比べものにならないほど上達しています(はっきり言って、昔はかなりヘタでした)。かつてはドラムスやベースも加えて演奏されていた、スウィングルが編曲した楽譜を使っての「アイネクライネ」の最後の楽章では、「ボイパ」でドラムスの代用をあっさりやってのけて、ジャズっぽいノリを見せていますし。そして、おそらくこの頃からの新機軸なのでしょう、オペラのアリアや合唱曲を、声楽の部分とオケの部分をともにコーラスでやってしまうというユニークなナンバーが聴かれます。「コジ」のフェランドのアリア「Un aura amorosa」など、なかなか堂に入ったものですよ。
Bach」でもその路線は貫かれているようで、コラール前奏曲を演奏したあとに、その元ネタのコラールを歌うという、クラシック顔負けのアイディアも盛り込まれています。「ロ短調」や「マタイ」の曲を、モーツァルトとは逆にスキャットだけで演奏する、という肩すかしもありますし。
1812」はライブアルバム、彼らのテクニックがスタジオの中だけではなく、お客さんの前でも完璧に通用することが、これを聴けば良く分かります。タイトル曲はもちろんチャイコフスキーですが、ドビュッシーの「シャルル・ドルレアンの3つの歌」などという「合唱曲」などまできちんと歌っているのにもびっくり。
一番楽しめたのは、世界の民謡をかなり凝った編曲で聴かせる「Around the World」でした。民族楽器の模倣などもしっかり決まっているからでしょうか、殆ど聴いたことのない曲にもかかわらず、しっかりその国の情感に浸れてしまいましたよ。
いまのグループもそうですが、どんなことをやっても彼らにはなぜか昔のままのテイストがそのまましっかり残っているから不思議です。

CD Artwork © EMI Records Ltd./Virgin Classics
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by jurassic_oyaji | 2009-09-24 20:15 | 合唱 | Comments(0)