おやぢの部屋2
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MOZART/Music for Horn
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Claron McFadden(Sop)
Teunis van der Zwart, Erwin Wieringa(Hr)
Frans Brüggen/
Orchestra of the Eighteenth Century



モーツァルトがホルンのために作った曲を集めたアルバムです。ホルン五重奏曲、ホルン協奏曲第3番、そして「音楽の冗談」というホルンが大活躍するナンバー、さらには、ホルンのオブリガートがフィーチャーされている「ポントの王ミトリダーテ」の中のアリアと盛りだくさん、さらにそれらの曲の間にはホルン2本のためのデュエットが挟まれています。もう最初から最後までホルンづくし、この楽器が好きな人にはたまらないことでしょう。もちろん、演奏家が「18世紀オーケストラ」のホルン奏者ファン・デア・ズヴァールトですから、使われている楽器はナチュラル・ホルン、これも、マニアにはたまりません。聴き始めたら、途中ではやめることができなちゅらることでしょう。
これらの曲は、モーツァルトの友人というか、かなり年上の遊び仲間(楽譜のタイトルに、彼のことをからかったフレーズが書かれているそうです)だったホルン奏者、イグナーツ・ヨーゼフ・ロイトゲープのために作られています。ただ、ここでもう一人のナチュラル・ホルン奏者ヴィーリンガとの演奏でそのうちの8曲を聴くことが出来る「12のデュエット」は、楽器の指定がないために、果たしてホルンのための作品なのかどうかは正確には特定できません(バセットホルンのための曲とも言われています)。しかし、ズヴァールト自身のライナーノーツによると、これは間違いなくホルンの曲だ、と言いきるだけの根拠があるのだそうです。
確かに、ここで聴かれる二人の演奏は、まさにホルンならではの解放感あふれるものでした。これをバセットホルンで吹いたのでは、なんだか音楽が発散しないで中の方に向いてしまうのでは、というようなフレーズがたくさん見られましたね。さらに、高音のメロディ部分(こちらをおそらくズヴァールトが吹いているのでしょう)と、低音の伴奏部分がきっちりと分かれているというのも、ホルン奏者の特性というか、分担(なんでも、ホルン吹きには「上吹き」専門の人と、「下吹き」専門の人がいるそうです)がきっちり反映されているからなのでしょう。ナチュラル・ホルンならではの、倍音以外の音のえもいわれぬ音色の変化も、良くある突拍子のないものではなく、巧みに隠されているのもさすがです。二人の息はぴったり、ホルンを吹くことの喜びみたいなものが伝わってきます。
なんと言っても、これはホルンを聴くべきためのアルバム、ですから、オペラ・アリアといえども主役はホルンであることがはっきり主張された録音は、ある意味見事です。ソプラノのマクファデンの音場ははるか彼方、オーケストラの後方のような遠くの場所の設定なのに、ホルンは真ん前に陣取っているのですからね。ソプラノのオブリガートが付いたホルン協奏曲、といった趣でしょうか。
このアルバムで一番楽しみだったのは「音楽の冗談」でした。以前マンゼの指揮する演奏で、まさにナチュラル・ホルンならではの表現を体験していますから、自ずと比較されても仕方のないことでしょう。しかし、この演奏、なんともお上品というか、あまりにもまっとうなものに終始しているのには、かなりがっかりしてしまいました。確かにアンサンブルに乱れはありませんし、「美しい」音楽を作り上げようとする気持ちは痛いほど伝わってくるのですが、この曲の場合それだけでは「だから?」となってしまいます。今まで他の演奏でも数多く聴いてきた曲ですが、これほど「冗談」が感じられない(いや、確かに何かやろうとはしているのですが、それは見事にハズしています)演奏も珍しいのでは。
そういえば、五重奏曲にしても協奏曲にしても、美しいのだけれど、なんだか味が薄い、という印象を持ってしまったことを、思い出しました。
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by jurassic_oyaji | 2009-10-04 18:12 | オーケストラ | Comments(0)