おやぢの部屋2
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VIVALDI/Gloria
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Sara Mingardo(Alt)
Rinaldo Alessandrini/
Concerto Italiano
NAÏVE/OP 30485



このレーベルのヴィヴァルディ全集は、今まで殆ど知られていなかったオペラや宗教曲の録音を体系的にリリースしてきたことで、各方面で注目を集めていますが、そもそもこのシリーズが始まった頃は、レーベルは「NAÏVE」ではなく「OPUS111」というものでした。OPUS111は、フランスのかつての名門レーベル「ERATO」で、例えばマリー・クレール・アランのバッハオルガン曲全集などを手がけていたプロデューサー/エンジニア、ヨランタ・スクラが1990年に創設したレーベルです。あのメンデルスゾーン版「マタイ受難曲」を世界で初めて録音するなど、ユニークなアイテムを世に送り、新しいアーティストを発掘してきたものの、スクラ自身は1997年に「エグゼクティブ・プロデューサー」となって事実上引退、その後2000年には、レーベルの全カタログと、所属アーティストの権利をNAÏVEに売却してしまいます。ここで演奏しているアレッサンドリーニとコンチェルト・イタリアーノも、スクラによって見いだされたアーティストでした。
NAÏVEは、OPUS111を吸収した後もそのレーベル名をきちんとジャケットに表記していましたが、最近ではそれもなくなり、品番の頭文字「OP」だけがその出自を物語るものになってしまっています。何か寂しい気がしませんか。
アレッサンドリーニとコンチェルト・イタリアーノによるヴィヴァルディの「グローリア」、これは2009年の3月に録音されたものですが、実は彼らは199710月にもOPUS111にこの曲を録音していました(OP 30195→NAÏVE/OP 30448として再発)。
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その時は「マニフィカート」などとのカップリングでしたが、今回は同じ「グローリア」のテキストによる別の曲RV588が一緒、さらに、有名なRV589の方も、「深紅色に彩られ、棘で護られて Ostro picta, armata spina」というソロ・モテットがイントロ代わりに挿入されています。
常に新しい波が寄せては返すオリジナル楽器の世界での11年半というスパンは、演奏家がスタイルを変えるには充分の長さなのでしょう。この新旧の録音を並べて聴いてみると、とても同じ指揮者によって演奏されたものとは思えないほどの変わりように、戸惑いすら覚えます。逆に言えば、レーベルにとってはそのあたりが新しい録音のレゾン・デートルとして、恰好の言い訳となるのです。
旧録音は、冒頭の「Gloria in exelsis Deo」で、すでに聴くものを驚かせるだけのものを持っていました。信じられないほどの速いテンポとアグレッシブなたたみかけ、それはまさに「新しい」スタイルの登場を明確に知らしめるものだったのです。そのような攻撃的な面とともに、さらに衝撃的だったのが「Domine Deus, Agnus Dei」でのアルトソロ、サラ・ミンガルドでした。殆ど息の音だけで始まるそのアリア、それはしだいにクレッシェンドをしてまるで地を這うような音に変わります。その深い響きはそれまで聴いたことのなかったほどのインパクトを与えてくれるものでした。眠気も覚めました(それは「ミントガム」)。
今回の新録音、おそらく目玉はもう一つの「Gloria RV588」だったのでしょう。旧録音で聴き慣れた「Gloria RV589」は、アレッサンドリーニにしては平凡な演奏にしか聞こえないものでした。ここでは、全体を貫いていた攻撃的なテイストは見事に影を潜め、まるで毒気を抜かれたようなおとなしい(あくまで比較の問題ですが)表現に変わっていたのです。
そして、アルトソロを歌っていたのが、旧録音と同じミンガルドでした。彼女の歌は、そのプラン自体は以前と何ら変わらない、衝撃的なものでした。しかし、それをコントロールする能力が完全に衰えてしまっているのにいやでも気づかされてしまうのは、ちょっと辛いことです。ただ、これも比較の問題、旧録音を聴きさえしなければ充分に凄さを感じられるのですがね。現に、RV588の最初のアリアとレシタティーヴォでは、まだまだ彼女の声と表現を堪能できましたから。

CD Artwork © Naïve
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by jurassic_oyaji | 2009-10-08 20:35 | 合唱 | Comments(0)