おやぢの部屋2
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TAVENER/ The Veil of the Temple


Patricia Rozario(Sop)
Steven Layton/
The Choir of thr Temple Church
The Holst Singers
RCA/82876 66154 2(hybrid SACD)



ジョン・タヴナーの最新作は、彼にしてはちょっと珍しいRCAというレーベルからのリリースです。余談ですが、RCAは「BMG」というグループの一つのレーベルであったわけですが、このCDのジャケットには「SONY BMG」というロゴがみられます。そう、だいぶ前から騒がれていたことなのですが、「BMG」と「SONY」という世界の音楽業界を牛耳ってきた二大音楽ソフトグループが、ついに一つのものになってしまったのですよ。チョコとバニラの二色(それは、「ソフトクリーム」)。元をたどれば「BMG」は「ビクター」そして「SONY」は「コロムビア」、LP時代にはともにライバルとして君臨していた2大勢力が「結婚」してしまうのですから、もはやこの業界では何が起こっても驚くことはありません。
ここで演奏されているタヴナーの作品も、規模という点からしたらメジャーレーベルほどのものを持っています。いや、「作品」と言うよりは、夜を徹して遂行される「徹夜祷」という、実際には7時間を要するという宗教行事(ラフマニノフニに「晩祷」という合唱曲がありますが、これが、本来はこの「徹夜祷」と呼ばれるべきものなのです)そのもの、その中で演奏される音楽の部分だけを集めても、この2枚組のアルバムぐらいの長尺ものになってしまうということです。その音楽は、まさにバラエティに富んだもの、ギリシャ正教、ロシア正教、そしてチベットあたりの仏教の臭いがする様々なパーツが、ほとんど脈絡なく次から次へと現れてくる様は、壮観です。ここでは、「結婚」などという生やさしいものではなく、ほとんど「後宮」あるいは「ハーレム」の様相を呈しています。ただ、注意深く聴いてみると、その果てしない流れの中にある秩序を見いだすのは容易なことです。それは、この「徹夜祷」が行われたロンドンのテンプル・チャーチの聖歌隊と、有名な「ホルスト・シンガーズ」という大人の合唱団が、別々に歌うセット、「Kyrie Eleison」あるいは「Lord Jesus Christ」という歌詞を持つ部分です。この歌詞が、最初はホルスト・シンガーズによって、まるで中世のトゥルバドールの歌のような不思議なテイストで歌われたあと、聖歌隊によって移動ドだと「ミファミソ~、ミファミラ~、ソラソド~」という単調なメロディーが、見事な純正調のハーモニーに乗って歌い上げられるのです(ライナーには、この演奏者が逆に表記されていますが、作曲者と指揮者の写真を裏焼きのまま印刷するような校正のレベルですから、これはおそらく間違いでしょう)。しかもそれが、最初は「ニ長調」だったものが、曲、というか、式典が進むにしたがって、「ホ長調」、「ヘ長調」・・・と全音階的にキーが上昇してゆき、最後の部分では「ハ長調」になってフィナーレを迎えるという仕組みになっています(その最後の部分だけは、このメロディーが合唱ではなくソプラノソロによって朗々と歌われます)。この骨組みにさえ気づいてしまえば、その前後に繰り広げられる呪文のような東洋的な朗唱から、それこそラフマニノフのような大地の響きを持つ堂々たる合唱まで、存分に味わうことが出来ることでしょう。そして、全てを聴き終わったとき、高揚を続けてきた音楽とは裏腹に、体の中のどこかがいつの間にか浄化されているように感じるはずです。それこそが、タヴナーの音楽の目指したものなのかもしれません。
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by jurassic_oyaji | 2005-03-25 19:54 | 合唱 | Comments(0)