おやぢの部屋2
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BACH/Brandenburg Concertos
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Kati Debretzeni(Vn)
John Eliot Gardiner/
English Baroque Soloists
SDG/SDG 707



ガーディナーの長年の手兵、合唱部門はモンテヴェルディ合唱団ですが、オーケストラではこのイングリッシュ・バロック・ソロイスツでしょう。いつもはカンタータの伴奏などで合唱団をサポートしている彼らの、いわばソロ・ステージとして「ブランデンブルク」を演奏した、記録です。そう、これはそんなコンサートのライブ・レコーディングという、良くある形ではあるのですが、そのようなときに「本番前」に録っておいたものを予備のテイクにするのではなく、「本番後」にさらに録音セッションを組んで問題があったところを修正していたようですね。単なる「ライブもどき」とはひと味違う、もっと前向きの良心が感じられる録音のやり方だとは思いませんか?
録音はパリの「シテ・ド・ラ・ミュジク」という、かなり広い空間(5番以外)と、ロンドンの「キャドガン・ホール」というこぢんまりとしたホール(5番)の2箇所の会場で行われていますが、その違いはほとんど分からないほどなのは、エンジニアの腕でしょうか。というより、ここでは会場全体のアコースティックスではなく、個々の楽器の音をきちんと録るという姿勢をとっているようですから、それほど場所の影響がなかったのかもしれません。その結果、コンマスのデブレッツェーニの弾くバロック・ヴァイオリンの音は、オリジナルと言われて思い浮かべるような軽やかな音色ではなく、もっと芯のある、言ってみれば素材の木材の年輪まで感じることが出来るような骨太のものになっています。チェンバロも、まるでモダンチェンバロかと思ってしまうような強靱な響きです。
演奏は、どの曲もしっかりとした同じポリシーが感じられるものでした。それは、とても生き生きとしたリズムと、自発的な表情です。それが、単にリハーサルで指揮者が要求したものを忠実に再現しているというものではなく、すべてのメンバーが共有しているものが自然に現れているというのが、ちょっとすごいところです。この件に関しては、先ほどのデブレッツェーニがライナーに執筆している文章によって具体的に知ることが出来ます。ずっと継続されているバッハのカンタータなどの演奏を通じて、ガーディナーとメンバーとは「バッハに関する同じ言語」を語れるようになっている、というのです。その基本は「ダンスとリズム」だと。さらに、ほとんど室内楽と言っていい3番から6番ではガーディナーはメンバーに演奏を任せ、大編成の1、2番だけ指揮をしていたのだそうです。それでも1番でのホルンのとびっきりのけたたましさなどは「放任」していたのでしょうね。
興味深いのは、2番や4番でリコーダーを演奏している人が、別の曲ではフルート(トラヴェルソ)やオーボエを演奏している、ということです。いや、トラヴェルシストやオーボイストが、リコーダーを「持ち替え」ている、と言った方が正しいのかもしれません。もちろんバッハの時代ではごく普通に行われていたこんな「持ち替え」も、現代の「オリジナル楽器」のシーンではほとんど実現されることはありませんでしたが(そういう点では、エッカルト・ハウプトのようなモダン楽器業界の人の方が進んでいたのかもしれませんね)、やっとそういう面での「オリジナル」を意識し始めたのでしょうか。その結果、4番でのリコーダーのデュオは、専門のリコーディストにありがちなちょっとひねりをきかせてものではなく、いともシンプルで爽やかなものになりました。その中で流れるようなソロを聴かせるヴァイオリンは、まさに軽やかな「ダンス」そのものざんす

CD Artwork © Monteverdi Productions Ltd
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by jurassic_oyaji | 2009-11-15 22:41 | オーケストラ | Comments(2)
Commented by hkawahara at 2009-11-18 23:39 x
初めまして、hkawaharaと申します。jurassic_oyaji様のCD評、いつも楽しく拝見しております。

上記CD評を拝見したのですが、一ヶ所、あれっと思うところがありましたので、差し出がましいようですが、コメント投稿させていただきました。

> 大編成の1、2番でも、最初のうちは指揮台に立っているものの、
> しばらく経つと客席で聴いているようになっていたのだそうです。

上記箇所なのですが、おそらくjurassic_oyaji様はライナーノートに掲載されている、以下の英文(P.16最終センテンス)から、上記のように読まれたのではないかと推察いたします。

He took the conductor's stand in No.1 and No.2, whilst sitting in the audience (an unusual place for the conductor!) in the rest.

ですが、上記英文の意味するところは、「第1、2番では指揮台に立っていた一方で、それ以外の残り(the rest)の協奏曲、つまり第3~第6番では客席で座って聴いていた」ということではないかと私には思われます。

以上につき、僭越ながら、御知らせ申し上げた次第です。私の方の勘違いであるかもしれませんが、その際は御無礼の段、平に御容赦ください。
Commented by jurassic_oyaji at 2009-11-19 08:32
hkawaharaさま。
コメントありがとうございました。
ご指摘の通り、あの部分は「rest」の意味を取り違えた私の誤訳でした。お恥ずかしい限りです。
本文の方も多少訂正させて頂きました。
今後ともよろしくお願いいたします。