おやぢの部屋2
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ORFF/Carmina Burana
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Heidi Elizabeth Meier(Sop), Stefan Adam(Bar)
Jean-Sébastien Stengel(Ten)
大植英次/
Mädchenchor Hannover, Knabenchor Hannover
NDR Radiophilharmonie
RONDEAU/ROP6030




オルフの「カルミナ・ブラーナ」ほど、納得のいく演奏に出会える機会が少ないものもないのではないでしょうか。なにしろ、ソリストや合唱のハードルが異様に高すぎ。すべてに満足のいくメンバーを揃えるのは、至難の業です。まず、ソプラノ・ソロはハイ・ノートを軽々と出せるだけのスキルが求められます。しかし、それは朗々と歌い上げる、というものではなく、そこには清楚さが求められるのですから大変です。力は秘めているものの、あくまでも「清らかな女神」といったイメージでしょうか。そして、1箇所しか出番のないテノール・ソロほど、特異なキャラクターが要求されるものもありません。声の質はテノールというよりはカウンターテナー、さらにオーバーなほどの演技力も持ち合わせていなければなりません。最も出番の多いバリトン・ソロは、さまざまなキャラクターを歌い分けなければいけません。音域も、ファルセットでの高音から低音まで多岐にわたっていますし。そして、いかに芝居っ気を発揮しているときでも、他のパートに合わせるだけのリズム感も持っていなければなりません。
さらに、しっかりとしたグルーヴをもった大規模な混声合唱(特に、重厚な男声パート)と児童合唱、そして、それらを支える多くの打楽器を含むオーケストラと、必要なものは数知れず、そんなすべての要因を満たすような演奏などどこにもないのでは、とさえ思ってしまいます。個人的には、1973年に録音されたアイヒホルンの演奏が、そんな理想にかなり近いようにも思えます。これでソプラノのルチア・ポップがもう少し軽ければ、まさに完璧なのですがね。
大植英次が、1998年から首席指揮者を務めている、ハノーファーの北ドイツ放送フィル(ハンブルクにある「北ドイツ放送交響楽団」とは別の団体)と2008年の5月に行ったコンサートでのライブ録音では、果たして満足のいくものを聴くことは出来るのでしょうか。
まず、合唱のクレジットにちょっと?です。そこにあるのは「ハノーファー少女合唱団」と、「ハノーファー児童合唱団」という記載だけですから、男声パートはないように見えませんか?もしかしたら女声合唱バージョンなのか、と思ったのですが、ブックレットの裏表紙にある写真を見てみたら、ちゃんと大人の男声も演奏に加わっていたようなので、一安心です。しかし、この男声は、いったいどういう素性の人達だったのか、気になりますね。
演奏が始まると、いまどきの解像度の高い「ライブ」録音に比べると、いかにも一昔前のワンポイント録音に近いおおざっぱな録音であるのには、ちょっとがっかりさせられます。そう、さっきのリストからは抜けていましたが、「よい録音」という項目も、この曲には外せないポイントなのですよ。ここでは、バランスが悪いので、合唱が完全にオーケストラに隠れてしまっています。なにしろこの合唱団は、写真で見ると女声は人数だけはたくさんいるようなのですが、なんとも貧弱、なにもしなくても聞こえてくる、というわけにはいきません。男声の方はまずまず力は感じられますが、ライブのことですから最後までコンディションが維持できない、というのが辛いところです。
そんなライブのハンディがもろに演奏にあらわれてしまったのが、バリトンのアダムでしょうか。「酒場にて」あたりではそこそこいい味を出していたというのに、「愛の誘い」になるとなんとも苦しげな歌い方になってしまっていましたね。
大植の指揮は、適度にオーケストラを煽り立てて、高揚感を誘ってはいるのですが、あいにく合唱がそれについて来れなくて(あるいは先走って)空回りに終わっているところが多く見かけられます。そこまでを含めた統率力が、この「ライブ」ではあいにく発揮できなかったということなのでしょうか。怖いですね、奥さんは(それは「ワイフ」)。

CD Artwork © Rondeau Production
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by jurassic_oyaji | 2009-11-27 19:56 | 合唱 | Comments(0)