おやぢの部屋2
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VOGLER/Requiem
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Sabine Goetz(Sop), Barbara R. Grabowski(Alt)
Christopf Wittmann(Ten), Rudolf Piernay(Bas)
Gerald Kegelmann/
Chor of the Staatlichen Musikhochschule Mannheim
Kurpfälzisches Kammerorchester
ARTE NOVA/ANO 716630




前回ご紹介したフォーグラーは、なかなかの掘り出し物でした。まさに三大グルメ(それは「フォアグラ」)。あれに味を占めて、もっと他の曲を聴いてみようとCDを集めているところです。そんな中で分かったのは、あのかなりレアな曲である「レクイエム」は、あれが世界初録音というわけではなかったということです。すでに1999年に録音されたものが存在していたのですね。それがこのARTE NOVA盤です。リリースされたのは録音直後、その頃はまだディーター・エームスが社長だったはずですが、程なく彼自身のレーベル「OEHMS」を立ち上げ、スクロヴァチェフスキのブルックナー全集などのアイテムを持って行ってしまったのでしたね。残されたARTE NOVAは、それ以後もBMG傘下のレーベルとして細々と活動していたのでしょうが、BMG自体があんなことになってしまったので、どうなったのか興味があるところでした。
そんな折、この「レクイエム」がまだカタログに生きているのを確認、しかも、2007年にはリイシューもされているということで、早速入手していました。これだったらギリギリ「新譜」でしょう。さらに、ちょっと気になることもありましたし。というのも、例によって他に資料がないので仕方なく頼りにすることになるメーカー(当時はBMGファンハウスでしょうか)のインフォを見てみると、「1777年に作られたレクイエム」などと書いてあるのですから、もしかしたら前回の1806年ごろのレクイエムとは別の作品ではないか、と思ってしまうではありませんか。もちろん、聴いてみればこれは先日のOEHMS盤と全く同じ曲、またしてもメーカー・インフォのデタラメさ加減が再確認されたことになります。
現物のクレジットを見てみると、ロゴマークだけは「ソニーBMG」(つまり、今のソニー)のものですが、レーベル自体はソニーとは別の「アレグロ」とかいうアメリカのメディア会社のものになっているようですね。ソニーからはリストラされたということなのでしょうか。
この「レクイエム」は、マンハイムの音楽文化に多大の貢献をなしたプファルツ選帝候カール・テオドールの没後200年を記念して録音されたものなのだそうです。合唱が、フォーグラーが創設したマンハイムの音楽学校の合唱団と、その由緒の正しさには事欠きません。しかし、演奏そのものはなんともユルいものに終始している、という印象はぬぐえません。冒頭の「Requiem」から、その合唱の、特に男声パートのだらしなさには、思わず笑いがこぼれます。オーケストラもなんだかまるで緊張感のない演奏で、なんとも惹きつけられるものがありません。OEHMS盤はオリジナル楽器のオーケストラでした。木管楽器、特に出だしで聞こえてくるクラリネットの不思議な音色や、とても柔らかなオブリガートを奏でているトラヴェルソだったからこそ、逆にその独自の様式感が光って感じられたものです。しかし、こちらはモダン楽器を用いたアンサンブルのようで、フルートあたりのかなり刺激的な音色は、先にオリジナル楽器の演奏を聴いてしまっているので、なおさら耳障りに聞こえます。
ハイライトともいうべき「Tuba mirum」のトランペットの掛け合いも、せっかくの広い空間を生かした(たぶん)構成が、全く行かされていない、ごく平凡なものに終わっています。エコーとしての「ラッパ」が、たまに聞こえてこないことがあったりするのですから、これは大問題。常に同じ音型が鳴り続いているからこそ、その特異なストラクチャーが明らかになって来るというのに。
おそらく、「世界初録音」という看板に惹かれてこの演奏を先に聴いていたとしたら、先日感じたようなこの曲の「先進性」などは、全く気づくことはなかったことでしょう。ほんと、最初の出会いというのはとても大切なものなのです。

CD Artwork © Allegro Corporation(USA)
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by jurassic_oyaji | 2009-12-03 20:48 | 合唱 | Comments(0)