おやぢの部屋2
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Sehnsucht
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Lenneke Ruiten(Sop)
Thom Janssen(Pf)
Béni Csillag/
The Gents
CHANNEL/CCS SA 30109(hybrid SACD)




「ジェンツ」といえば、1978年生まれの若きペーター・ダイクストラが1999年に仲間を集めて作ったオランダの男声アンサンブルでしたね。独特の柔らかい響きでとても心が和むアルバムを何枚かこのレーベルから出していました。ところが、リーダーで指揮者であったダイクストラは、2005年に長い歴史を持つ名門合唱団、バイエルン放送合唱団の音楽監督に就任してしまいます。まさに大抜擢ですね。
今までに、彼が合唱指揮者を務めたオーケストラとの共演の録音はいくつかリリースされていました。最近この合唱団や2つのオーケストラを統括しているバイエルン放送が「BR KLASSIK」というレーベルを発足させ、日本でも流通するようになると、そこには彼が指揮をした合唱団独自のアルバムが見つかりましたので、彼がこの晴れ舞台でどんな仕事をしているのか、聴いてみました。聴いたのは2枚、マルタンの「ミサ」などが入ったもの(403571900500)と、なんと2枚組のバッハの「マタイ受難曲」(403571900900)です。
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しかし、「マタイ」の方は、聴いてみるとメインはダイクストラたちの合唱(もちろんオーケストラも)ではなく、それはこの曲のことを長々と解説していたナレーションだったのですよ。その中に「参考音源」として、その演奏が挿入されている、ということなのでした。おそらく、そんなラジオ番組でもあったのでしょうね。それ自体は面白そうな企画なのですが、なんせ全編ドイツ語のナレーション(というか、ドラマ仕立て)ですし、対訳も付いていませんから、内容はほとんど分からないよう。いつの日か、この「マタイ」だけがリリースされる日を待ちたいものですが、ここで聴く限りはそれほど耳をそばだてるところはないような、何か平凡な演奏でした。
同じように、マルタン、コダーイ、プーランクと並べた、これはきちんとしたリサイタル・アルバムの方も、特段惹きつけられるものが感じられない、正直退屈な演奏でしたね。合唱の声もバラバラ、緊密なハーモニーにはほど遠い仕上がりです。ダイクストラくんの才能は、仲間うちでしか発揮できないものだったのでしょうか。
そして、残された「ジェンツ」が、2008年に新たに指揮者に選んだのが、1976年生まれのハンガリー人、ベーニ・チッラグでした。彼との最初のアルバムが、このドイツ・ロマン派の曲集です。これは、おそらくこの指揮者の意向による選曲なのでしょう。確かにダイクストラの時とは微妙に路線が異なってきているようには感じられます。
シューベルト(アルバムタイトルの「あこがれ」など)やシューマンでは、彼らの特色である柔らかい響きがちょっと裏目に出ているようで、ちょっと音色的に違和感がなくはないのですが、これも前の名曲路線を受け継ぐものととらえれば、そのようなある種「癒し」としての価値は捨てがたいものがあります。なまじ「オトコ」ぶって、荒々しさが強調されたよくある演奏よりははるかに魅力的です。
しかし、ヴォルフの「アイヒェンドルフの詩による宗教的な歌」あたりでは、そのような姿勢は曲の持つ力には対応できなくなってしまいます。独特の憂いを含んだ細やかな和声が、彼らにかかるとただのユルいだらしなさにしか聞こえないのが、辛いところです。
ただ、同じオランダ人の血をひくユリウス・レントヘンになると、俄然音楽が輝き出します。その中にある北欧的な涼しさが、おそらく彼らのテイストとうまく合致していたのでしょう。この「希望」と「フィエゾレ」という2曲は、最も心を打たれるものでした。
リヒャルト・シュトラウスは、ちょっと微妙。独特の広がり感はよく出ているのですが、なにかが足りません。
指揮者が変わっても、彼らの持ち味は全く変わっていなかったのは、「ジェンツ」にとっては幸せなことなのか、それとも・・・

SACD Artwork © Channel Classics Records bv, BRW-Service GmbH
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by jurassic_oyaji | 2009-12-10 19:58 | 合唱 | Comments(1)
Commented by letterstand at 2009-12-11 22:50
はじめまして。
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「手紙」と「言葉」のギャラリーショップをはじめました。
もし興味ございましたら、ご覧ください。
よろしくお願いいたします。
( コメント欄より失礼いたしました )

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