おやぢの部屋2
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BERNSTEIN/West Side Story
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Original 1957 Cast Recording
NAXOS/8.120887




バーンスタインの「ウェストサイド・ストーリー」は、1957年9月26日にブロードウェイで初日の幕を開けましたが、これはその3日後に同じキャストがスタジオで録音したものです。とは言っても、もちろんこれは新譜ではなく、CDとしても何度も発売になったアイテムです。そして、それはこの録音の権利を所有していたSONYからりリースされたもの、その国内でのリイシュー盤は、こちらですでにご紹介していました。
1957年の初演、そして録音ということは、つい最近、2007年には「50周年」を迎えたことになります。事実、その時点で日本版の公演を行っていた「劇団四季」では、大々的にその事をアピールしていましたね。さらに、「50年」というのは、著作権や著作隣接権が切れてしまう時限でもあります。つまり、録音されて50年以上経過したものは、原則として録音者の権利が消失、その音源を誰が販売してもかまわなくなってしまいます。
言ってみれば音源に関するコストが「タダ」になるのですから、これをNAXOSが放っておくはずがありません。「NAXOS MUSICALS」などという大層なロゴを設けて、ジャケットもまるで別物のように新しくなったこんなアイテムを発売してくれました。
SONY盤もまだ現役で出回っているというのにこんなものを出すというのは、権利はともかく道義的にはなんだかなぁ、という気がするのですが、まあこの会社、ひいてはこの業界に道義とか倫理を問うことに意味がないのは明らかです。レーベルが違うから、別のテイクか何かかな、などと思って騙されて買ってしまうような被害が出ないことを、切に願うのみです。
もちろんそんな詐欺まがいに引っかかるほどの愚か者ではありませんよ。これがSONY盤と全く同じものであることは知っていて、敢えて買ったという「確信犯(?)」なのですよ。手元のSONY盤が出てからもう10年近くも経過していますから、その間のマスタリングの進歩が、もしかしたら反映されているのでは、という淡い期待があったからなのです。ジャケットにはちゃんとマスタリングとレストレーション(修復)のエンジニアの名前が明記されていますしね。
果たしてその結果は。このNAXOS盤を聴いてみて、最初のインストの「プロローグ」などは、SONY盤とほとんど変わらないクオリティのように思えました。ただ、全体に音圧が上がっているのでしょう、それぞれの楽器がより生々しいものに聞こえることもありますが、その違いは特にはっきりしたものではありません。しかし、そこにヴォーカルが入ってくると、様相は一変します。その声が、まるでコンサートの時のPAのように、力強さはあるものの、およそ人間の声とは思えないような潤いのない機械的なものになってしまっているのです。例えば「アメリカ」での女声合唱などは、そんな汚い声が重なり合って、とても聴くに堪えないものでした。
SONY盤は、2000年にDSDでマスタリングされたものでした。SACDが発表された直後ですね。これを改めて聴き直してみると、ヴォーカルはとても自然なものに聞こえます。なんせ半世紀以上前の録音ですから、物足りないところはたくさんありますが、それらを含めても当時としてはかなりクオリティの高いものだったことがよく分かるマスタリングでした。しかし、今回のNAXOSによるマスタリングは、一見磨き直された音のようであっても、実は単なる厚化粧でごまかしただけ、結果的にはとんでもない粗悪品になってしまったものでした。これは、耳の悪いエンジニアが、安易にデジタル・レストレーションに頼ってあれこれいじくり回したあげくに、醜い「整形美人」を作り上げてしまった結果です。こんなものを聴かされて、「やはり昔の録音は、音が悪いね」などと思う人がいたとすれば、なんと悲しいことでしょう。これでは、不満がたまるばかり(それは、「フラストレーション」)。

CD Artwork © Naxos Rights International Ltd.
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by jurassic_oyaji | 2009-12-14 19:42 | オペラ | Comments(0)