おやぢの部屋2
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Swing Sing'
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Swingle II
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ごく最近、「スウィングル・シンガーズ」のVIRGIN時代のアルバムのリイシュー・ボックスをご紹介したばかりですが、今度はまだウォード・スウィングルが在籍していた時代、1970年代の「スウィングル」のコンピレーションCDがリリースされました。
1962年にフランスで創設され、「ダバダバ・コーラス」で一世を風靡したグループは1973年に一旦解散します。そして、1974年にイギリスで全く新しいメンバーを集めて「リセット」されたときには、名前も「Swingle II」と変わっていました。それは、同じ「スウィングル」であっても、今までのグループとはひと味違うコンセプトをもっていることの主張だったのでしょうか。確かに、その名前でCBSからリリースされたファースト・アルバム「Love Songs for Madrigals and Madriguys」は、コーラスパートはルネサンス期のマドリガルをオリジナル通り歌い、それにピアノ・トリオ(ただし、ピアノパートはウォード自身がアープ・シンセサイザーやチェンバロを弾いています)の伴奏が付くという、今までになかった挑戦がなされたものでした。国内盤のジャケットの裏側が、アメリカ盤とほぼ同じデザインです。ちなみに、アルバムタイトルにある「Madriguys」は、「gals」という単語に敏感に反応した制作者のおやぢの造語なのでしょう。「Madrigays」ではなくてよかったですね。
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このときのメンバーは、ロンドンで活躍していたフリーランスの歌手が集められました。その中にはソプラノのキャサリン・ボット、アルトのリンダ・ハースト、そしてテノールのジョン・ポッターなどのように、後の「古楽」シーンで重要な役割を担うことになる人たちが含まれていたのですから、ちょっとすごいことです。このファースト・アルバムでは、そんな「立派」な人たちが、あくまでそれまでの「スウィングル」のスタイルの、ちょっとハスキー気味の発声を貫いているのが、興味をひきます。
今回のCDは、それ以後にリリースされた3枚のアルバムからのコンピレーションのようです。なにしろこれが「70年代スウィングルの初CD化」というぐらい、冷遇されているカタログですから、正確なところは分かりません(1976年にCBSではなくDECCAに録音したベリオの作品集が1990年にCDになっていますから、「初CD化」というのは実はウソなのですが)。
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今回のコンピ、メインには、1970年代当時、あのジョシュア・リフキンの手によって蘇ったジョプリンのラグタイムが中心になったアルバムからの曲が収められています。マドリガルから一転して「ヒット曲」指向になってしまったあたりが、後のこのグループの行方を象徴しているようですが、アレンジの技法としては、今までの「ダバダバ」を捨てて、きっちり歌詞を歌い込む方向性が強く感じられるのではないでしょうか。ここでは、元々インスト曲だったラグタイムの数々に、新たに新しい歌詞が付けられています。細かい音符一つ一つにまるで早口言葉のように歌詞を当てはめた、いわゆる「ヴォーカライズ」と呼ばれる、マンハッタン・トランスファーあたりがお得意にしていた手法ですね。しかし、ウォード・スウィングルが最初に参加した「レ・ドゥブル・シス」というグループも、「マンハッタン」同様、この手法の始祖「ランバート・ヘンドリックス&ロス」に影響を受けていたのですから、ルーツは一緒なのですよ。
他のアルバムからのナンバー、スティービー・ワンダーの「You Are the Sunshine of My Life」では、うってかわってハイスピードの「ダバダバ」の応酬、やはり彼らにはこれが一番似合うことに妙に納得させられてしまいます。
それぞれのアルバムのコンセプトを知るためにも、こういう形ではなく、この時期のCBS盤がオリジナル、あるいは2on1の形で復刻されることを切に望みたいところです。リフキンも出してくれたタワー・レコードさん、お願いしますよ。せめて「Madrigals」だけでも。

CD Artwork © Sony Music Entertainment
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by jurassic_oyaji | 2009-12-16 21:00 | ポップス | Comments(0)