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The Minimalists
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Geoffrey Douglas Madge(Pf)
Jussi Jaatinen/
Orkest De Volharding
MODE/MODE 214/15




オランダのバンド「Orkest De Volharding」による、タイトル通り、「ミニマル・ミュージック」という範疇で語られる作曲家の作品を集めた2枚組のアルバムです。「ミニマル」の代名詞、テリー・ライリーとスティーヴ・ライヒは欠かせませんが、その他にルイス・アンドリーセン、ジョン・アダムス、カイル・ガン、デイヴィッド・ラングといった有名無名の作曲家が名を連ねています。
このバンド、変わった名前ですが、そもそもは1972年に作られた、アンドリーセンの「De Volharding」(「忍耐」でしょうか。いかにもミニマルらしい退屈そうなタイトルですね)という曲を演奏するために結成されたグループです。その曲の編成に合わせて、サックス、トランペット、トロンボーンがそれぞれ3人、それにフルート、ホルン、ピアノ、ベースが加わるというちょっと変則的なビッグバンドになっています。それに指揮者を加えた14人が、このグループのメンバーということになります。ここでは、曲によって適宜プレイヤーを追加して演奏しています。
1枚目のCDは、ライヒの「City Life」で始まります。1995年に、木管楽器や打楽器に弦楽四重奏を加えた編成のアンサンブルのために作られた作品ですが、ここでは、このグループの音楽監督、アンソニー・フィウラマによって、ビッグバンド用に編曲された版が用いられています(どちらのバージョンも、Boosey & Hawksから出版されています)。それだけではなく、どちらにも使われてこの作品を特徴づけているのが「サンプラー」の存在です。タイの醤油(それは「ナンプラー」)ではなく、自然音を録音(サンプリング)してそれを音楽の中に素材として挿入する「楽器」ですね。ここでは街の騒音やスピーチなどが使われています。これは、ライヒの昔からの得意技、雑然とした都会の喧噪が目の前に広がります。それとともに、彼の方法論の限界も。
ガンの曲は「Sunken City(In Memoriam New Orleans)」という2005年の作品です。タイトル(沈んだ都市)といい、作られた時期といい、これはあのハリケーンによる大惨事がモチーフになっているのは明らかです。「Before」と「After」という2つの曲から出来ているのも、そんな惨事の「前後」ということなのでしょう。なんの屈託もないディキシーランド・ジャズが、次の瞬間にはなんとも陰湿な音楽に変わってしまう、というあたりがショッキングです。
続くアンドリーセンの「Workers Union」という、まさにこのグループのために作られた曲は、この編成が産み出す力強いエネルギーをストレートに感じさせてくれるものです。ハーモナイズされた単調なモチーフを、ひたすら全力でアインザッツを揃えるさまは、愚直なまでの「労働組合」のシュプレヒコールの模倣なのでしょうか。ここには、「ミニマル」と言われて感じがちな、まるで突き放したような冷たさはさらさらなく、熱い魂のほとばしりのようなものに満ちています。プレイヤーのシンパシーとともに、おそらくこのアルバムの中では最も完成度の高い演奏になっているのではないでしょうか。
2枚目は、ライリーの古典、「in C」でほぼ1枚が占められています。そもそも演奏する楽器の指定もない作品ですから、他の演奏との比較は無意味ですが、ライリー自身の録音のおよそ2割り増しの「遅さ」からくる、ある種粘っこさが、この曲から確かに新鮮な魅力を引き出しています。
ラングの「Street」は、アルバム中唯一のヒーリング・ピース。ミニマルの持つアーバンな属性が強調されたものなのでしょう。
最後のアダムスの「Short Ride in a Fast Machine」も、フィウラマによるフル・オーケストラのためのスコアからの、この編成のためのリダクション。「パシフィック231」的なアイディアは、20世紀末でも「ミニマル」と名を変えて健在でした。

CD Artwork © Mode Records
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by jurassic_oyaji | 2010-01-01 20:24 | 現代音楽 | Comments(0)