おやぢの部屋2
jurassic.exblog.jp
ブログトップ
XENAKIS/Pléiades
c0039487_22592851.jpg




Les Percussiones de Strasbourg
DENON/COCO-73059




お馴染み「クレスト」シリーズの最新リリース分の中にあった、1988年録音のクセナキスです。ストラスブール・パーカッション・アンサンブルが来日したときに、浦安文化会館でセッション録音されたものですね。その翌年にCDがリリースされましたが、それから20年経ってやっと再発となりました。ただ、89年に出た時には、その時に世界初演された石井真木の「マリンバと6人の打楽器奏者のためのコンチェルタンテ」という、安部圭子のマリンバがフィーチャーされた作品がカップリングされていたのですが、今回はそれがなくなっています。なにか、契約上の問題でもあったのでしょうか。お陰で、たった43分で1枚のCDが終わってしまいますから、退屈することはありません(もちろん、イヤミです)。
1979年に、このグループのために作られた「プレイヤード」(「プレアデス」という表記もあるのです)は、金属片による打楽器、ヴィブラフォンなどの鍵盤打楽器、そしていわゆる太鼓という、3つの音色の異なる打楽器のみによって演奏される3つの部分と、それに先だって、その全ての楽器が登場する「混合」という部分の、全部で4つのパートから出来ています。
その、いわば「お披露目」的な意味合いを持つ最初の「混合」で、いきなり銅鑼のような金属片の音が聞こえてきたときには、そのリアリティにちょっと驚かされてしまいます。なんという生々しい録音なのでしょう。当時のDENONの録音技術のクオリティの高さを、改めて再確認です。
実は、この録音が行われた浦安のホールには、最近実際に中に入ったことがあります。
c0039487_231728.jpg

こんな、かなり横幅のあるだだっ広いワンフロアの客席で、後ろの天井にはなにやら反響板のようなものが設置されていますが、基本的には多目的用のかなりデッドなホールのような印象でした。ですから、おそらくこのステージで録音されたのでしょうが、余計な残響はほとんど付かないために、これだけクリアな音で録音することが出来たのでしょうね。
クセナキスの作品では、音のかたまりのコントロールにどうしても耳が行ってしまいがちですが、この曲の場合は音色に対する関心がかなり重要なファクターになっていることに気づかされます。特に、「金属」については、クセナキス自身が楽器制作にまで関与したということですから、そのあたりに注目です。優秀な録音と相まって、多彩な音色の打楽器の海の中に漂うという体験、これは、オーディオ的にもなかなかのものです。
「鍵盤」になってくると、そこには前から気になっていた、まるで沖縄あたりのペンタトニックっぽいメロディが登場します。タマヨのクセナキス全集に入っていた「Jonchaies」という1977年のオーケストラ曲にも、やはり「沖縄民謡」が顔を出していましたが、この時期のクセナキスはこんな旋法にハマっていたのでしょうか。
最後の「太鼓」は、それまでのテイストとは異なる、ストイックなモノトーンの世界です。まるで「鬼太鼓座」や「鼓童」といった和太鼓のアンサンブルのように、ひたすら神経を集中して他の奏者と一体化するという、まるで精神修養にも似た厳しさすら感じられないでしょうか。「合う」はずのないクセナキスの音楽で、「合って」しまっているのを聴くのは、なにか不思議な体験です。
そんな「厳しさ」のなかから、なにかカラフルな印象が与えられるというのも、興味深いところです。それは、おそらく微妙なダイナミック・レンジのコントロールによって生み出されているものなのでしょう。瞬時に大迫力の世界から、いとも繊細な世界へと変わることが出来る柔軟さ、あるいは、息の長いディミヌエンド、そんなしなやかなテイストも、クセナキスの中にはあったのです。これは、以前アメリカの団体の演奏を聴いたときには感じられなかったものです。演奏も、そして録音も、今回の方が数段勝っています。

CD Artwork © Columbia Music Entertainment, Inc.
[PR]
by jurassic_oyaji | 2010-01-16 23:01 | 現代音楽 | Comments(0)