おやぢの部屋2
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JANEQUIN/Le Chant des Oyseaulx
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Ensemble Clement Janequin
JVC/JM-XR24500(XRCD)




1978年にカウンター・テノールのドミニク・ヴィスが中心になって作られた「アンサンブル・クレマン・ジャヌカン」が1982年に録音した、彼らの多分3枚目のアルバム「鳥の歌」が、装いも新たにXRCDとなって登場しました。北島三郎ではありません(それは「トリの歌」)。
このアンサンブルは、ヴィス以外のメンバーは適宜入れ替わって、現在でも活動を続けていますね。デビュー当時のヴィスは、まるで妖精、というか小悪魔のような風貌でしたが、それがそのまんま大きくなって、今ではほとんど老婆といった趣になってしまいましたね。それでも、彼の特徴的な声はいつまで経っても変わらず、その突き抜けるような音色は常にインパクトを与え続けています。
このアルバムは、国内盤としては彼らのデビューとなったものでした。1985年にLPで、翌1986年にはCDで、今回と同じ「ビクター」からリリースされています(会社の名前は「ビクター音楽産業」から「ビクター・クリエイティブメディア」に変わっていましたね)。その頃はビクターがHARMONIA MUNDIの国内盤を出していたのですね。このアルバム自体はそれ以前に輸入盤では出回っていて、当時のオーディオ界のオピニオン・リーダー、故長岡鉄男さんが大々的に録音の良さを紹介していたものですから、LPのリリースにあたっても「重量盤」を採用するなど、オーディオ的な側面を強調したものになっていました。長岡さんの「口の開け方まで分かる」というコメントも、宣伝コピーとして使われていましたね。ちなみに、その頃はこのグループの「邦題」は「ジャヌカン古楽アンサンブル」などという、とてもヴォーカルのアンサンブルとは思えないようなものでした。
ビクターが過去に扱っていたからなのでしょうか、だいぶ前にも同じレーベルのパニアグワの「タランテラ」など、やはり長岡さんご推薦のアイテムがXRCDになったことがありますが、今回ついに「ジャヌカン」が杉本さんのリマスタリングで聴けるようになりました。長年愛聴してきたアルバムが、最高の音質で聴けるのですから、まるで夢のようです。
実は、これは今までにLPで聴いたことはありませんでした。聴いていたのは輸入盤のCDです。国内盤とはジャケットが微妙に違っていますね。
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その頃使っていた再生装置では、ヴィスの特徴的な声はそれなりに再生されていて、後に彼の参加した殆どすべてのCDを集めてしまうほど、その魅力にとりつかれることになるのです。しかし、今回同じCDを、今使っているかなり解像度が高いと自負している装置で聴いてみると、そのヴィスの声が完全に歪んでしまっているのです。そもそもオリジナルの録音が、アナログのギリギリのレベル設定だったのでしょうか、初期の、殆どマスタリングなどは考慮されていないCDでは、それがまざまざと「歪み」となって出てきてしまっていたのですね。
しかし、さすがはXRCDCDで「歪み」と感じられた同じ場所が、なんともきわどい、まさに崩壊する一歩手前という感じの豊穣さとして、聞こえてきたのです。アナログ録音の最後の輝きをテープに収めていたエンジニアの心意気のようなものまで、ここからは感じることが出来たという、これは、なんともスリリングな体験でした。もしかしたら、LPだったら生半可なレコードプレーヤーではトレース出来なかったのかもしれませんね。
もちろん、メンバーひとりひとりの声が、しっかりとした存在感を持って聞こえてくるという、いつもながらの杉本さんの仕事ぶりは健在でした。そこで、長岡さんの言った「口の開け方」も、余裕を持って体験できることになります。タイトル曲の途中のたくさんの鳥の声の模倣の部分では、テノールのラプレニーの「巻き舌」は、「舌」ではなく「のど」を震わせて出していることまではっきり分かるのですからね。

XRCD Artwork © Victor Cerative Media Co. Ltd.
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by jurassic_oyaji | 2010-01-29 19:49 | 合唱 | Comments(6)
Commented by 新潟のまさ at 2010-02-05 22:54 x
27年前 父親がオーディオシステムを
購入した際 テラークの外盤「1812」の
大砲入りのレコードを貰ってきました。
大砲の所の溝が大きくて 「ドーン」とタンノイのスピーカーが
壊れそうでした。XRCD スーパーCD しかしなんでずっと16ビットなのでしょうか?
Commented by jurassic_oyaji at 2010-02-06 10:47
まささん、こんにちは。
お父様もかなりのマニアだったのですね。
あのテラーク盤は、最初にCDで聴いたときにそんな大したことはないと感じてしまいました。自分の装置のせいかと思ったのですが、最近になってCDの限界を身をもって体験するようになると、それは錯覚ではなかったのだと思っています。やはり、CDの44,1KHz,16bitというスペックは、では、LPのアナログデータを完全に再現することは出来ないのですね。
スーパーCD(SACD)で採用されたDSDという録音方式は、PCMだと96KHz,24bitに相当する規格だそうですから、かなり満足しています。XRCDは、CDのスペックで、そのSACDと同等、場合によってはそれ以上の音を実現しているのは驚異的です。これをお作りになった杉本一家さんには、東京の合唱団の演奏会の録音をCDにするときにマスタリングをお願いしたので、2度ほど立ち会ったことがあります。ケーブルの選び方から、コンバーターの選定まで、とことん手間をかけていましたね。私が「SACDよりXRCDの方が音が良いですね」といったら、こともなげに「当たり前です」と言われてしまいました。
Commented by 新潟のまさ at 2010-02-07 14:02 x
さすが。リマスタリングの現場に立ち会えるとは。
スーパーCDの再生装置は持っていません。
ソフトも限られています。以前ローリングストーンズの
デッカ時代の作品がSACDになった時は全タイトル
揃えましたが、ストーンズの作品で音質的に満足できる
タイトルが無いのでそれ以上の投資はしなかったのです。
ビートルズが出ればまた話は別ですが。
やはり現行のCDのマスタリングも製作者が
愛情を そしてその作品を愛し思い入れないと
良い仕事に結びつかないかも知れません。
デュークの「55年」にほんのうたの録音なんか
もっと良く再現されても良いようですが。
Commented by jurassic_oyaji at 2010-02-07 22:20
まささん。
デュークの公式サイトの掲示板に谷さんご本人の書き込みがありましたね。すごいことだと思います。
それによると、やはり担当者がもう社内にはいらっしゃらないようですね。録音データなどはどうやら把握は出来ているようですが、原盤の保存はどういう状態なのでしょう。というのも、「55年」の収録曲の中には、70-80年代の曲なのに、かなり音がひずんでいるものがあったものですから。そういえば、吉田さんの娘さんのブログでのピッチの違いについても、てんてこ舞さんが言及されていましたね。
Commented by 新潟のまさ at 2010-02-10 11:09 x
日本は映画のフィルムも邪魔になるとネガの原版から
すてるような会社もありますからね。 一応保管という名目で
収納していると思いますが・・・・英国EMIなんか
一度使うと日付の書き込みしてからシュリンクして丁重に
保管しているようです。旧東芝EMIのビルを解体した時にも
かなりの貴重な資料を{我々から見れば}廃棄したと考えても
おかしくないですね。担当者とは草野浩一さんらしいです。
漣健児の弟さんはご存知と思いますが、
私は草野さんと行方さんが東芝の垢ぬけた演奏 録音を
築いたと思っています。東芝のスタジオが完成前は
「アオイスタジオ」が中心で、アオイの専属エンジニアと交互に
録音していたと話です。個人的に「にほんのうた」1-3は
行方さん以外 4は間違いなく行方さんと思っています。
どうでしょうか?

Commented by jurassic_oyaji at 2010-02-10 19:41
まささん、こんにちは。
今のように録音データやスタッフなどがきちんと記載されるようになったのは、「ニューミュージック」以降のことなのでしょうね。それこそ漣さんあたりが導入した「原盤権」を、アーティストが持つようになったのが、その頃だったのだとか。
デュークの場合は、原盤権はレコード会社にあるのでしょうね。
「にほんのうた」では、確かに「3」と「4」の間にはサウンド的に大きな変化が見られますが、エンジニアの違いとともに、録音機材の違いも大きな要因だと思っています。その頃が、ちょうどマルチトラックに切り替わったあたりなのでしょう。それに伴って、アレンジも劇的に変わっていますね。確か、「にほんのうた」のアレンジは全ていずみたくとクレジットされていますが、実際に彼自身が編曲作業をやっていたのかは疑問です。