おやぢの部屋2
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POULENC/Concertos for Keyboard Instruments
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Hansjörg Albrecht(Org)
Yaara Tal, Andreas Groethuysen(Pf)
Peter Kofler(Cem)
Babette Haag(Perc)
Bach Collegium München
OEHMS/OC 637(hybrid SACD)




オルガニストであり、指揮者でもあるアルブレヒトのアルバムは、常になにか刺激的なものを与えてくれます。同じパターンのジャケットのデザインも的確なワンポイントが効いているしゃれたものになっていますし。今回は、「鍵盤楽器のための協奏曲」というタイトル自体が、ここではすでにひとひねりある二重の意味を持っています。オリジナルの形で演奏されるのは、「オルガン、弦楽器とティンパニのための協奏曲」だけ、あとの「2台のピアノとオーケストラのための協奏曲」と、「チェンバロとオーケストラのための田園協奏曲」は、その「オーケストラ」のパートがオルガンで演奏されているのです。つまりそこでは、「鍵盤楽器だけの協奏曲」という意味も持っているのですね。どこを探しても、このオルガンバージョンを作った人の名前が見当たらないのですが、おそらくアルブレヒト自身の編曲なのでしょう。
その、「鍵盤楽器だけ」(いや、正確には打楽器も加わります)が録音されたのは、ミュンヘン音楽大学のホールです。そこのオルガンは1999年に出来たばかりのごく新しいクーン・オルガン。とてもエッジのきいた、鋭い音が随所に聴ける、かなり活きの良い楽器です。フランス風のストップもたくさんあるようで、とても多彩な音色、「パイプオルガン」というよりは、「エレクトーン」みたいな音に聞こえてしまうのは、いけないことでしょうか。
そのような、言ってみれば「機能的」な楽器ですので、それがオーケストラの代役を果たすのにはなんの不足もありません。最初の「2台のピアノ」では、それに打楽器が加わった編成でまるでオルフの「カルミナ・ブラーナ」みたいなサウンド(実際に、エレクトーンと打楽器で演奏されたものを聴いたことがあります)が響き渡ります。
この曲の第2楽章は、ピアノのパートがまるでモーツァルトのパロディのように出来ています。それに対してオーケストラのパートはいかにもフランス風のしゃれた味付けなので、その対比がとても面白い効果を出しています。この編成では、それがさらに強調されたように感じられ、なんとも不思議な世界が広がります。
「田園協奏曲」は、プーランクがランドフスカのために作ったものですから、想定されていた楽器は当然プエイエルのモダンチェンバロでした。そこで、アルブレヒトがチェンバリストのコフラーに使わせたのは、やはりモダンチェンバロの名器、カール・リヒターがよく使っていたノイペルトの「バッハモデル」でした。この楽器、まだ製造されているのですね。1台39,000ユーロですって。
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このチェンバロの威力はすごいものです。プーランクがあの時代に求めた「繊細さ」というのがどういうものであったのか、とても良く分かるような気がします。やはり、この微妙に倒錯した味は、「本物」であるはずのヒストリカル・チェンバロでは出すことが出来ないことを再確認です。
「オルガン協奏曲」の録音では、ミュンヘンの「ガスタイク」という大きなホールが使われています(ベタですが、「ガスタンク」ではありません)。備え付けのクライス・オルガンは、4段鍵盤を持つ巨大な楽器、ここではアルブレヒトは指揮もしていますから、オルガンのコンソールをステージと客席の間に持ってきて、「弾き振り」をしています。これも、もろバッハのパロディであるイントロでの、フルオルガンの充実した響きには圧倒されます。そして、それにからみつく弦楽器の粒立ち。そう、常に彼のアルバムの録音を担当してきたマルティン・フィッシャーの腕の冴えは、ここでも満開です。続くアレグロのテーマは、なんともドイツ的でストイックな味付けが印象的です。その小気味よさの中から自ずと漂うプーランクの際立ったセンスの良さ、極上の録音と相まって、至福の時を過ごすことが出来ますよ。

SACD Artwork © OehmsClassics Musikproduktion GmbH
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by jurassic_oyaji | 2010-01-31 22:40 | オルガン | Comments(0)