おやぢの部屋2
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STRAVINSKY/Pulcinella, Symphony in 3 Mvt., 4 Études
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Roxana Constantinescu(MS)
Nicholas Phan(Ten)
Kyle Ketelsen(Bar)
Pierre Boulez/
Chicago Symphony Orchestra
CSO・RESOUND/CSOR 901 920(hybrid SACD)




ネット配信の飛躍的な普及に伴って、CDSACDといったフィジカルな媒体を取り巻く状況は、なかなか厳しいものがあります。ただ、96/24クラスの高音質のデータはギガバイト単位のサイズになってしまいますから、そのような音を求める向きに関してはかろうじてSACDあたりはまだ優位を主張できるのかもしれません。
制作サイドとしては、クラシックに関してはかつて市場を牛耳っていたメジャー・レーベルの凋落ぶりが悲惨です。かつてDGとともにUNIVERSALの一翼を担っていたDECCAPHILIPSは、今ではかろうじて名義だけが残っているような状態で実際の制作などは殆ど行っていないはずです。PHILIPSなどは、もはや過去のカタログさえも転売されてしまっているのではないでしょうか。今まで強烈な個性を主張していたそれらのレーベル固有のトーン・ポリシーなどは、もはや完璧に消滅してしまっていたのです。
と思っていたら、最近、例えばエッシェンバッハとフィラデルフィア管とか、ヤルヴィとドイツ・カンマー・フィルなどの自主録音盤などのクレジットの中に「POLYHYMNIA」という文字がよく見かけられるようになったので調べてみると、これは元PHILIPSのエンジニアが集まって作った録音プロダクションであることが分かりました。このような形で、有能なエンジニアたちが今までのような特定のレーベルの専属ではなく、個別に録音を請け負うチームとして活躍するようになっていたのですね。しかも、その「製品」は、メジャーが見捨てたSACDを前面に押し出しているというのですから、かえってこの方が愛好家にとってはありがたいことなのかもしれません。なんたって、SACDを開発したのはPHILIPSなのですからね。
2007年に発足したシカゴ交響楽団の自主レーベル「CSO・RESOUND」も、この「ポリヒムニア」が録音を担当しているものでした。最新盤は、ブーレーズの指揮による2009年の2月と3月のコンサートでのライブ録音です。もちろん、このチームの仕事ですから、セッション以上のクオリティがしっかり保たれています。
曲目は、「プルチネッラ」全曲と、「オーケストラのための4つのエチュード」、そして「3楽章の交響曲」という、ブーレーズお得意のナンバーが揃っています。それぞれ今までに何度となく録音してきたものばかりですね。この中で「3楽章の交響曲」は、手元に1996年にベルリン・フィルと録音したDG盤がありますので、比較することも出来ます。1945年に完成したこの曲は、いわば作曲家の「新古典主義」の時代の産物になるのでしょうが、ライナーのインタビューでブーレーズが語っているように、第1楽章にはまるで「春の祭典」のような、彼のその前のスタイルが反映された部分が見られます。第2楽章はまさに「新古典主義」そのものというスタイリッシュな曲なのですが、第3楽章になると、今度はやがて訪れる彼の「セリー」の時代を先取りしたようなパッセージまで現れます。もう終わっているはずなのに(それは「セーリ」、しかも男だし)。そんな様式感の違いが、ベルリン・フィルよりは、今回のシカゴ響の方がはるかにはっきりと描かれています。というより、プレイヤーたちがいかにも楽しみながら自発性を発揮している、という感じがとても伝わってくるのですね。ベルリンの人たちはなにか「くそまじめ」という感じがしてしまいます。特に、第2楽章で大活躍するフルート奏者の違いが、かなり大きなウェイトを占めているのではないでしょうか。ベルリンはおそらくブラウでしょうが、シカゴは間違いなくデュフォー、彼のいきいきとした音楽は、この楽章を「雅び」で彩っていました。
「プルチネッラ」では、メゾのコンスタンティネスクがちょっと期待はずれでしたが、オケがやはりこの「偽バロック」をとことん楽しんでいるさまが、とても素敵でした。「エチュード」では、まさにこのオケの機能性が炸裂です。

SACD Artwork © Chicago Symphony Orchestra
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by jurassic_oyaji | 2010-02-18 19:45 | オーケストラ | Comments(0)