おやぢの部屋2
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ROSSINI/Overtures(for wind quartet)
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Andrea Griminelli(Fl), Corrado Giuffredi(Cl)
Danilo Marchello(Hr), Rino Vernizzi(Fg)
DECCA/476 5245




グリミネッリの「新譜」なのですが、前作同様、レーベルがイタリアUNIVERSALなので4年も前にリリースされたものが今頃日本国内で出回っています。しかも、録音されたのは17年前、きっと本人は録音したことも忘れているのではないでしょうか。
フルート、クラリネット、ホルン、ファゴットという、通常の木管五重奏からオーボエを外した木管四重奏の形で演奏されているロッシーニの序曲などというものは、初めて聴きました。編曲したのが、ロッシーニと同時代のクラリネット奏者、ヴィンチェンツォ・ガンバーロという、春闘みたいな(それは「ガンバロー」)名前のイタリア人です。この方はパリの「テアトル・ロワイヤル・イタリエン」という劇場のオーケストラの首席クラリネット奏者を務めていて、ロッシーニ本人とも交流があり、1825年にはロッシーニから2本のクラリネットとオーケストラのための変奏曲をプレゼントされています。その時に2番クラリネットを演奏したのは、ガンバーロと同じオケの2番奏者、フリードリッヒ・ベールでした。
この編曲は、よくある「ハルモニー・ムジーク」のような、適当にカットを施したいい加減なものではなく、原曲通りの尺が維持されています。それが木管楽器だけで演奏されるのでは、さぞや退屈だろうな、という当初の予想は、この4人のとても力のある奏者の渾身の演奏によって、見事に裏切られることになりました。中でも、フルートのグリミネッリとクラリネットのジュフレディの「怪演」といったら、まさに胸のすくようなものです。オケ版に比べて足らないものは、「どろぼうかささぎ」のスネアドラムぐらいしか見あたらないほど、完璧に原曲の世界が再現できています。「セミラーミデ」のホルンによる四重奏だって、よく溶け合うこの4人の楽器でそれっぽい雰囲気が充分に出ていますしね。もちろん、この曲での管楽器の聴かせどころの掛け合いなどは、お手の物でしょう。そして、驚くべきことに、「グリエルモ・テル」の冒頭の5本のチェロのアンサンブルまで、4人でやってしまうのですからね。
「序曲」は、その他に、「チェネレントーラ」と「オテロ」が演奏されていますが、最後にもう1曲、ロッシーニ自身が1812年に作ったこの編成のためのオリジナル作品「アンダンテ、テーマと変奏」が加わっています。その名の通りゆっくりした序奏と、テーマに続く5つの変奏、そしてコーダから出来ているという分かりやすい作品です。このCDでの表記が「Tema, andante e variazioni」となっているのは、なにかの間違いでしょう。これは、SCHOTTから出版されている「6つの木管四重奏曲」の中の「第6番」として、演奏される機会も多い作品です。他の四重奏曲はロッシーニの、やはり6曲ある「弦楽のためのソナタ」の「3番」以外を編曲したものですが(番号は、1、2、4はそのまま、5が3に、6が5に変わっています)、これだけがオリジナル、ちょっと毛色が変わっています。ただ、このCDで演奏されているのは、そのSCHOTT版とは微妙なところで異なっています。楽譜には「F.ベールにより出版」とありますので、もしかしたらさっきのフリードリッヒ・ベールが、「ソナタ」と一緒にこちらもロッシーニの楽譜に少し手を入れて出版したのかもしれませんね。
こちらは、「変奏」で、それぞれのメンバーがとびっきりのパフォーマンスを聴かせてくれて、その凄さを見せつけてくれます。4人がそれぞれものすごいテクニックを持っている上に、いかにもイタリア人ならではの、ほとんど羽目を外すほどの大げさな「歌心」が加わっているのですから、もう怖いものなどありません。
これは、ロッシーニがオペラで発散させていたとびっきりの楽しさを、4人の管楽器奏者が最大の共感をもって披露しているものです。聴いていて楽しくならないわけがありません。

CD Artwork © Universal Music Italia s.r.l.
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by jurassic_oyaji | 2010-03-30 23:08 | フルート | Comments(0)