おやぢの部屋2
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LAURIDSEN/Choral Works
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Noel Edison/
Elora Festival Singers
NAXOS/8.559304




外国の人の名前を日本語で表わすのは難しいものですが、「Morten Lauridsen」というアメリカの作曲家ほど、その表記が乱立している人もいないのではないでしょうか。このページでも、以前「ポリフォニー」の演奏を取り上げた時には、「モートン・ローリドセン」という表記を使っていたはずです。「ラウリドセン」なんて呼ぶ人もいたようですね。しかし、どうやら彼の作品の主な供給先である合唱界では「ローリゼン」という言い方が一般的に用いられているような感触がありますので、そのあたりがおそらく「正解」なのではないでしょうか。「d」と「s」は別々の子音ではなく、「ds」でひと固まりの子音、というとらえ方ですね。いや、まだご存命ですが(「死因」はまだ分からない、と)。
ということで、日本語表記については結論が出たのだと思っていたら、このCDのタスキでは「ラウリセン」ですって。いや、タスキにしてもネットにしても、この○クソスさんのインフォほどいい加減なものはありませんから、とりあえずこれは無視することにしましょうね。
今回のCD、先ほどの「ポリフォニー」のものとは重なっているレパートリーもたくさんあります。最初の曲「O nata lux」は、あちらのメイン・タイトルだった「Lux aeterna」という、オーケストラの伴奏が付いたかなり長い作品の中に含まれていた、唯一無伴奏で歌われていたナンバーでしたね。この曲と、最後に置かれたやはり無伴奏のモテット「O Magnum mysterium」あたりが、おそらくローリゼンの作品の中では最も親しまれて、多くの合唱団で取り上げられているものなのでしょう。それだけおなじみのものをまず「名刺代わり」の取り上げた、1980年にここでも指揮をしているノエル・エディソンによって創設されたというこのカナダの合唱団は、たちどころに温かい音色で聴く者を魅了してくれました。
次の「6つのマドリガル」という、ルネサンス期のイタリアの詩をテキストにした曲も、やはり「ポリフォニー」のアルバムでも取り上げられていたものでした。あちらの、ちょっと息苦しいほど完璧な演奏とはちょっと方向性が異なっていて、こちらはいかにも軽やかなイタリア語の歌詞の世界が、気持ちよく伝わってくるような歌い口なのではないでしょうか。
そして、続くのはフランス語の歌詞による「Les Chansons des Roses」です。カナダ人の特性でしょうか、フランス語のディクションの自然さには惹かれます。そして、音楽もいかにもフランス風の和声と、ちょっとこじゃれたフレーズの処理が前面に出てきています。ドビュッシーの「3つのシャンソン」とどことなく似ている(というか、もろパクリ)ような曲もありますし。
ここまで聴いてくると、このアルバムのコンセプトがだんだん明らかになってくるような気にはなりませんか?どうやら、ここでは、この作曲家のテキストに対する柔軟な対応を実際に味わってもらおう、としていたのではないでしょうか。次の英語の歌詞による「Mid-Winter Songs」になると、予想通りきっちりと「英語っぽい」音楽がつけられているのですからね。たとえば、軽やかなシンコペーションなどが、そんなファクターの一つでしょうか。
そして、最後が最初と同じラテン語による静謐な世界というわけです。これほど見事にテキストに寄り添ったキャラクターの音楽が作り上げられる人だったんですね。ローリゼンさんは。もちろん、そんなことに気づかされたのは、この合唱団の言葉に対する極めて高いセンシティビティがあったからに違いありません。ほんと、こんな気持ちの良い合唱を聴いていると、別に肩肘を張って主張されなくても、包容力のある音楽の中から巧まずして伝わってくるメッセージには、真の力があることがよくわかります。

CD Artwork © Naxos Rights International Ltd.
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by jurassic_oyaji | 2010-04-18 23:20 | 合唱 | Comments(0)