おやぢの部屋2
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ROTHE/Matthäus-Passion
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Hans Jörg Mammel(Ev)
Wolf Matthias Friedrich(Je)
Bernhard Klapprott/
Cantus Thuringia
Capella Thuringia
CPO/777 554-2




「またぁ~」と言われそうですが、このところ受難曲ばっかりが続くこのページです。ついこの間「受難日」を迎えたばかりですので、許して頂きましょう。
今回は、珍しいものをどこからか掘り出してくるのがお得意のこのレーベルの最新の企画「チューリンゲンの音楽遺産」というシリーズから、ドイツの中部、チューリンゲン地方の都市ゾンダースハウゼンで楽士を務めていたヨーハン・クリストフ・ローテという人が1697年に作った「マタイ受難曲」です。この作曲家、全く初めて聞く名前ですが、その曲名からすぐ連想されるバッハより30年以上前、1653年に生まれているそうです。しかし、亡くなったのが「1700年または1720年」というのですから、いかに本人に関する情報が乏しいかが分かります。いずれにしても、もしかしたら若いバッハも自転車に乗って聴きにいった(駐輪場に置いて)かもしれない知られざる「マタイ」ですから、一聴の価値はあるはずです。
ゾンダースハウゼンの宮廷の中にある博物館に所蔵されている自筆稿には、「マタイによる主イエス・キリストの受難 ヴァイオリン2本、ヴィオラ・ダ・ガンバ4本、歌手11人、チェンバロのための」というタイトルが書かれていますので、実際に演奏する人数が分かります。もちろん、「通奏低音」の参加は常識の時代ですから、この演奏ではさらにヴィオローネとオルガンが加わっています。ちなみに、ジャケットの写真では、指揮者のクラップロットが、プログレ・ロックのキーボーディストのように、ポジティーフの上に横長のチェンバロである「スピネット」を重ねて置いています。
「歌手」の内訳は、エヴァンゲリストとイエスを含めた、ソロ歌手が8人、それに4声か5声のコーラスですから、適宜ソリストもコーラスに加わったのでしょうね。バッハの曲も、最初からこのように指定されていれば、コーラスが何人なのか悩まなくても済んだのでしょうがね。
伴奏楽器が弦楽器だけ、しかも、大半はヴィオール族ということで、サウンド的にはなんとも渋い世界が広がります。その分、歌手達の声がストレートに伝わってきます。
曲の形式はバッハと同じ、レシタティーヴォによる聖書朗読の間に「アリア」などが挿入されるという、いわゆる「オラトリオ風受難曲」というものです。ただ、CD2枚組で演奏時間は1時間半、バッハの曲の半分程度の長さしかありません。これは、バッハではかなりの長さを占めることになるアリアが、だいぶ短いものになっているのがその要因です。というか、ここでの「アリア」というのは、バッハのようにあたかもオペラのアリアのような起伏に富んだ大規模なものではなく、ほとんどのものは賛美歌(つまり「コラール」)をそのまま歌っているからなのです。一応ソリストによって歌われますが、その「アリア」はほとんどが2分にも満たない、素朴な、それこそ16小節ぐらいのものを「1番、2番~」と繰り返すようなものなのです。前奏もなく、いきなり歌から始まるものも多くなっています。ですから、バッハではコーラスで歌われる「コラール」が、ここにはありません。かつてはこのようにシンプルだった「受難曲」の中に華麗なアリアを取り入れることによって、バッハはあれだけの壮大な作品を産むことになったのだなぁというような、あたかも、音楽史の1ページを見る思いが、この曲を味わうことによってわいては来ないでしょうか。
とは言っても、レシタティーヴォで民衆の言葉を表す役目を担っているコーラスの部分では、バッハとはまた違った形での「叫び」が表現されていて、別の側面からの福音書の印象が伝わってきます。
歌っている「カペラ・チューリンギア」のメンバーを中心とするメンバーは、いずれも伸びやかな声でこの渋い曲に光を与えています。特に、3人のソプラノのとても澄んだ音色には、和みます。

CD Artwork © CPO
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by jurassic_oyaji | 2010-04-20 20:08 | 合唱 | Comments(0)