おやぢの部屋2
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GAZZANIGA/Don Giovanni
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Roberto Iuliano(Don Giovanni)
Linda Campanella(Donna Elvila)
Maurizio Leoni(Pasquariello)
Alessio Pizzech(Dir)
Pierangelo Pelucchi/
Fondazione Orchestra Stabile Gaetano Donizetti
BONGIOVANNI/AB 20002(DVD)



先日、モーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」のプロットの破綻を指摘したところ、「それは、『元ネタ』にはあったものが、ダ・ポンテによって削除されたから」というようなコメントをいただきました。その「元ネタ」、ジュゼッペ・ガッツァニーガが作曲した「ドン・ジョヴァンニ」の存在は、かなり前に聴いたヴァイルの演奏によるCDで知ってはいました。
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SONY/SK 46 693

しかし、あいにくこれはレシタティーヴォをすべてカットしたハイライト盤だったため、アリアの比較は出来ても、ストーリーの違いまでは確認することが出来ずにいました。そこで、この際この「元ネタ」をきちんと見てみようと思い、割と最近の(とは言っても、これが映像としてリリースされた最初のもの)DVDを買ってみました。200510月、ベルガモのドニゼッティ劇場での上演のライブです。
この作品は、ジュゼッペ・ガッツァニーガが、ジョヴァンニ・ベルターティという、チマローザの「秘密の結婚」などを書いた劇作家の台本によって作ったもので、1787年の2月5日にヴェネツィアで初演されています。一方、「パクリ」であるダ・ポンテ/モーツァルト版は、その8ヶ月半後の1029日にプラハで初演されていますね。ちなみに、この2作品の正式なタイトルは「元ネタ」が「ドン・ジョヴァンニ、または石の招待客」、「パクリ」が「罰せられた放蕩者、またはドン・ジョヴァンニ」となっています。
この上演では、序曲に先立って演出のピッツェクが書いた「エピローグ」が演じられます。それは、いきなり客席にパスクワリエッロ(「パクリ」では「レポレッロ」と変わっています)役のレオーニが現れて、他の出演者も巻き込んでなにやらにぎやかにしゃべりあう、というものなのですが、あいにくこの部分だけ字幕がついていないので何をやっているのかは、イタリア語に堪能でない限り分からないことでしょう。
そして、おもむろに序曲が始まりますが、オーケストラの編成は管楽器はオーボエとホルンが2本ずつという、かなり小規模なものです。「パクリ」ほどのドラマティックなものではなく、淡々と当時のイタリアオペラの期待を裏切らない音楽が繰り広げられます。
ストーリーは、確かに「パクリ」とは微妙なところで異なっています。最も気になっていた騎士長の墓と石像の問題も、しっかりオッターヴィオ侯爵によって、その建設にあたっての講釈がていねいに語られますので、疑問を感じることはありません。それよりも、「元ネタ」ではドン・ジョヴァンニは、自分が殺した騎士長が確実に埋葬されたかを確認するために、自らの意志でここを訪れていたという点に、興味がひかれます。「パクリ」では確か、たまたま迷い込んだ場所が石像の前だった、という設定でしたよね。
そんなことも含めて、「元ネタ」からは「騎士長殺害の報いを受ける『悪者』ドン・ジョヴァンニ」という構図がかなり強く伝わってきます。なんせ、ドンナ・アンナは明らかにレイプされていますし(台本にあります)、マトゥリーナ(つまりツェルリーナ)も、いとも簡単に餌食になっているのですからね。そんな「元ネタ」に、さらに細やかな情愛を施したのは、「後出し」の特権でしょうか。確かに、モーツァルトの描いたキャラクターは、格段に深みが増しています。「カタログの歌」だって、人数が増えてますし。
ただ、台本だけでなく、音楽も何となく似ているところがあるのは、ちょっと気になります。マトゥリーナの結婚式のシーンなど、もろ「パクリ」。
折りしも、ダ・ポンテと「ドン・ジョヴァンニ」を題材にした映画が公開中、この中では、この「元ネタ」はどのように扱われているのか、あるいはまったく触れられてはいないのか、とても興味があります。

DVD Artwork © Bongiovanni
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by jurassic_oyaji | 2010-04-24 19:46 | オペラ | Comments(0)