おやぢの部屋2
jurassic.exblog.jp
ブログトップ
WHITBOURN/Luminosity and other choral works
c0039487_20441163.jpg



Matthew Berry/
Commotio
NAXOS/8.572103




最近、このレーベルの合唱関係のアイテムが充実してきたようには、感じられませんか?演奏のレベルもかなり高いものが多く、簡単には見過ごせないものが揃っています。今回も、おそらく日本の市場では初めて紹介されたであろうイギリスの作曲家、James Whitbournの作品集です。ただ、この誰も聞いたことのない作曲家の名前を日本語で表すときに、このレーベルの日本の販売元が「ホワイトボーン」と表記してしまったために、なんだかこの先読み方に関しては混乱が生まれそうな予感です。先日のローリゼンではありませんが、ちょっと見慣れない綴りの名前だと、何種類かの日本語表記が乱立してしまうことがありますからね。現に、さる楽譜販売サイトでのインフォでは、同じ人を「ウィットボーン」と表記していますよ。いったい、どちらを信用したらよいのでしょうか。しかし、どうやらこの件に関しては、「ウィットボーン」の方がより元の発音に近いような気がするのですが、どうでしょう。というより、「Whitebourn」ではないのですから、これを「ホワイトボーン」と読むのは、かなりきついのではないでしょうかねぇ。どうやら、これはタスキ(業界では「帯」というのでしょうか)制作者の語学力の欠如からくる、ケアレスミスのように思えてしょうがありません。リブ・タイラーのお父さんですか(それは「エアロスミス」)。
1963年生まれといいますから、ジョン・ラッターあたりの次の世代の作曲家になるのでしょう。有名なキングス・カレッジ聖歌隊などから委嘱を受けるなど、すでにイギリスの合唱界では確固たる地位を築きあげている方です。その作品は、確かにそんなラッターの流れを色濃く反映しているとともに、ジョン・タヴナーあたりのテイストも、もはや一つの伝統として取り込んでいる感があります。いとも清らかに漂う「癒し」の情感は、もう現代の作曲家にとっては必須アイテムなのでしょう。
しかし、そんな中にももちろんウィットボーン自身の個性といったものを、確かに感じることが出来るのがうれしいところです。アルバムの最初に聞こえてくる「Magnificato」は、オルガンと打楽器の伴奏が入った、いきなり不協和音の塊から始まる大胆な曲でした。それは、まるでオルフの「カルミナ・ブラーナ」のような、原始的な「叫び」にも聞こえるような斬新さを持っていました。
一方、「A Prayer of Desmond Tutu」という曲では、ノーベル平和賞を受賞した南アフリカのデスモンド・トゥトゥ大司教自身がナレーションを担当して、「愛は憎しみよりも強い」といったような「祈り」を淡々と伝えています。あまりにもベタな気はしますが、そんなストレートなメッセージは、平易なサウンドに乗って心地よく伝わってきます。
アルバム・タイトルになっている「Luminosity」という2008年に完成した曲は、音楽とダンスのコラボレーションとして作られたものなのだそうです。ここにはアジア、特にインドの音楽のテイストがとりいれられています。冒頭から聞こえてくるタンプーラという、シタールを演奏する時にアンサンブルでドローン(持続音)を担当しているインドの楽器の音によって、即座にインド音楽モードに入り込むことが出来ることでしょう。それに続いてヴィオラ・ソロがもろインド音階のオブリガートを演奏してくれますし。
演奏しているのは、初めて聴く「コモティオ」という合唱団です。オクスフォード大学の卒業生によって1999年に創設された、現代の合唱曲を専門に演奏するという団体です。イギリスの合唱団ならではの安定したソノリテの上に、きちんと「雑音」までも表現できるという幅の広さが魅力です。なんでも、シュニトケの「レクイエム」を、イギリスで2番目に演奏したのだとか、その実力は折り紙つきです。

CD Artwork © Naxos Rights International Ltd.
[PR]
by jurassic_oyaji | 2010-04-30 20:47 | 合唱 | Comments(0)