おやぢの部屋2
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GOULD/American Symphonette
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David Alan Miller/
Albany Symphony Orchestra
ALBANY/TROY1174




おととし、1908年はルロイ・アンダーソンの生誕100年ということで、世の中はずいぶん盛り上がりましたね。彼のほぼすべてのオーケストラ作品がCDとなり、彼はなんとミュージカルまでも書いていたということなどを人々は知ったのでした。
アンダーソンと同じように、シンフォニック・オーケストラの編曲や指揮、そして、軽いテイストの曲を作った人が、5歳ほど年下のモートン・グールドです。ハゲですが(「毛根」グールドなのに)。しかし、グールドの場合はもっぱら編曲者や指揮者としての名声のほうが先行していて、その作品はアンダーソンほど有名ではないような気がします。そんな中で、彼のオーケストラ曲がまとまって録音された珍しいアルバムがリリースされました。彼の作曲家としての姿が、やっと明らかになることでしょう。
ここで演奏されているのは、いずれも「シンフォネット(小交響曲)」とか「コンチェルテット(小協奏曲)」、さらには「オーケストラのための協奏曲」などといった、「お堅い」タイトルが付いた3つか4つの楽章を持つ「絶対音楽」です。ほんの2、3分で終わってしまう「描写音楽」をもっぱら作っていたアンダーソンとは、ずいぶん違っているような印象を、まず受けてしまいます。もしかしたら、グールドという人は華やかな編曲者とは世をしのぶ仮の姿、本当は難解な曲を作って人々を不安な思いに駆り立てる「現代作曲家」だったのでしょうか。あの、ジョン・ウィリアムスのように。
しかし、ご安心ください。まず、最初に流れてきた「アメリカン・シンフォネット第2番」では、第1楽章でいきなり聞こえてくるのがハイハット・シンバルによる軽快な4ビートのリズムだったのですからね。そう、これはまさにエンタテインメントの極致、ほとんど「スウィング・ジャズ」と変わらない音楽だったのです。ちょっと複雑なシンコペーションなどが出てきても、それはあくまでスウィング感を盛り上げるものですから、何の違和感もなくビートに身をゆだねることが出来るはずです。そして、それに続く「パヴァーヌ」というタイトル(ただし、綴りは「pavane」ではなく「pavanne」)の付いた楽章は、始まるなり「あ、これ知ってる」と叫びたくなるようなキャッチーなものでした。それは、なんとも郷愁を誘われる、どんな人でも必ずどこかで一度は聞いたことがあるのではないかというメロディだったのです。確か、これは歌詞も付けられてヒット曲にもなったものなのでは。そして、最後の楽章はいかにも朗らかな、ウェスタン調の曲です。しかも、そのテーマは有名なバッハの「無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番」の「プレリュード」そのものではありませんか。そういえば、第1楽章もベートーヴェンの交響曲第2番のフィナーレそっくり、グールドにはそんなおちゃめな一面もあったのですね。
全部で4曲ある「シンフォネット」ですが、ここではもう1曲、こちらは4楽章形式の「第3番」も収められています。これも、とことん楽しい曲ですよ。
「コンチェルテット」というのは、ピアノ協奏曲の形をとったものです。こちらも、リズム・セクションこそ入ってはいませんが、やはり同じく「アメリカ的」な協奏曲です。「ブルース」などという名前の楽章も、いかにもけだるいおしゃれなテイストに仕上がっています。
そこへ行くと、「オーケストラのための協奏曲」は、そんな明るさがあまり表には出てこない、ちょっとシリアスな曲のように感じられるかもしれません。確かに、ここではグールドはあまり聴いている人を楽しませるような作り方をしていないようにも思えますが、それでもつい現れてしまう親しみやすさには救われます。やはり、彼は根っからのエンターテイナーだったのでしょうね。
ここで演奏している指揮者もオーケストラも、しっかり楽しんでいるのが、よく伝わってきます。

CD Artwork © Albany Records
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by jurassic_oyaji | 2010-05-04 19:43 | 現代音楽 | Comments(1)
Commented by サイクリストたく at 2011-03-11 14:06 x
ジュラシックおやじさん

毎度楽しく読ませて頂いています。私はクラシック暦30年、今57歳の花のサラリーおやじ(定年直前ですが)です。クラシックと呼ばれる音楽に嵌ってからロマン派・古典・バロック・ルネッサンス・中世・グレゴリオと遡った後、今は「Back to the present」とばかりに現代音楽のCDを買いあさって聴いております。
先日はNYのメトでこの2月に上演されたばかりのジョン・アダムスの「ニクソン イン チャイナ」(それを撮影・編集した映画版)を銀座の映画館で見てきました。ポスト・ミニマルのアダムスの真骨頂である畳み掛けるようなリズムの盛り上がりと歴史的な事実を忠実に再現した舞台に酔いしれました。

これからもさまざまな現代音楽のお話を楽しみにしております。

サイクリストたく