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TCHAIKOVSKY/Symphonies Nos. 4, 5 & 6
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Evgeny Mravinsky/
Leningrad Philharmonic Orchestra
ESOTERIC/ESSG-90037/8(hybrid SACD)




ショルティの「指環」で、その凄さを見せつけてくれたエソテリックのSACD、最近はDECCAだけではなくDGの録音も手がけるようになっているのでっか?マスターテープにまでさかのぼって、SACD化するというその最新のアイテムが、このムラヴィンスキーとレニングラード・フィルのチャイコフスキーです。1960年の彼らのヨーロッパ・ツアーの間に、DGのスタッフによってステレオ録音されたという、歴史的に意義深いものであることは、重々ご存じのことでしょう。実は、その4年前にも、やはりDGによって同じ4、5、6番がモノラルで録音されており、その際には4番だけはムラヴィンスキーではなくザンデルリンクの指揮だった、というのも、有名な話です。
今回のパッケージでは、「5番」のオリジナル・ジャケットが表紙を飾っています。さらに、3枚それぞれの「ライナー・ノーツ」のコピーが同梱されているのも、嬉しいことです。小さな字で「針圧は6グラム以下で」などと書かれているのも、懐かしいものですね。
ご存じでしょうが、この3曲のうちの「4番」は、かつてSACDで出ていたことがありましたね。ただ、それは、どこにも正確な録音データが記載されてはおらず、それどころか、「○○で行われたコンサートのライブ録音」などという、怪しげな姿に「偽装」されたものでした。それも含めて、「Originals」などとまず比較してみるのが、まず、最初の楽しみです。
今回も、一連のエソテリックのSACD同様、マスタリングを担当したのは杉本一家さんです。彼の仕事ぶりには常に期待以上の成果を体験させられてきましたが、これも期待にたがわず、いつもの「杉本マジック」をまざまざと見せつけてくれるものでした。何よりも、すべての音がとても自然で伸びやかに響いています。不快な音が聞こえてこないのですね。これを聴いてしまうと、「Originals」では、そのネーミングとは裏腹に、かなり手を加えられている音のように感じられてしまいます。聴いていて、かなり疲れるのですよ。
さらに、「4番」の第2楽章のオーボエなど、まさに別物、とても存在感のある音像が、くっきりと浮かび上がっています。続く第3楽章の弦楽器のピチカートでも、雰囲気感が全然違います。試しに、「偽」SACDを聴いてみると、これはもう、わざと倍音成分をカットしたのではないかと思えるほどの、ひどい音でした。さらに、ステレオ感も微妙に狭くしているような感じ、この辺が「偽装」の浅知恵なのでしょう。
この楽章で、作曲家はピチカートを高い音の楽器から順につなげて一つのフレーズを作る、ということをやっています。この部分は、デビューしたばかりのステレオ録音にとっては格好のデモンストレーションになるはず、音が高音から低音、つまり左から右へと移動していくのは、まさにスペクタクルです。ですから、ここで、このオーケストラがいつもとっている「対向型」で録音してしまうと、左端から一旦右端に移動、それからまた左端に向かって音が動くという、ちょっとわかりにくいものになってしまうはず、このあたりも、わざわざ「普通の」配置にさせて録音を行ったエンジニアのこだわりだったのでしょうね。
「4番」はロンドンで録音されたものですが、「5、6番」ではウィーンのムジークフェライン・ザールが使われました。この会場の響きの違いも、はっきり味わうことが出来ます。そんなことも含めて、聴きこめば聴きこむほど、新たな興味がわいてくるSACDです。
そんなすごい音の中から聞こえてくるこのチームの音楽は、録音同様興味の尽きないものです。何よりもびっくりしたのが、とてつもないピアニシモなのに、あふれるばかりの「力」と「表情」を備えている弦楽器。こんなものが、まるでマスターテープのような立体感のある音で迫ってくるのですから、たまりません。

SACD Artwork © Esoteric Company
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by jurassic_oyaji | 2010-05-06 20:49 | オーケストラ | Comments(0)