おやぢの部屋2
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MOZART/Die Zauberflöte

Susie LeBlanc(Sop)
Christoph Genz(Ten)
Stephan Genz(Bar)
Sigiswald Kuijken/
La Petite Bande
AMATI/AMI 2301/3(hybrid SACD)



クイケンによるモーツァルトのオペラは、今までACCENTレーベルから「コジ」(1992年)、「ドン・ジョヴァンニ」(1995年)、「フィガロ」(1998年)が出ていました。これらは、現在ではライセンスが例のBRILLIANTに移って、「モーツァルト全集」の中に収録されていますから、非常に安価に(オペラ1曲あたり1500円程度)入手出来るという、大穴のアイテムです(ダイアナはポール・アンカです)。今回、モーツァルトのメジャーオペラの中ではまだ録音されていなかった「魔笛」が、AMATIレーベルからSACDで出されました。そうなると、3枚組で7000円近く、これが普通の値段なのでしょうが、ずいぶん高いものに感じられてしまいます。
これは、2004年のボーヌ国際バロックオペラ音楽祭におけるライブ録音です。ワインで有名なこの町の中心にそびえる、12世紀に建てられたノートル・ダム教会で上演されたもののようですが、いったいどのような舞台装置が用いられたのか、興味があるところです。会場のせいか、オペラには珍しいとても残響のある録音、オリジナル楽器の柔らかな響きと相まって、とても居心地の良い音響空間が広がります。もちろん、その居心地の良さは、クイケンの真摯な演奏によるところも大きいはずです。音楽の流れを大切にした自然な表現は、ひところのオリジナル楽器による挑戦的な演奏とは全く無縁なもの、ここには、モダンとかオリジナルといった範疇を超えた「良い音楽」しか有りません。時代はここまで来たのですね。そんな流れに敢えて逆らおうとしているのか、元々いびつな表現しかできないのかは分かりませんが、いまだに自分勝手で不自然な演奏を「これがオリジナルだ」と主張している某○ノンクールあたりを信奉している愚かな人が増殖しているのは、理解に苦しむところです。
ただ、歌手陣は粒ぞろいというわけには行きませんでした。ザラストロのコルネリウス・ハウプトマンは、音程が定まらなくて苦しんでいるのがありあり。そして、最も失望させられたのはタミーノのクリストフ・ゲンツです。声自体は柔らかなのですが、あまりに弱々しすぎて、「王子」としての存在感がまるでありません。セリフが棒読みになってしまっているのも、この演目のようなジンクシュピールでは致命的な欠陥です。しかし、もう一人のゲンツ、パパゲーノ役のシュテファン・ゲンツはまさにハマリ役、生き生きとしたキャラクターを存分に出し切っています。たまにオーケストラに乗りきれないリズム感の鈍さは、ライブということで大見に見ましょう。最も安定しているのは、パミーナ役のスージー・ルブランでしょうか。そして、こんな少人数(1パート4人)でよくぞここまで充実した響きを出せるものだと驚かされた合唱のすばらしさも見逃せません。ただ、童子を歌っているテルツ少年合唱団のメンバーは悲惨です。もうこういう稚拙なレベルでは通用しない時代になっているということに、早く気づいて欲しいものです。
パパゲーナ役は、「フィガロ」でもバルバリーナを歌っていたマリー・クイケン、オーケストラのヴァイオリンパートにもサラ・クイケンとヴェロニカ・クイケンというように、「クイケン兄弟」の娘たちがレギュラーポジションを占めるようになった「時代」、もはや「オリジナル」に身構えること自体が「時代遅れ」になっているのです。
あ、もちろんグロッケンシュピールを使ってますよ。マスター。
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by jurassic_oyaji | 2005-04-09 19:58 | オペラ | Comments(0)